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円
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まる
ふりがな文庫
“
円
(
まる
)” の例文
旧字:
圓
なぜなら
机
(
つくえ
)
の
四
(
よ
)
つ
角
(
かど
)
は、
小刀
(
こがたな
)
かなにかで、
不格好
(
ぶかっこう
)
に
削
(
けず
)
り
落
(
お
)
とされて
円
(
まる
)
くされ、そして、
面
(
かお
)
には、
縦横
(
じゅうおう
)
に
傷
(
きず
)
がついていたのであります。
春さきの古物店
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「まあしかし、
円
(
まる
)
くゆくものなら、このまま納めた方がいい。そうなれば、金の方は後でどうにか心配するけれど、今はちょっとね」
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長い細やかな
房々
(
ふさふさ
)
した髪に縁取られてる
円
(
まる
)
い
額
(
ひたい
)
、そしてその髪は、縮れもせずにただ軽いゆるやかな波動をなして、顔にたれていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それがまた
自
(
おのずか
)
らな
円
(
まる
)
みを暖く抱いて、眼のとどかない上の方から、眼の先の寝床の上まで、大きな
鍾乳石
(
しょうにゅうせき
)
のように垂れ下っている。
女体
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
王子は
身仕度
(
みじたく
)
をし、長い
外套
(
がいとう
)
をつけ
円
(
まる
)
い帽子をかぶり、短い剣を
腰
(
こし
)
にさして、誰にも気づかれないように、そっと城をぬけ出しました。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
各
枝端
(
したん
)
に一花ずつ開き、直径はおよそ一二センチメートル内外もあろう。
花下
(
かか
)
に五
片
(
へん
)
の
緑萼
(
りょくがく
)
があるが、
蕾
(
つぼみ
)
の時には
円
(
まる
)
く閉じている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
ままよと濡れながら行けばさきへ行く一人の大男身にぼろを
纏
(
まと
)
い肩にはケットの
捲
(
ま
)
き
円
(
まる
)
めたるを
担
(
かつ
)
ぎしが
手拭
(
てぬぐい
)
もて顔をつつみたり。
旅の旅の旅
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
病
(
や
)
むまじき事
也
(
なり
)
衰
(
おとろ
)
ふまじき事
也
(
なり
)
病
(
や
)
み
衰
(
おとろ
)
へたる
小生等
(
せうせいら
)
が骨は、
人知
(
ひとし
)
らぬ
苦
(
く
)
を
以
(
もつ
)
て、
人知
(
ひとし
)
らぬ
楽
(
たのし
)
みと
致候迄
(
いたしそろまで
)
に
次第
(
しだい
)
に
円
(
まる
)
く曲り
行
(
ゆ
)
くものに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
さういふ時に私は、地球は
円
(
まる
)
い、地球はいつまでも廻つてゐると書かれてあつた地理の教科書の教へを身をもつて体験したのです。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
それ異人が来たと言って、そこいらに腰掛けながら休んでいた旅人までが目を
円
(
まる
)
くする。前からも後ろからものぞきに行くものがある。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
引摺
(
ひきず
)
るほどにその
奴
(
やっこ
)
が着た、
半纏
(
はんてん
)
の印に、稲穂の
円
(
まる
)
の着いたのも、それか有らぬか、お孝が以前の、派手を語って
果敢
(
はか
)
なく見えた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなたの直線というのは
比喩
(
たとえ
)
じゃありませんか。もし比喩なら、
円
(
まる
)
と云っても四角と云っても、つまり同じ事になるのでしょう」
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この三つのレブは皮の方にあって悪い処ですけれどもちょうどレブロースの
真中
(
まんなか
)
の
心
(
しん
)
のようになって
円
(
まる
)
い長い肉が少しばかりあります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
桑港
(
フリスコ
)
の夜、船から降りたった波止場の
端
(
はず
)
れに、ガアドがあって、その上に、冷たく
懸
(
かか
)
っていた、小さく、まん
円
(
まる
)
い月も忘れられません。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
来いと仰しゃれば
行
(
ゆ
)
きもしましょうが、
頭髪
(
あたま
)
を剃らんでも改心さえすれば宜しい頭ばかり
円
(
まる
)
くっても心を改めんでは
何
(
なん
)
にもなりません
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
円
(
まる
)
い月が空にかかり、青白い花束のような月光が家々の屋根に砕けている。見ると腕時計は三時だった。いよいよいけなかった。
赤い手帖
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
いいかい坊や、町へ行ったらね、たくさん人間の家があるからね、まず表に
円
(
まる
)
いシャッポの看板のかかっている家を
探
(
さが
)
すんだよ。
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
クリステはクリスチアナ——
諾威
(
ノウルウェ
)
の首府の前名から来てる——の略で、スキイを外側に
円
(
まる
)
く使って、急に向きを変える
曲芸
(
スタント
)
の一つである。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
隣の植木屋との間は、低い竹垣になっていて、丁度純一の立っている向うの処に、花の散ってしまった
萩
(
はぎ
)
がまん
円
(
まる
)
に繁っている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いま私のいる
部屋
(
へや
)
には、一
箇
(
こ
)
の
円
(
まる
)
い時計がかかっています。この時計の表面は、ただ長い針と短い針とが、動いているだけです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
真黒に塗りたてた空の書割の
中央
(
まんなか
)
を大きく
穿抜
(
くりぬ
)
いてある
円
(
まる
)
い穴に
灯
(
ひ
)
がついて、
雲形
(
くもがた
)
の
蔽
(
おお
)
いをば糸で引上げるのが
此方
(
こなた
)
からでも
能
(
よ
)
く見えた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一般の安全を
謀
(
はか
)
りて保護の世話をなし、人民は政府の命令に従いて指図の世話に
戻
(
もと
)
ることあらざれば、公私の間
円
(
まる
)
く治まるべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
とか
呻
(
うめ
)
いて、自分たち個々の弱さを、いたずらに示すに過ぎない虚勢のまま、ややしばらく、桶のように
円
(
まる
)
くなって、武蔵を囲んでいた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
傍
(
そば
)
にはまだ五六人の仲間がいて潰した
皮粕
(
かわかす
)
を
円
(
まる
)
めて
笊
(
ざる
)
の中へ入れたり、散らばっている
樹
(
き
)
の皮を集めてその
手許
(
てもと
)
に置いてやったりした。
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
法螺ノ貝というのは丁度鶏冠山の南側に在って、河が大きな淵を成している。其上を高さ一丈か一丈四、五尺位の岩の
円
(
まる
)
天井が掩うている。
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「何だエ」と伯母は眼を
円
(
まる
)
くし「
其様
(
そんな
)
豪
(
えら
)
い
婦人
(
ひと
)
で、
其様
(
そんな
)
歳
(
とし
)
になるまで、一度もお嫁にならんのかよ——異人てものは妙なことするものだの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
豆猿といふのは、ポケツトや
掌面
(
てのひら
)
のなかにでも
円
(
まる
)
め込んでしまはれさうな小さな猿で、支那でも湖南あたりにしか見受けられない
奴
(
やつこ
)
さんだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
が、足が酷く汚れていたので
膝
(
ひざ
)
で
姪
(
めい
)
の寝ているらしい奥の間の方へ
這
(
は
)
い
出
(
だ
)
した。黄色い
坐蒲団
(
ざぶとん
)
を
円
(
まる
)
めたようなものが見えた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ところで、極彩色の
孔雀
(
くじゃく
)
がきらきらと
尾羽
(
おば
)
を
円
(
まる
)
くひろげた夏の
暑熱
(
しょねつ
)
と光線とは、この旅にある父と子とを
少
(
すくな
)
からず喜ばせた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
赤い毛、碧い眼、
円
(
まる
)
い滑らかな顎、
伸々
(
のびのび
)
した四肢、美しい皮膚など、岩吉はもとより、此辺で見かける人達とは、まるっきり違ったものです。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今し方工場から帰つたばかりの嘉吉は、いつもの癖で仕事着のまゝ
円
(
まる
)
い
飯台
(
はんだい
)
の一方に場広くあぐらに
据
(
す
)
わつて、もうがつ/\やらかしてゐた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
顱頂
(
ろちょう
)
の極めてまん
円
(
まる
)
な所(誰だって大体は円いに違いないが、案外でこぼこがあったり、上が平らだったり、
後
(
うしろ
)
が絶壁だったりするものだ。)
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
南の座敷が
掃除
(
そうじ
)
され装飾されて、そこを
円
(
まる
)
い頭が幾つも立ち動くのを見るのも、今日の姫君の心には恐ろしかった。僧都は母の尼の所へ行き
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
円
(
まる
)
く
取巻
(
とりま
)
いた
中
(
なか
)
から、ひょっこり
首
(
くび
)
だけ
差
(
さ
)
し
伸
(
の
)
べて、
如何
(
いか
)
にも
憚
(
はばか
)
った
物腰
(
ものごし
)
の、
手
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
までさげたのは、五十がらみのぼて
振
(
ふ
)
り
魚屋
(
さかなや
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その
円
(
まる
)
い帽子の影は
頓
(
やが
)
て
木隠
(
こがく
)
れて見えなくなつたが、ミハイロは
背後
(
うしろ
)
で手を組むで、まだ立つてゐる。何処へ
行処
(
ゆきどころ
)
もない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
どれも辮髪を背中にたれ、赤い珊瑚玉のついた帽子を被り、長い
煙管
(
キセル
)
を口にくわえて、悲しそうな顔をしながら、地上に
円
(
まる
)
くうずくまっていた。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
先ずこのがやがやが
一頻
(
ひとしきり
)
止
(
す
)
むとお徳は急に何か思い出したように
起
(
たっ
)
て勝手口を出たが
暫時
(
しばらく
)
して返って来て、妙に
真面目
(
まじめ
)
な顔をして眼を
円
(
まる
)
くして
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「大雪が凍死体を埋めてゆくように」刻々に『時』に
嚥
(
の
)
まれてゆくことを自覚している精神であり、もはや「高みより地球の
円
(
まる
)
い形を眺めつつ」
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
棚
(
たな
)
の隅にカタのついた汚れた猿又や
褌
(
ふんどし
)
が、しめっぽく、すえた
臭
(
にお
)
いをして
円
(
まる
)
められていた。学生はそれを野糞のように踏みつけることがあった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
場処
(
ばしょ
)
は大抵は耕地の附近に、石を土台にして
円
(
まる
)
い形に、稲の
穂先
(
ほさき
)
を内側にして積み上げて置く、きわめて簡易且つ
悠長
(
ゆうちょう
)
なる様式のものであるが
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
種子島とはひかくにならない、黒々とした
円
(
まる
)
い島である。久しぶりに、島の濃緑な色を眺めて、富岡は、爽快な気がした。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
それで、こんどは、
陸
(
おか
)
の方を見ました。すると、島のまん中ほどに、大きな、白い、
円
(
まる
)
屋根のようなものが見えました。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
瞬間——豚盗人は、一寸松林の方を振向いて、何でもこう鳥の鳴く様な異様な叫びを挙げると、いきなり
円
(
まる
)
くなって線路伝いに馳け出したんです。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
部屋の真中に秣草桶を
円
(
まる
)
く並べ、みんなはそのまわりに、藁蒲団を敷き、尻餠をついたように、その上に坐るのでした。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
「その前に、おれが兄貴と喧嘩する。金で
円
(
まる
)
くすむのに、家のことも思わずに、何だ。おれにも考えがある。離せ!」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と私は眼を
円
(
まる
)
くしましたが、その瞬間にいつか大村で聞き流した、あの言葉を思い出さずにはいられなかったのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
媒妁の家は菜食で、ダシにも
昆布
(
こんぶ
)
を使って居るので、二つの鰹節包は二人の車夫にやった。車夫は眼を
円
(
まる
)
くして居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
最初には黄いろいことと
円
(
まる
)
いこととが伴なって結びついて居り、緑いろと
皺
(
しわ
)
のあるのともそうであったのに、ここではこれ
等
(
ら
)
の性質が離れてしまって
グレゴール・メンデル
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
顔の長くて
円
(
まる
)
くて大きいこと、海坊主のような男であったが、ひどく
大袈裟
(
おおげさ
)
な物々しい男のくせに、私と何の距てもない心の幼さが分るようであった。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
昔から世をはかなんで頭を
円
(
まる
)
めた男女はもとよりのこと、頭は円めないが、普通の生活をしていながら、世をはかなんだ男女の数は数限りもなくある。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
“円”の意味
《名詞》
円(えん)
(エン)丸。丸い形。また、そうであるさま。
(エン)(数学)面上で、ある1点から距離の等しい点を結ぶ曲線。
(エン)ある地域一帯。
(エン)日本の通貨単位。
(出典:Wiktionary)
円
常用漢字
小1
部首:⼌
4画
“円”を含む語句
円柱
円形
円卓
円満
円座
円卓子
円頂
楕円形
大団円
円屋根
円天井
円髷
円朝
円滑
円蓋
円石
高円
円筒
円顱
円居
...