いま)” の例文
ただこんないまわしい曲の記憶なぞは、一刻も早くぬぐい去ってしまいたいと思っていられるかのように、新しい曲に老いの情熱をめていられるばかりでした。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
お菊の胸を往来するものは、役者らしくもなく純情な中村新八郎の姿で、阿武隈大膳正の、情痴にただれた醜怪な大肉塊は、恐ろしくいまわしく、そして汚らわしくさえ思われました。
ヴァランタンは実は死刑執行やその他のいまわしい事務についての最初の手配りをしていたのだ。そうした仕事は腹の底から不快なことであったが彼はそれをテキパキと片づけるのが常であった。
「ゆめ、いまわしい事を目に見ないように」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)