まる)” の例文
新字:
おそろしくおほきないぬころが、おほきなまるをしてあいちやんを見下みおろしてました、あいちやんにさわらうとして前足まへあしを一ぽんおそる/\ばして。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
したには小石こいしが一めん敷詰しきづめてある。天井てんぜうたかさは中央部ちうわうぶは五しやくずんあるが。蒲鉾式かまぼこしきまるつてるので、四すみはそれより自然しぜんひくい。
それはまるつかまへほうびて四角しかくになつたかたちで、ちょっとむかしくちひろつぼせて、よこからたようなかたちをしてゐるものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
されどいへ、汝はこれを己が財布の中につや。我即ち。然り、そをさまに何の疑はしき事もなきまで光りてまるし。 八五—八七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
はなれさうではなれないつばめむれは、細長ほそながかたちになつたり、まるかたちになつたりして、むらそらたかいところをそろつてつてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なかで、内安堂寺町うちあんだうじまち町醫まちい中田玄竹なかだげんちくだけが、ひどくつて、但馬守たじまのかみこゝろ玄竹げんちくまるあたまなければ、けつしてうごくことがなくなつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
このを『年輪ねんりん』とひます。材木屋ざいもくや店先みせさきつて、まる材木ざいもくのはしをれば、これが年輪ねんりんかと、すぐにわかります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
横額よこがく二字にじ、たしか(勤儉きんけん)とかあつて(彦左衞門ひこざゑもん)として、まるなかに、しゆで(大久保おほくぼ)といんがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼等かれらはそれをいとんでるけれども、はたつてはなした最後さいごいとはしなはのやうにつたつなである。ばあさんまるつくつて銘々めい/\まへへ二せんづつのぜにいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「でも、くおツてゐらツしやるんだもの、惡いわ。」と今度はまるい柔な聲がする。基れはお房で。周三は何といふことは無くじつと耳を澄ました。眼はパツチリ覺めて了つた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
不思議に思って中をのぞくと、香の色をした液体が半分ばかりおどんでいる底の方に、親指ぐらいの太さの二三寸の長さの黒っぽい黄色い固形物が、三きれほどまるくかたまっていた。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
母指おやゆびとひとさし指でまるをこしらへて、一寸痛快らしく笑つた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
よつく御覽、これはあたままるめた、はねの無い詩人さ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
それはまへ四角しかくうしろまるいといふ意味いみであります。このつか模型もけいとくいてありますから、それを御覽ごらんになるとよくわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
御勤役ごきんやくもないころのことでござりました。岡部樣をかべさまの一けんから、しようもないことが、殿樣とのさまのおしまして。‥‥』と、玄竹げんちくまるあたまり/\つた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これが毎年まいねんくりかへされると、その一年いちねんごとに生長せいちようした部分ぶぶんだけが、まるになつて區分くわけがつくのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
まるうつはの中なる水、そとまたはうちより打たるれば、その波動中心よりふちにまたは縁より中心に及ぶ 一—三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ブツと咽喉のどふくらまして、ぐるりとまるくしてはらつもの……ふな味方みかたらうもれない。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
周三は眼をまるくした。そしてじツとお房の顏を見詰めた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
指先でまるをこしらへて冷かした。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
むかしはそんなに樹木じゆもくえてゐたわけでなく、たいていそれらのつかうへには、まる磧石かはらいしせて、全體ぜんたいおほうてをつたものでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
師走しはす中頃なかごろで、淀川堤よどがはづつみには冬枯ふゆがれのくさひつじのやうでところ/″\にまるいたあとくろえてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うめ黄色きいろはなをひらき鋸齒のこぎりばのあるまるみつつづゝ、いとのようなくきにつけたみやまきんばい、ちひさいしばのようなみやまつめくさ、たかねつめくさなどがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかしてわがまぶたふちこの水を飮める刹那せつなに、その長き形は、變りてまるく成ると見えたり 八八—九〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おどろいて、じつとれば、おりうげた卷煙草まきたばこそれではなく、もやか、きりか、朦朧もうろうとした、灰色はひいろ溜池ためいけに、いろやゝく、いかだえて、天窓あたままるちひさかたち一個ひとつつてしやがむでたが
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
薄赤い肉を美しく並べた皿の眞中には、まだからの出來ぬ眞んまるく赤い卵が寶玉のやうに光つてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたしはそのころ牛込うしごめ南榎町みなみえのきちやうんでたが、水道町すゐだうちやう丸屋まるやから仕立上したてあがりを持込もちこんで、あつらへの疊紙たゝうむすいたときは、四疊半よでふはんたゞ一間ひとま二階にかい半分はんぶん盛上もりあがつて、女中ぢよちうほそまるくした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
諏訪法性すはほつしやうかぶとかぶつた、信玄しんげん猩々しやう/″\の如き頭へ斬り付けようとしてゐる謙信けんしんの眼は、皿のやうに眞んまるく、振り上げた刀は馬よりも長くて、信玄の持つてゐる軍配ぐんばいは細く弱さうで
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「あぶ、あぶ、あツぷう。」と、まるつらを、べろりといたいけなでて、あたまからびたしづくつたのは、五歳いつゝばかりの腕白わんぱくで、きよろりとしたでひよいとて、また父親おやぢ見向みむいた。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すそながいたかげに、まる姿見すがたみごとく、八田潟はつたがたなみ一所ひとところみづむ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……家内かない牛込うしごめまでようたしがあつて、ひるぎにいへたが、三時頃さんじごろかへつてて、一寸ちよつとまるくして、それは/\氣味きみわるいほどうつくしいものをましたとつて、おどろいたやうにつぎはなしをした。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半纏はんてんいだあとで、ほゝかぶりをつて、ぶらりとげると、すぐに湯氣ゆげとともにしろかたまるこしあひだけて、一個いつこたちまち、ぶくりといた茶色ちやいろあたまつて、そしてばちや/\とねた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たこみないかとのみふ。あふぎ地紙形ぢがみがたに、兩方りやうはうたもとをふくらましたるかたち大々だい/\小々せう/\いろ/\あり。いづれもきんぎんあをこんにて、まるほしかざりたり。關東くわんとうたこはなきにあらず、づけて升凧ますいかへり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
場所ばしよところへつゝ、守宮やもりかたちで、天窓あたまにすぽりとなにかぶつた、あだじろい、どうながい、四足よつあしうねるものが、ぴつたりと附着くツついたり、ことりとまるくなつたり、長々なが/\ふのがえたり……やがて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)