たん)” の例文
たんがよいの船であろう、「紀淡丸」と記した汽船が桟橋さんばしを離れて行くのだが、四五百トンにも足らないほどの船体がぐるりと船首を向き変えるとき
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
日本のことわざにまじわりはたんとして水のごとしというのがある、日本人は水のごとしだ、清浄せいじょうだ、淡白たんぱくだ、どんな人とでも胸をひらいてまじわることができる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
燃えさかる数艘の巨火きょかへ、さらにさんざん矢や小銃をうち浴びせて、九鬼船隊はすばやくたん方面へ逸走いっそうした。——毛利方の水軍は、してやられたりといきどおって
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随園ずいえん詩を論じて大巧たいこうぼく濃後のうごたんとを以ってよしとなす。真に金言なり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と、残余の大船小舟をととのえて、堂々たる船陣をつくり、たんの海上へ追いかけて行った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たん、雲の如し——という気もち。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)