たん)” の例文
坂は急ならず長くもあらねど、一つつくればまたあらたにあらわる。起伏あたかも大波のごとく打続きて、いつたんならむとも見えざりき。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たんたる廣庭の中央には、雲を凌いで立つ一株の大公孫樹があつて、今、一年中唯一度の盛裝をこらして居た。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あるいは道路はたんとしてのごとく自在に運搬交通をなし、あるいは水なきの地は溝渠こうきょ穿うがって流水を通じ、あたかも人力をもって天造を圧倒したる景状あり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
やうやく両足をるるにふ、之れこそ利根の戸倉と会津の檜枝岐とのあひだに在る県道なれば、其嶮岨けんそ云ふべからずと雖も、跋渉ばつせうれたる余等の一行は、あたかたんたる大道をあゆむ如き心地をなし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
坂は急ならず長くもあらねど、一つつくればまたあらたにあらわる。起伏あたかも大波の如く打続うちつづきて、いつたんならむとも見えざりき。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)