全然まる)” の例文
生娘きむすめだ生娘だ、この女は! お紋とはちがう、全然まるで異う! ……胸の円さ、乳房のふくよかさ! ……そうして何んと清浄なんだ! ……見たこともない
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何故なぜなら全然まるほかことかんがへてるからである。昨日きのふきみおくつてれたチエホフの短篇集たんぺんしふんでると、ツイ何時いつにか「ボズ」さんのことかんがした。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
全然まる代診だいしんのやうではなく、元老議員げんらうぎゐんとでもひたいやうである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それも彼奴きゃつ等の癖だからまアえわ、辛棒出来んのは高山や長谷川の奴らの様子だ、オイ細川、彼等きゃつら全然まるでだめだぞ、大津と同じことだぞ、生意気で猪小才ちょこざいで高慢な顔をして
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
別れたる、離れたる親子、兄弟、夫婦、朋友、恋人の仲間あいだの、逢いたきおもいとは全然まるちがっている、「縁あらばこの世で今一度会いたい」との願いの深い哀しみは常に大友の心に潜んでいたのである。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)