えん)” の例文
しかしこのえんじゅんの二龍にも、苦手にがてな者がないではない。それは城内の守備隊である。「そいつに出て来られたら……」と、いささかひるふうが見えなくもなかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名はえんあざなは伯寿、本御厩みうまや氏、肥前の人である。蘭医方をジイボルドに受けた。幕府は安政五年に冲斎等を挙げ用ゐるに及んで、さきに阿部正弘が老中たる時に下した禁令を廃したさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「どれ、一匕いつぴ深く探る蛟鰐こうがくえんと出掛けやうか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
叔父とおいだが、年ばえは二人とも大しては違っていない。叔父のえんには出林龍とアダ名があり、甥のじゅんは、あたまの後ろにこぶがあるので独角龍と世間で異名いみょうされている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)