-
トップ
>
-
艷
>
-
えん
兎角は
一押、と
何處までもついて
行くと、
其の
艷なのが
莞爾して、
馭者には
知らさず、
眞白な
手を
青い
袖口、ひらりと
招いて
莞爾した。
紋着、
白えりで
盛裝した、
艷なのが、
茶わんとはしを
兩手に
持つて、
目の
覺めるやうに
顯れて、すぐに
一切れはさんだのが、その
人さ。
買はん
哉、
甘い/\
甘酒の
赤行燈、
辻に
消ゆれば、
誰そ、
青簾に
氣勢あり。
閨の
紅麻艷にして、
繪團扇の
仲立に、
蚊帳を
厭ふ
黒髮と、
峻嶺の
白雪と、
人の
思は
孰ぞや。
やがて
實る
頃よ。——
就中、
南の
納戸の
濡縁の
籬際には、
見事な
巴旦杏があつて、
大きな
實と
言ひ、
色といひ、
艷なる
波斯の
女の
爛熟した
裸身の
如くに
薫つて
生つた。
得之たるは、
知らず、
機の
下に
寢て
梭の
飛ぶを
視て
細君の
艷を
見ざるによるか、
非乎。
こゝに
於て、はじめは
曲巷の
其處此處より、やがては
華屋、
朱門に
召されて、
其の
奧に
入らざる
處殆ど
尠く、
彼を
召すもの、
皆な
其の
不具にして
艷なるを
惜みて、
金銀衣裳を
施す。
……
中に、
紅絹の
切に、
白い
顏の
目ばかり
出して
褄折笠の
姿がある。
紅茸らしい。あの
露を
帶びた
色は、
幽に
光をさへ
放つて、たとへば、
妖女の
艷がある。
庭に
植ゑたいくらゐに
思ふ。
引添つて、
手拭を
吉原かぶりで、
艷な
蹴出しの
褄端折をした、
前髮のかゝり、
鬢のおくれ
毛、
明眸皓齒の
婦人がある。しつかりした、さかり
場の
女中らしいのが、もう
一人後についてゐる。
之よりして、
天下御免の
送狼、
艷にして
其の
且美なのも
亦、
車の
上から
幾度も
振返り
振返りする。
其が
故とならず
情を
含んで、
何とも
以て
我慢がならぬ。
此のあたり、
神魂迷蕩不知兩足䟜跚也。