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中田玄竹
其の
中で、
内安堂寺町に
住む
町醫の
中田玄竹だけが、ひどく
氣に
入つて、
但馬守の
心は
玄竹の
圓い
頭を
見なければ、
決して
動くことがなくなつた。
江戸から
新らしく
此の
町奉行として
來任してから
丁度五ヶ
月、
見るもの、
聞くもの、
癪に
障ることだらけの
中に、
町醫中田玄竹は
水道の
水で
産湯を
使はない
人間として
暫らくして、
紀が
再び
廣縁に
現はれた
時は、
竪矢の
字の
背後に、
醫師の
中田玄竹を
伴うてゐた。