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焉
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えん
ふりがな文庫
“
焉
(
えん
)” の例文
にもかかわらず、派手な寝まきすがたの萩乃は、この大騒動をわれ関せず
焉
(
えん
)
と、ぼんやり床のうえにすわって、もの思いにふけっているのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さればいよいよ湯上りの
両肌
(
りょうはだ
)
脱ぎ、
家
(
うち
)
が
潰
(
つぶ
)
れようが地面が裂けようが、われ
関
(
かん
)
せず
焉
(
えん
)
という有様、身も魂も打込んで鏡に向う姿に至っては、先生は全くこれこそ
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
地上は血潮で赤く染んでいようとも、関せず
焉
(
えん
)
として月は白く澄んでいる。空の無関心がそこにある。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
宿の
吾
(
わ
)
が部屋の真正面に
聳
(
そび
)
えているものに高崎山がある。この山は
由布
(
ゆふ
)
、鶴見などの山系とはやや離れて、別府湾頭にひとり超然として聳えておる。
吾
(
わ
)
れ関せず
焉
(
えん
)
という
風
(
ふう
)
に。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
君らの真理や科学や知的義務などは、そのいかめしい探究の可能的結果については、口をぬぐって関せず
焉
(
えん
)
としている。芸術のための芸術だって!……なるほどりっぱな信念だ。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
九百日、
開
(
あ
)
かずの
間
(
ま
)
で、眼を
曝
(
さら
)
してきた
尨大
(
ぼうだい
)
な和漢の書物の中にも、こういう人間の大事は一行もなかったようである。沢庵もまた男と女の問題だけは、われ関せず
焉
(
えん
)
、と逃げた。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それくらゐのことがまとまらないでは、昔の北劍も老いたり
焉
(
えん
)
ぢやから、なア。」
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
そして、例の猪首を窮屈そうに詰襟のうえにそらし、我
関
(
かん
)
せず
焉
(
えん
)
といったふうでいながら、教室では無論のこと、廊下を歩いている時でも、次郎には特別の注意を払っていたのである。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
しかしその故にこそ、文壇生活四十余年の間、終始一貫いわゆる鏡花調文学で押し通すことの出来たわけでもあり、文壇の時流から超然として、吾関せず
焉
(
えん
)
の態度を堅持し得られたものと思われます。
泉鏡花先生のこと
(新字新仮名)
/
小村雪岱
(著)
渡り廊下でつづいた別棟に、お蓮様、丹波をはじめ道場の一派、われ
関
(
かん
)
せず
焉
(
えん
)
とばかり、ひっそり
閑
(
かん
)
と暮らしているんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
馬は、見むきもせず、われ
関
(
かん
)
せず
焉
(
えん
)
と、かッたるそうに目の皮をふさいでいる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われ
関
(
かん
)
せず
焉
(
えん
)
と水口の土間で、かまどの下を吹きつけていたお藤が、気のない声で答える。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
焉
漢検1級
部首:⽕
11画
“焉”を含む語句
終焉
不関焉
忽焉
慊焉
少焉
終焉記
吾不関焉
掲焉
溘焉
炳焉
烏亭焉馬
終焉地
焉馬
在焉
劉焉
御終焉
邈焉
日月相推而明生焉
漠焉
済々焉
...