えん)” の例文
あるいはそのえんを訴うるによしなきを知るべからずといえども、偶然に今日の事実を見ればこそ、前年に乱を好みしは、その心事の本色ほんしょくに非ず
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
伊佐子さんばかりでなく、奥さんまでが本当にそう信じているならば、山岸のために進んでそのえんをすすぐのが自分の義務であると思いました。
白髪鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「宜いとも。お互が当り前の若旦那じゃないということを如実に見せてやる。僕は妻に対してえんそそぐって気もあるんだ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それには、りっぱに、蔦之助つたのすけあてたあとがある。かれのえんはそそがれた。そして、競射きょうしゃ不当ふとう勝点しょうてんをうばっていた徳川家とくがわけは、一ぱい地にまみれてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太祖の血をけて、英雄傑特の気象あるもの、いずくんぞ俛首べんしゅしてえんに服するに忍びんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其の金を隠して有った所から其の引き出した度数と月日まで此の権田うじが取り調べて悉く証拠を得たので最早高輪田を処刑し、秀子のえんを雪ぐ事が容易である、けれど道九郎
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
えんもまたはなはだしいと思ったのである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
こういう一時の史家の流行説は、戦国武人のために、そのえんをここにそそいでおかねばならない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大兄が祖先のえんを明らかになさろうとする点は充分にわかるが、あの小説を読まれて
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)