えん)” の例文
その時副将軍のえん公という者があって、尹翁と古い知合であった。ちょうど西の方に向けて出発することになって尹の所へ寄った。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
今日の状態は独りえん世凱せいがい〕政府たるがためのみでなく、袁ほろんでそんぶん〕が立とうが、こうこう〕が立とうが、誰が立とうとも同一である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
えん一門の閥族中には、淮南わいなん袁術えんじゅつのような者もいるし、大国だけに賢士を養い、計謀のうつわ、智勇の良臣も少なくない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊びに往ったといっても、それは物見遊山ものみゆさんのためでなく、漂白して往ったもののように思われる。ところで、この魏土地に女主人でえんを姓とする豪家があった。
碧玉の環飾 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
即ち満州政府も失敗すれば革命党もまた失敗し、その中間なるえんが成功して主権者となり総統となった。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
文醜は、帰陣すると、「えん将軍の命であるから」と称し、四分の一弱の兵を玄徳に分けて、二陣へ退がらせてしまった。そして自身は、優勢な兵力をかかえ、第一陣ととなえて前進を開始した。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えん長官のむすめで、御主人である」
碧玉の環飾 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これが抑々そもそも我輩が一年前に支那に最後の忠告を与え、藩属地はんぞくちにはただ宗主権を収めて独立せしめよと言ったゆえんである。けれどえん総統は当時の我輩の所説には耳を傾けなかった。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
唯々いいとご承諾になったようですが、何といっても淮南わいなん豊饒ほうじょうの地、えん一族は名望と伝統のある古い家柄です。先ごろ呂布と一戦してやぶれたりといえども、決して軽々しく見ることはできません。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)