トップ
>
端
>
たん
ふりがな文庫
“
端
(
たん
)” の例文
凝然
(
ぢつ
)
とした
靜
(
しづ
)
かな
月
(
つき
)
が
幾
(
いく
)
らか
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けたと
思
(
おも
)
つたら
樅
(
もみ
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
間
(
あひだ
)
から
少
(
すこ
)
し
覗
(
のぞ
)
いて、
踊子
(
をどりこ
)
が
形
(
かたち
)
づくつて
居
(
ゐ
)
る
輪
(
わ
)
の一
端
(
たん
)
をかつと
明
(
あ
)
かるくした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
とあやしまれたがのちによく見れば、
独楽
(
こま
)
の
金輪
(
かなわ
)
の一
端
(
たん
)
に、ほそい
金環
(
きんかん
)
がついていて、その金環から
数丈
(
すうじょう
)
の
紐
(
ひも
)
が
心棒
(
しんぼう
)
にまいてあるのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして折り尺の一
端
(
たん
)
をにぎって、他の
端
(
はし
)
を高くお面のほうへ近づけた。すると、お面の両耳が、ぷるぷるッと
蝉
(
せみ
)
の羽根のようにふるえた。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから近来では極東問題などというものが、今まさに
端
(
たん
)
を日清戦争から惹起している有様で、なかなかこの外交の範囲が広くなって来た。
外交の方針
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
中国では毎年この日を民族の紀念日としてメーデー以上の騒ぎをするが、昭和七年の日支事変の遠因もここから
端
(
たん
)
を発している部分が多い。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
ぞ頼みける
是
(
これ
)
陰徳
(
いんとく
)
あれば
陽報
(
やうはう
)
ありとの
譬
(
たとへ
)
の如く
此事
(
このこと
)
後年
(
こうねん
)
に至つて大岡殿の見出しに
預
(
あづ
)
かる一
端
(
たん
)
とはなりぬ
然
(
され
)
ば新藤夫婦は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私の親馬鹿は、このへんから
端
(
たん
)
を発しているらしい。その後、数年
経
(
た
)
って私は長女が小学校へ入学したとき、『親馬鹿の記』という
随筆
(
ずいひつ
)
を書いた。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
こゝを以て一
端
(
たん
)
を二丈七尺としても二万四千四百八十四度
*5
手をはたらかせざれば
端
(
たん
)
をなさず、
是
(
こ
)
は
其凡
(
そのおよそ
)
をいふのみ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
諸家の増益は
端
(
たん
)
を梁の武帝の時に成つた陶隠居の集註に
発
(
ひら
)
き、次で唐の高宗の顕慶中に蘇敬の新修本草が成つた。又唐本草とも云ふ。是は七世紀の書である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それは、ちょうど、私共が当大学を卒業致します時で、正木先生が卒業論文として『胎児の夢』と題する怪研究を発表されたのに、
端
(
たん
)
を発したので御座いました
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
曰
(
いわく
)
、すべて宗教の事より
端
(
たん
)
を開き、あるいは宗教の事に托して起したる戦争は、左の四件を
表
(
あらわ
)
す。
「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)
(新字新仮名)
/
ロバート・フィリモア
(著)
外国人はおのおのその
認
(
みと
)
むるところの政府に
左袒
(
さたん
)
して
干渉
(
かんしょう
)
の
端
(
たん
)
を開くの
恐
(
おそ
)
れありしといわんか。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
浴槽
(
ゆぶね
)
の一
端
(
たん
)
へ
後腦
(
こうなう
)
を
乘
(
のせ
)
て一
端
(
たん
)
へ
爪先
(
つまさき
)
を
掛
(
かけ
)
て、ふわりと
身
(
み
)
を
浮
(
うか
)
べて
眼
(
め
)
を
閉
(
つぶ
)
る。
時
(
とき
)
に
薄目
(
うすめ
)
を
開
(
あけ
)
て
天井際
(
てんじやうぎは
)
の
光線窓
(
あかりまど
)
を
見
(
み
)
る。
碧
(
みどり
)
に
煌
(
きら
)
めく
桐
(
きり
)
の
葉
(
は
)
の
半分
(
はんぶん
)
と、
蒼々
(
さう/\
)
無際限
(
むさいげん
)
の
大空
(
おほぞら
)
が
見
(
み
)
える。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
勿論
(
もちろん
)
この
問題
(
もんだい
)
は
專門家
(
せんもんか
)
に
由
(
よつ
)
て
飽迄
(
あくまで
)
も
研究
(
けんきう
)
されねばならぬのであるが。
我輩
(
わがはい
)
は、
茲
(
こゝ
)
には
深
(
ふか
)
い
哲學的議論
(
てつがくてきぎろん
)
には
立
(
た
)
ち
入
(
い
)
らないで、
極
(
きは
)
めて
通俗的
(
つうぞくてき
)
に
之
(
これ
)
に
關
(
くわん
)
する
感想
(
かんさう
)
の一
端
(
たん
)
を
述
(
の
)
べて
見
(
み
)
よう。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
それに、
目
(
め
)
の
覚
(
さ
)
めるやうな
友染
(
いうぜん
)
縮緬
(
ちりめん
)
が、
端
(
たん
)
ものを
解
(
ほど
)
いたなりで、
一種
(
ひといろ
)
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
たんです。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
是非の心偏すれば、民或は兄弟
牆
(
かき
)
に
鬩
(
せめ
)
ぎ父子相
訟
(
うつた
)
ふ者有り。凡そ情の偏するや、四
端
(
たん
)
と雖遂に
不善
(
ふぜん
)
に
陷
(
おちい
)
る。故に學んで以て中和を
致
(
いた
)
し、
過不及
(
かふきふ
)
無きに
歸
(
き
)
す、之を
復性
(
ふくせい
)
の學と謂ふ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
近代の指揮法の
端
(
たん
)
を開いた人として極めて重要な指揮者であるニキシュについては、近衛秀麿
子
(
し
)
の『シェーネベルク日記』などになかなか面白いいろいろなことが書かれてある。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
誠は
指頭
(
しとう
)
より
迸
(
ほとばし
)
って、
尖
(
とが
)
る
毛穎
(
もうえい
)
の
端
(
たん
)
に紙を焼く熱気あるがごとき心地にて句を
綴
(
つづ
)
る。白紙が人格と化して、
淋漓
(
りんり
)
として
飛騰
(
ひとう
)
する文章があるとすれば道也の文章はまさにこれである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かくあるも道理なれ、
甲比丹
(
カピタン
)
クックは、太平洋を航して、幾多の群島を発見せり。
仏蘭西
(
フランス
)
は
安南
(
アンナン
)
に向い、その交渉の
端
(
たん
)
を
啓
(
ひら
)
けり。露人は既に南下の勢に乗じて、樺太の
半
(
なかば
)
を占略せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
成程
先達
(
せんだっ
)
て
集古
(
しゅうこ
)
十種と申す書物で見ましたが、一
端
(
たん
)
かき入れを致して其の上を栗色の革にて包みまして、柄はかば糸にて巻き、目貫は
金壺笠
(
きんつぼがさ
)
に五三の桐でございまして、鍔袋もやはり栗色革
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これをば
結
(
むす
)
び
髮
(
がみ
)
に
結
(
ゆ
)
ひかへさせて
綿銘仙
(
めんめいせん
)
の
半天
(
はんてん
)
に
襷
(
たすき
)
がけの
水仕業
(
みづしわざ
)
さする
事
(
こと
)
いかにして
忍
(
しの
)
ばるべき、
太郎
(
たらう
)
といふ
子
(
こ
)
もあるものなり、一
端
(
たん
)
の
怒
(
いか
)
りに百
年
(
ねん
)
の
運
(
うん
)
を
取
(
とり
)
はづして、
人
(
ひと
)
には
笑
(
わら
)
はれものとなり
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
西尾小左衛門は、部下を連れて、荷駄方から木綿の荷を受け取り、
梱
(
こり
)
を解いて、四、五十
端
(
たん
)
の布を、信長のわきへ積みかさねた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先驅
(
さきがけ
)
の
光
(
ひかり
)
が
各自
(
てんで
)
の
顏
(
かほ
)
を
微明
(
ほのあか
)
るくして
日
(
ひ
)
が
地平線上
(
ちへいせんじやう
)
に
其
(
そ
)
の
輪郭
(
りんくわく
)
の一
端
(
たん
)
を
現
(
あら
)
はさうとする
時間
(
じかん
)
を
誤
(
あやま
)
らずに
彼等
(
かれら
)
は
揃
(
そろ
)
つて
念佛
(
ねんぶつ
)
を
唱
(
とな
)
へる
筈
(
はず
)
なので
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
戦乱は
何時
(
いつ
)
まで続くか分らぬが、この教訓に依って、人類がいわゆる罪悪を自覚して、ここに初めて平和の
端
(
たん
)
を開くのである。
大戦乱後の国際平和
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
その礎石の爆発に
端
(
たん
)
を発して、かの二十五階の
摩天閣
(
まてんかく
)
たるエディ・ホテルが安定を失って、ぐらぐらと
傾
(
かたむ
)
き始めたかと思うと
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(ちゞみはくぢらざし三丈を定尺とす)
績
(
うみ
)
はじむるより
織
(
おり
)
おろし
曬
(
さら
)
しあげて
端
(
たん
)
になすまでの
苦心労繁
(
くしんらうはん
)
おもひはかるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
如何なれば
俄
(
にはか
)
に
變更
(
へんかう
)
せしぞ此事
逐一
(
ちくいち
)
申し上よと言れて忠兵衞おそる/\一
端
(
たん
)
斯
(
かく
)
とは約したれど箇樣々々の
醫師
(
いし
)
來りて彼お光こそ
癲癇病
(
てんかんやみ
)
なりとテレメンテーナと言ふ藥のことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
〔評〕江藤
新平
(
しんぺい
)
、前原
一誠
(
いつせい
)
等の如きは、皆
維新
(
いしん
)
の功臣として、勤王二なく、官は
參議
(
さんぎ
)
に至り、位は人臣の
榮
(
えい
)
を
極
(
きは
)
む。然り而して前後皆亂を爲し誅に伏す、惜しいかな。豈四
端
(
たん
)
の
偏
(
へん
)
ありしものか。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
湖
(
みづうみ
)
の一
端
(
たん
)
は、
舟
(
ふね
)
を
松蔭
(
まつかげ
)
に
描
(
ゑが
)
いて、
大弦月
(
だいげんげつ
)
の
如
(
ごと
)
く
輝
(
かゞや
)
いた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかしながら歴史的に国民として
脳裡
(
のうり
)
に一日も忘れることの出来ぬところの帝国の文明的運動の始まりは、明治大帝御即位に
端
(
たん
)
を発している。
吾人の文明運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一ぽうを見ると、そこにすばらしく大きい
椋
(
むく
)
の
大木
(
たいぼく
)
がある。その高い
梢
(
こずえ
)
の一
端
(
たん
)
がちょうど、
鳥居
(
とりい
)
の
横木
(
よこぎ
)
にかかっているので
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
柿丘秋郎と白石博士との両家庭が、非常に親しい
交際
(
つきあい
)
をするようになったのは、実にこうした事情に
端
(
たん
)
を発していた。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これいかんとなれば縮を一
端
(
たん
)
になすまでに人の
手
(
て
)
を
労
(
らう
)
する事かぞへ
尽
(
つく
)
しがたし。なか/\
手間
(
てま
)
に
賃銭
(
ちんせん
)
を
当
(
あて
)
て
算量
(
つもる
)
事にはあらず、雪中に
籠居
(
こもりをる
)
婦女等
(
ふぢよら
)
が
手
(
て
)
を
空
(
むなし
)
くせざるのみの
活業
(
いとなみ
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
唐鍬
(
たうぐは
)
の
刄先
(
はさき
)
は
卯平
(
うへい
)
の
頭
(
あたま
)
に
近
(
ちか
)
く
筵
(
むしろ
)
の一
端
(
たん
)
を
掠
(
かす
)
つて
深
(
ふか
)
く
土
(
つち
)
に
立
(
た
)
つた。
彼
(
かれ
)
はそれから
燒盡
(
やきつく
)
して一
杯
(
ぱい
)
の
煨
(
おき
)
になつた
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
に
近
(
ちか
)
く
駈
(
か
)
け
寄
(
よ
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
火
(
ひ
)
の
恐
(
おそ
)
ろしい
熱度
(
ねつど
)
を
感
(
かん
)
じて
少時
(
しばし
)
躊躇
(
ちうちよ
)
して
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と、京の使臣にも洩らしたことがある程だし、越後との長期にわたる合戦も、実に、それへ発足するための一部戦として
端
(
たん
)
を開いたものだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国民の無力のために、それに代る事が出来なかったんである。それが、今日偶然憲法の解釈に論を及ぼすの
端
(
たん
)
を開いた。が、まだなんらの形を為さぬ。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
手持ちの兵は少ないし、よしんば、兵力があったにせよ、散所ノ太夫を相手とすれば、たちまち、合戦の
端
(
たん
)
となる。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またこの弊に打克つことが出来ないような国民ならば、国家の衰亡はこれよりその
端
(
たん
)
を発するのである。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
端
(
たん
)
をかまえ、秀吉に一口実を与えて、戦をはじめ出したのであるから、それだけでも、
信孝
(
のぶたか
)
亡きあと、この名血族の断絶も、はや遠くない気がされるのだった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あおい
駿河
(
するが
)
の海岸線の一
端
(
たん
)
には、
家康
(
いえやす
)
の
居城
(
きょじょう
)
が、松葉でつつんだ一
個
(
こ
)
の
菓子
(
かし
)
のごとく小さく
望
(
のぞ
)
まれる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(最低保証の定給制もいくらか有ったのかもしれないが)——たとえば、写経一
張
(
はり
)
で
銭
(
ぜに
)
五
文
(
もん
)
、四十張で布一
端
(
たん
)
、八十張で
紲
(
あしぎぬ
)
一匹、といった程度。そして食物は一切精進だ。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、流行の
端
(
たん
)
はここからでも、それを欲する
時好
(
じこう
)
の素地は一般にあった。朝廷方でも、みな時好にならい、男でも、うす化粧して、まゆをかき、紅さえほおに
刷
(
は
)
いている若公卿が殖えて来ている。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姓は二字の
皇甫
(
こうほ
)
、名は
端
(
たん
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“端”を含む語句
端折
尖端
尻端折
片端
出端
端緒
一端
端正
山端
縁端
端然
端艇
突端
上端
町端
切端
川端
下端
端々
発端
...