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椽
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えん
ふりがな文庫
“
椽
(
えん
)” の例文
月は一庭の
樹
(
じゆ
)
を
照
(
て
)
らし、樹は一庭の影を落し、影と光と
黒白
(
こくびやく
)
斑々
(
はん/\
)
として
庭
(
には
)
に
満
(
み
)
つ。
椽
(
えん
)
に
大
(
おほい
)
なる
楓
(
かへで
)
の如き影あり、
金剛纂
(
やつで
)
の落せるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
入口の
襖
(
ふすま
)
をあけて
椽
(
えん
)
へ出ると、
欄干
(
らんかん
)
が四角に曲って、方角から云えば海の見ゆべきはずの所に、中庭を
隔
(
へだ
)
てて、表二階の
一間
(
ひとま
)
がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
贅肉
(
いぼ
)
あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを
撫
(
なで
)
、社の
椽
(
えん
)
の下の
𥴩子
(
かうし
)
の内へ
投
(
なげ
)
いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
これが精一杯のお世辞の
挨拶
(
あいさつ
)
だといふやうに、ぶつきら棒に云つた。そして直ぐ
椽
(
えん
)
から盆栽棚のたくさん並んでゐる庭へ下りて行つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
猫ならば鼠を捕って新しい
中
(
うち
)
に食うから、自分も肥え太りまたその辺も片付くのだが、猫入らずでは天井裏や
椽
(
えん
)
の下に不用なものが残る。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
屋敷の中に穴を
掘
(
ほっ
)
て隠れて居ようか、ソレでは雨の降るときに困る。土蔵の
椽
(
えん
)
の下に
這入
(
はいっ
)
て居ようか、
若
(
も
)
し大砲で撃れると困る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
町「たとえ此の山奥で
餓死
(
うえじに
)
するとも
野天
(
のでん
)
で自殺は後日の物笑い、何者の
住
(
すま
)
いかは知らぬが、少々お
椽
(
えん
)
を拝借いたします、南無阿弥陀仏/\」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
低い
椽
(
えん
)
に腰を掛けたような具合にごく
鐙
(
あぶみ
)
の紐を短くして足を折って乗って居る。男でも女でも皆乗り方は同じです。私共も始めは大変に困りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
第十
常居
(
ゐま
)
は
濕氣
(
しめりけ
)
少
(
すくな
)
く
日當
(
ひあた
)
りよくして
風
(
かぜ
)
の
透
(
とほ
)
る
樣
(
やう
)
に
心
(
こゝろ
)
を
用
(
もち
)
ふ
可
(
べ
)
し。一ヶ
年
(
ねん
)
一兩度
(
いちりやうど
)
は
必
(
かなら
)
ず
天井
(
てんじやう
)
また
椽
(
えん
)
の
下
(
した
)
の
塵
(
ちり
)
を
拂
(
はら
)
ひ、
寢所
(
ねどころ
)
は
高
(
たか
)
く
燥
(
かわ
)
きたる
方
(
はう
)
を
擇
(
えら
)
ぶべき
事
(
こと
)
。
養生心得草
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
この二人の姿が消えると、芝居で観る久松のような
丁稚
(
でっち
)
が這入って来た。丁稚は大きい風呂敷包を
卸
(
おろ
)
して
椽
(
えん
)
に腰をかけた。どこへか
使
(
つかい
)
に行く途中と見える。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
椽
(
えん
)
へ立って見ると、どうやら、河口へ出た
家鴨
(
あひる
)
を、通りがかりの小舟が、網を投げかけたので、驚ろいて橋の下を越して、沖へ出ていったものらしかった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
二十年前までは椿岳の
旧廬
(
きゅうろ
)
たる梵雲庵の画房の戸棚の隅には椿岳の遺作が
薦縄搦
(
こもなわから
)
げとなっていた。余り沢山あるので
椽
(
えん
)
の下に
投
(
ほう
)
り込まれていたものもあった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そして、しばらく
物
(
もの
)
をも
云
(
い
)
はずに
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んだやうにしてゐると、
急
(
きふ
)
に
日
(
ひ
)
が
短
(
みぢ
)
かくなつたやうに、
開
(
あ
)
けはなしてある
椽
(
えん
)
の
方
(
はう
)
からうす
暗
(
くら
)
い
影
(
かげ
)
が
見
(
み
)
え
初
(
はじ
)
めるのであつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
寄て見ると左の拇指と人指し指とを
創
(
いため
)
て居りました——。
椽
(
えん
)
から飛出した時暗がりから不意に
斫
(
き
)
り付けたのを
短銃
(
ぴすとる
)
で受止めたが切先きが余つて
創
(
きずつ
)
ひたのです——。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
私
(
わし
)
も
手早
(
てばや
)
く
草鞋
(
わらじ
)
を
解
(
と
)
いたから、
早速
(
さツそく
)
古下駄
(
ふるげた
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して、
椽
(
えん
)
から
立
(
た
)
つ
時
(
とき
)
一寸
(
ちよいと
)
見
(
み
)
ると、それ
例
(
れい
)
の
白痴殿
(
ばかどの
)
ぢや。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山林
家
(
いえ
)
蔵
(
くら
)
椽
(
えん
)
の下の
糠味噌瓶
(
ぬかみそがめ
)
まで譲り受けて村
中
(
じゅう
)
寄り合いの席に
肩
(
かた
)
ぎしつかせての
正坐
(
しょうざ
)
、片腹痛き世や。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
杉を磨いた丸柱の前に
団
(
かた
)
まって、移庁論の影弁慶が、南部だとか北部だとか、鮭の鑑定でもないことを云って居るのがあれば、その後を
環
(
めぐ
)
る
椽
(
えん
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
凭
(
もた
)
れかゝって
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
二
階
(
かい
)
と謂ツても、
眞
(
ほ
)
ンの六
畳
(
でふ
)
一
(
ひ
)
と
室
(
ま
)
で、一
間
(
けん
)
の
押入
(
おしいれ
)
は付いてゐるが、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
もなければ
椽
(
えん
)
も無い。何のことはない
箱
(
はこ
)
のやうな
室
(
へや
)
で、たゞ南の方だけが中窓になツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
西洋料理人でも日本料理人でも今の有様は
椽
(
えん
)
の下の力持、誰が好い腕を持っている、誰が何料理を得意にすると
各々
(
おのおの
)
独得の
技倆
(
ぎりょう
)
を持っていながら
更
(
さ
)
らに世人へは知れていません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
見れば小さな仕事部屋に幾つかの素材と、二、三の簡素な道具とが散らばっている。それだけだが家の
椽
(
えん
)
には彼が刻んだ素晴らしい角型の火鉢が無造作に使われているではないか。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
家が
徒
(
いたづら
)
に広いばかりで陽が当らない——一つは雪が五尺も六尺も一晩に降るために、防寒を第一の目的として建てられたこの国の家屋は、南の
椽
(
えん
)
でも庇が深くて日当りがわるいから
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
今日と
成
(
な
)
りては
惜
(
お
)
しき事をしましたと
談次
(
だんじ
)
、先生
遽
(
にわ
)
かに
坐
(
ざ
)
を
起
(
たち
)
て
椽
(
えん
)
の方に
出
(
いで
)
らる。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
不意に驚く正雄の
膝
(
ひざ
)
を突のけつつ
椽
(
えん
)
の方へと駆け
出
(
いだ
)
すに、それとて一同ばらばらと勝手より太吉おくらなど飛来るほどにさのみも行かず椽先の柱のもとにぴたりと坐して、
堪忍
(
かんにん
)
して下され
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
アヽ何かおつかさんに
貰
(
も
)
らひにでも来て、留守といふのに気を落したのではないかと、フト私の心に浮んでは、
巾着
(
きんちやく
)
の一銭銅貨が急にやり
度
(
たく
)
なり、考へ直す
暇
(
いとま
)
もなく
椽
(
えん
)
を下りて、一ト走り
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
離れるものは
没義道
(
もぎどう
)
に離れて行く。未練も
会釈
(
えしゃく
)
もなく離れて行く。玄関から座敷に引き返した小夜子は
惘然
(
もうぜん
)
として、
椽
(
えん
)
に近く坐った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
贅肉
(
いぼ
)
あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを
撫
(
なで
)
、社の
椽
(
えん
)
の下の
𥴩子
(
かうし
)
の内へ
投
(
なげ
)
いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
子供のキャッチボールのそれ球をわんわんのように
這
(
は
)
って
椽
(
えん
)
の下にさがしに行ったりどろだらけな靴下をつくろってやることもあります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
枝折戸
(
しをりど
)
閉
(
と
)
ぢて、
椽
(
えん
)
に
踞
(
きよ
)
す
程
(
ほど
)
に、十時も過ぎて、
往来
(
わうらい
)
全
(
まつた
)
く絶へ、月は頭上に
来
(
きた
)
りぬ。一
庭
(
てい
)
の
月影
(
つきかげ
)
夢
(
ゆめ
)
よりも
美
(
び
)
なり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
(
若
(
わか
)
い
坊様
(
ばうさま
)
連
(
つ
)
れて
川
(
かは
)
へ
落
(
お
)
つこちさつさるな。おら
此処
(
こゝ
)
に
眼張
(
がんば
)
つて
待
(
ま
)
つ
居
(
と
)
るに、)と
横様
(
よこさま
)
に
椽
(
えん
)
にのさり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
るにその年の夏のはじめ、一匹の
蛙
(
かわず
)
が
椽
(
えん
)
から座敷へ這上って、右お部屋様の寝間の
蚊帳
(
かちょう
)
の上にヒラリと飛び上ったので、取あえず
侍女
(
こしもと
)
共を呼んでその蛙を取捨てさせた所が
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
も一度立って、廻り
椽
(
えん
)
の
障子
(
しょうじ
)
も、次の
間
(
ま
)
への
襖
(
ふすま
)
も、丸窓の障子もみんな明けて来た。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私の父といふは三つの
歳
(
とし
)
に
椽
(
えん
)
から落て片足あやしき風になりたれば人中に立まじるも嫌やとて
居職
(
いしよく
)
に
飾
(
かざり
)
の
金物
(
かなもの
)
をこしらへましたれど、気位たかくて
人愛
(
じんあい
)
のなければ
贔負
(
ひいき
)
にしてくれる人もなく
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「また始めやがツた。」と俊男は
眉
(
まゆ
)
の間に
幾筋
(
いくすぢ
)
となく
皺
(
しわ
)
を寄せて
舌打
(
したうち
)
する。
切
(
しきり
)
に
燥々
(
いら/\
)
して來た
氣味
(
きみ
)
で、奧の方を見て眼を
爛
(
きら
)
つかせたが、それでも
耐
(
こら
)
えて、體を
斜
(
なゝめ
)
に兩足をブラり
椽
(
えん
)
の板に落してゐた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
高坏
(
たかつき
)
、茶碗、皿、壺、鉢など見たいと思ったものが
椽
(
えん
)
にずらりと
列
(
なら
)
ぶ。その現物と一々照し合せ、画を描いて寸法を定め注文にとりかかる。
天目
(
てんもく
)
と
白磁
(
はくじ
)
との両方である。凡てで幾百個になったのか。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
椽
(
えん
)
から足をぶらさげれば、すぐと
踵
(
かかと
)
は
苔
(
こけ
)
に着く。道理こそ昨夕は
楷子段
(
はしごだん
)
をむやみに
上
(
のぼ
)
ったり、
下
(
くだ
)
ったり、
異
(
い
)
な
仕掛
(
しかけ
)
の
家
(
うち
)
と思ったはずだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
会葬者は、座敷にも
椽
(
えん
)
にも並み余り、本堂の周囲の土に立っている。わたくしは会葬者中の親族席を見廻す。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ヒイヽン!
叱
(
しつ
)
、どうどうどうと
背戸
(
せど
)
を
廻
(
まわ
)
る
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
が
椽
(
えん
)
へ
響
(
ひゞ
)
いて
親仁
(
おやぢ
)
は一
頭
(
とう
)
の
馬
(
うま
)
を
門前
(
もんぜん
)
へ
引出
(
ひきだ
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
春にいたれば寒気地中より
氷結
(
いて
)
あがる。その力
礎
(
いしずへ
)
をあげて
椽
(
えん
)
を
反
(
そら
)
し、あるひは
踏石
(
ふみいし
)
をも持あぐる。冬はいかほど
寒
(
かん
)
ずるともかゝる事なし。さればこそ雪も春は
凍
(
こほり
)
て
輴
(
そり
)
をもつかふなれ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
椽
(
えん
)
に
栗山桶
(
くりやまおけ
)
がおいてあって、
御簾
(
みす
)
のかかっている
家
(
うち
)
の話に移っていった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
申
(
まをす
)
まいと思ふ時はどうしても嫌やでござんすとて、ついと立つて
椽
(
えん
)
がはへ
出
(
いづ
)
るに、雲なき空の月かげ涼しく、見おろす町にからころと
駒下駄
(
こまげた
)
の音さして
行
(
ゆき
)
かふ人のかげ
分明
(
あきらか
)
なり、結城さんと呼ぶに
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「私? 私はね、そうね——裏二階がいいわ——
廻
(
まわ
)
り
椽
(
えん
)
で、加茂川がすこし見えて——三条から加茂川が見えても好いんでしょう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日向
(
ひなた
)
の
椽
(
えん
)
などに小さい眼をおとなしくしばたたいて居る所などの氏は
丁度
(
ちょうど
)
象かなどの様に見えます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
春にいたれば寒気地中より
氷結
(
いて
)
あがる。その力
礎
(
いしずへ
)
をあげて
椽
(
えん
)
を
反
(
そら
)
し、あるひは
踏石
(
ふみいし
)
をも持あぐる。冬はいかほど
寒
(
かん
)
ずるともかゝる事なし。さればこそ雪も春は
凍
(
こほり
)
て
輴
(
そり
)
をもつかふなれ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
初めのうちは
椽
(
えん
)
に近く聞えた声が、しだいしだいに細く
遠退
(
とおの
)
いて行く。突然とやむものには、突然の感はあるが、
憐
(
あわ
)
れはうすい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜中に急に風呂を沸かさせたり、
椽
(
えん
)
の下の奥に
蔵
(
しま
)
つてある重いものを取出さしたり——さういふときには兄の
鞆之助
(
とものすけ
)
が、ぶつ/\いふ召使を困りながら指揮して、その
衝
(
しょう
)
に当つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
もし人声が
賑
(
にぎや
)
かであるか、座敷から
見透
(
みす
)
かさるる恐れがあると思えば池を東へ廻って
雪隠
(
せついん
)
の横から知らぬ
間
(
ま
)
に
椽
(
えん
)
の下へ出る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
椅子
(
いす
)
テーブルの点茶式や、洋食を緩和して懐石の献立中に含めることや、そのときまで、一部の間にしか企てられていなかった方法を一般に流布せしめる
椽
(
えん
)
の下の力持とはなった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もっとも吾輩は
椽
(
えん
)
の下にいるから実際叩いたか叩かないか見えようはずがないが、この禿頭の音は近来
大分
(
だいぶ
)
聞馴れている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
座敷の正面に荒家に不似合いの立派な仏壇が見え、正座に蓮如上人を据え、源右衛門と妻のおさきが少し離れて
遜
(
へりくだ
)
って相対して居る。蓮如上人の弟子竹原の幸子坊は
椽
(
えん
)
に腰掛けている。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
長い
袖
(
そで
)
をふらつかせながら、二三歩
膝頭
(
ひざがしら
)
で
椽
(
えん
)
に近く
擦
(
す
)
り寄って来る。二人の距離が鼻の先に
逼
(
せま
)
ると共に
微
(
かす
)
かな花は見えた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
椽
漢検1級
部首:⽊
13画
“椽”を含む語句
椽端
椽側
椽大
椽先
竹椽
椽木
額椽
椽鼻
濡椽
椽配
板椽
椽続
内椽
露椽先
呉椽
破椽
氷椽
土佐椽
天椽
椽無
...