“あく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アク
語句割合
54.8%
灰汁12.1%
9.4%
9.0%
7.4%
2.2%
1.3%
1.1%
0.4%
0.4%
0.2%
吹呿0.2%
0.2%
悪業0.2%
悪汁0.2%
0.2%
灰水0.2%
灰汗0.2%
苦汁0.2%
邪悪0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのあくる朝の事。元五郎親爺は素裸体に、鉈をしっかりと掴んだままの死体になって、鎮守さまのうしろの井戸から引き上げられた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私はまだ、どこか灰汁あく抜けしない女臭いところがあるのかと、自分を顧みまして、努めようとしましたが、もうわけが分りません。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
伜幸吉には何の罪も無之、あくまでも成瀬屋をうらむは此冠兵衞に候。その證據として近々一家をみなごろしに仕る可く隨分要心堅固に被遊可あそばさるべく候 頓首
あくる日爺はその事を村の者に話した。するとおれも今晩は見届てやると村の若者は爺の家に集って、寝ずにその頃となるのを待っていた。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「腰ぬけっ」またしても、あくたれや小石を、後ろから浴びせるのであったが、介は宗業のことばを思いだして耳の穴をふさぎながら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつては彼の胸の血潮をき立たせるようにした幾多の愛読書が、さながらあくびをする静物のように、一ぱいに塵埃ほこりの溜った書棚しょだなの中に並んでいた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
腹だけが大きくふくれて、眼のギョロッとした子供が、炉の中のあくを手づかみにして、口へ持って行っていた。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
かん中の余技よぎとしてたのしむ僕達ぼくたち棋戰きせんでさへ負けてはたのしからず、あく手をしたりみの不足でみをいつしたりした時など
あくがれわたる窓近く小鳥轉じてまぎれむと
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「あア、それですか」と篠田の軽く首肯うなづくを、老女は黙つて穴のあくばかりに見つめたり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
窶然みすぼらしき姿にてお前に致せ母にせよ私しの家へ來られては内外の手前も面目なし此以後共に格別かくべつの御用もなきに御出は御無用とあくまで惡口あくこう吐散はきちらはぢしむるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
にめざめ、しめりに吹呿あく
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
彼のせはしげに格子をあくるを待ちて、紳士は優然と内にらんとせしが、土間の一面に充満みちみちたる履物はきものつゑを立つべき地さへあらざるにためらへるを、彼はすかさず勤篤まめやか下立おりたちて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これはこれ悪業あく栄光さかえ、 かぎすます北斎の雪。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「見えたって、服が蕨の悪汁あくで真黒になりますよ。」
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
かくて南郡、襄陽、荊州の三城は、血もみずに、孔明の一あくに帰してしまったものである。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粒のまま灰水あくの中に永く浸しておいて渋を抜くのをマルザワシ、一方最初から粉にしてさわすのが粉ざわしである。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
灰汗あく洪水でみず胸底むなぞこ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
「やたらに、仕事がしよい晩だと思って、気がげてきて仕方がない。——どうも馬春堂、おめえは少し、悪党にしちゃ半端でいけねえ。もう少し苦汁あくが抜けて来そうなもんだ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らは、失敗してこっちへ戻ってくるともうすっかり気力きりょくがなくなってね、そのうえにあの世界でいろいろな邪悪あくまって、それを洗いおとすために、それはそれはひどい苦しみをくりかえすのだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
古典としての匂いが光被して、あくや、脂気を変じて、人に迫る力としていることも、否まれない。
歌の円寂する時 (新字新仮名) / 折口信夫(著)