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悪
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あく
ふりがな文庫
“
悪
(
あく
)” の例文
旧字:
惡
私
(
わし
)
はその
前刻
(
さつき
)
から
何
(
なん
)
となく
此
(
この
)
婦人
(
をんな
)
に
畏敬
(
ゐけい
)
の
念
(
ねん
)
が
生
(
しやう
)
じて
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
か、
何
(
ど
)
の
道
(
みち
)
命令
(
めいれい
)
されるやうに
心得
(
こゝろえ
)
たから、いはるゝままに
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
は
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「腰ぬけっ」またしても、
悪
(
あく
)
たれや小石を、後ろから浴びせるのであったが、介は宗業のことばを思いだして耳の穴をふさぎながら
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これは
悪
(
あく
)
の火の神アーリマンの術ではなくて、
善
(
ぜん
)
の火の神オルムーズドの煙だから、役に立たない不用な物しか煙にはなせないのだ」
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
然
(
しか
)
し、逸作達が批判的に見る世の子供達は一見
可愛
(
かわい
)
らしい形態をした
嫌味
(
いやみ
)
な
悪
(
あく
)
どい、無教養な粗暴な、
而
(
し
)
かもやり切れない存在だ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうすると相手はあざ笑って、お古ならまだいいが、新しいのだ、今でも月に二三度はお手がつくのだと
悪
(
あく
)
たれたのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
むしろ
悪
(
あく
)
どい
刺戟
(
しげき
)
に富んだ、
生
(
なま
)
なましい色彩ばかりである。彼はその晩も膳の前に、
一掴
(
ひとつか
)
みの
海髪
(
うご
)
を枕にしためじの
刺身
(
さしみ
)
を見守っていた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、すぐそばで
冷
(
ひ
)
やかすような
笑
(
わら
)
い
声
(
ごえ
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
悪
(
あく
)
たれで
通
(
とお
)
っているドゥチコフのいやな声だ。シューラは
思
(
おも
)
いがけなさにぴくっとなった。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
また枳園に幾多の
悪
(
あく
)
性癖があるにかかわらず、抽斎がどの位、その才学を尊重していたかということも、これによって想像することが出来る。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
親
(
しん
)
を
洽
(
あまね
)
くし衆を和するも、
恒
(
つね
)
に
斯
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
てし、
禍
(
わざわい
)
を造り
敗
(
はい
)
をおこすも、
恒
(
つね
)
に
斯
(
ここ
)
に於てす、其
悪
(
あく
)
に懲り、以て善に
趨
(
はし
)
り、其儀を
慎
(
つつし
)
むを
尚
(
たっと
)
ぶ、といえり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
例へば、余り善良なものは却つて
悪
(
あく
)
人であるかの如く
怯
(
おび
)
えるものだといふシヱクスピヤの言事は高橋に当
箝
(
はま
)
るだらう。
高橋新吉論
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
子供
(
こども
)
には
罪
(
つみ
)
がありません。みんな
大人
(
おとな
)
の
犯
(
おか
)
した
悪
(
あく
)
の
酬
(
むく
)
いです。どうか、
世間
(
せけん
)
にそのことがわかってもらいたいのです。
子供は悲しみを知らず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
少し大きい唇にさした
嚥脂
(
べに
)
の、これも
悪
(
あく
)
どい色の今は怖ろしいよう、そして
釣目
(
つりめ
)
は遠い
白雲
(
しらくも
)
を一直線に眺めている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
するとその超人はあわてて後をむいて、こっちをじろじろみながら
悪
(
あく
)
たれ
口
(
ぐち
)
をたたいている連中の方に手でなにか合図をした。それはしかっているらしかった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ゆえに
富貴
(
ふうき
)
必ずしも不正ならず、子夏が「
富貴
(
ふうき
)
天
(
てん
)
に在り」と言ったのは、意味の取りようによって富貴必ずしも
悪
(
あく
)
と言えず、むしろ
天
(
てん
)
の
賜物
(
たまもの
)
という意に取れる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
人間も米を食ったり、鳥を食ったり、
肴
(
さかな
)
を食ったり、
獣
(
けもの
)
を食ったりいろいろの
悪
(
あく
)
もの食いをしつくしたあげくついに石炭まで食うように堕落したのは
不憫
(
ふびん
)
である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一日
(
あるひ
)
夢然、三条の橋を過ぐる時、
一五二
悪
(
あく
)
ぎやく
塚
(
づか
)
の事思ひ出づるより、かの寺
眺
(
なが
)
められて、
白昼
(
ひる
)
ながら物
凄
(
すざま
)
しくありけると、
京
(
みやこ
)
人にかたりしを、そがままにしるしぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
倉地に
悪
(
あく
)
たれ口をきいた瞬間でも葉子の願いはそこにあった。それにもかかわらず口の上では全く反対に、倉地を自分からどんどん離れさすような事をいってのけているのだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そんなに
悪
(
あく
)
どい苦しみだとは、孝子には察しもつかなかったが、桜津が自分への
思慕
(
しぼ
)
だと、思いちがいをした、長恨歌の、夕殿蛍飛思悄然という句を選みだしたということには
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私がよほど
悪
(
あく
)
たれたことでも言ったからであろうが、私としては、悔しくて悔しくて、ずいぶん永いあいだ泣いたように思う。そして一生涯、その不愉快の感じが幾らか残っていた。
私の父
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
ポローニヤス、わしは、もう君たちを許すのが、いやになった。君は、おろかだ。見え透いている。わしは、人間の
悪
(
あく
)
を許す事は出来ますが、人間のおろかさは、許す事が出来ない。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
扶
(
たす
)
けて強きを
挫
(
くじ
)
くと江戸で逢ったる長兵衛殿を応用しおれはおれだと小春お夏を跳ね飛ばし泣けるなら泣けと
悪
(
あく
)
ッぽく出たのが
直打
(
ねうち
)
となりそれまで拝見すれば女
冥加
(
みょうが
)
と手の内見えたの格を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「これが
橡
(
とち
)
、あれが桂、
悪
(
あく
)
ダラ、
沢胡桃
(
さわぐるみ
)
、アサヒ、ハナ、ウリノ木、……」
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
その時にはもういつのまにか大きな月が出て、高野の満山を照らして居り、空気が澄んでゐるので光が
如何
(
いか
)
にも美しく、
悪
(
あく
)
どく忙しくせつぱつまつた
現世
(
げんぜ
)
でも、やはり身に
沁
(
し
)
みるところがあつた。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その頃銀座には関西の思ひ切つて
悪
(
あく
)
どい趣味の大規模のカフヱが幾つも進出してゐた。女給の中にはスタア級の映画女優にも劣らない花形女給も輩出してゐて、雑誌や新聞の娯楽面を
賑
(
にぎ
)
はしてゐた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし
俺
(
おれ
)
は
有害
(
ゆうがい
)
なことに
務
(
つと
)
めてると
云
(
い
)
うものだ、
自分
(
じぶん
)
の
欺
(
あざむ
)
いている
人間
(
にんげん
)
から
給料
(
きゅうりょう
)
を
貪
(
むさぼ
)
っている、
不正直
(
ふしょうじき
)
だ、けれども
俺
(
おれ
)
その
者
(
もの
)
は
至
(
いた
)
って
微々
(
びび
)
たるもので、
社会
(
しゃかい
)
の
必然
(
ひつぜん
)
の
悪
(
あく
)
の一
分子
(
ぶんし
)
に
過
(
す
)
ぎぬ、
総
(
すべ
)
て
町
(
まち
)
や
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
天道
(
てんどう
)
善
(
ぜん
)
に
福
(
さいわい
)
し
悪
(
あく
)
に
禍
(
わざわい
)
す。きみの忠誠は大丈夫天に通じています」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
悪
(
あく
)
」と「
惑
(
わく
)
」とは声も近いようで
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
濡れつつ
淀
(
よど
)
む
悪
(
あく
)
の雲そのとどろきに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
最前、ここをだしてくれなければ、火をつけるぞと
悪
(
あく
)
たれを
吐
(
つ
)
いていた、その
弁天
(
べんてん
)
さまのほうへ、声をしぼって救いをよんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
氏の
息
(
むすこ
)
のまれに見るいたずらっ子が、
悪
(
あく
)
たれたり、あばれたりすればする
程
(
ほど
)
、氏は愛情の
三昧
(
ざんまい
)
に這入ります。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その時分の僕は随分
悪
(
あく
)
もの食いの隊長で、
蝗
(
いなご
)
、なめくじ、赤蛙などは食い
厭
(
あ
)
きていたくらいなところだから、蛇飯は
乙
(
おつ
)
だ。早速御馳走になろうと爺さんに返事をした。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは強いて静廬を回護するに意があるのではないが、これを読んで、トルストイの芸術論に詩的という語の
悪
(
あく
)
解釈を挙げて、口を極めて
嘲罵
(
ちょうば
)
しているのを想い起した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
葬礼の
控
(
ひかえ
)
のように
逆
(
さかさ
)
とじなどと言う
悪
(
あく
)
はしてありませんから、何なら、
初筆
(
しょふで
)
を一つ……
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
オルムーズドから世の中に遣わされたのだと心得ていなければならない。もしよからぬ心を起こすと、お前の術は
悪
(
あく
)
の火の神アーリマンのものとなって、自分を
亡
(
ほろ
)
ぼすようなことになる
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
悪
(
あく
)
の雲とどろとどろの
乱擾
(
らんぜう
)
に
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「——十手捕縄をもつ人間は、鬼のごとく無慈悲なものと思われているが、人間
皆
(
みな
)
悪
(
あく
)
、人間皆善、
情涙
(
じょうるい
)
には誰も変りはない」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わざわざ出かけて行って
其処
(
そこ
)
にふみ入ったり、
附
(
つ
)
きまつわったりするのは
悪
(
あく
)
どくて嫌だ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
悪
(
あく
)
の
驕奢
(
おごり
)
は言葉なくして
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いまにおれの
気合
(
きあ
)
いが乗って、この
水独楽
(
みずごま
)
がブンとうなって見ろ、
悪
(
あく
)
たれをいったその口がまがって、
面目
(
めんぼく
)
名古屋
(
なごや
)
の
乾大根
(
ほしだいこん
)
、
尻尾
(
しっぽ
)
を
巻
(
ま
)
いて
逃
(
に
)
げだすだろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
痍
(
きず
)
つける
悪
(
あく
)
のうごめき
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
たるを
問
(
と
)
わず、さきに神文の
約
(
やく
)
をやぶれば天下の
武芸者
(
ぶげいしゃ
)
にその
信
(
しん
)
を
失
(
うしな
)
わなければならない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帝との
流人
(
るにん
)
暮らしを共にして来たなどは、小宰相にはかなしみだったにはちがいないが、しかし彼女は、
隠密
(
おんみつ
)
の
悪
(
あく
)
そのものを、つらい役目とも罪深いこととも思っていなかった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われらは世から
盗
(
ぬす
)
ッ
人
(
と
)
といわれています。だが人は言っても、われらの内では
盗
(
とう
)
は盗でも、ただの
悪
(
あく
)
には終るまい、何か一善は、世間にお返ししようぜと、これは鉄則にしていたはず。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『決して、元金利子共、一文も御損はおかけいたさぬつもり。それに、拝借した金子は二両、あの後藤
彫
(
ぼり
)
の目貫は、少くも廿枚以上の品と承知しておる。それではあまり
悪
(
あく
)
どいではないか』
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫
(
つま
)
あるひとの
垣
(
かき
)
の、あだし
妻花
(
つまばな
)
を
寝盗
(
ねぬす
)
むの
科
(
とが
)
、その
罪業
(
ざいごう
)
十
悪
(
あく
)
を
越
(
こ
)
え、
無間地獄
(
むげんじごく
)
の火坑に落ちんもよし。何かは、この想いの苦しみにまさるべきかは。——盛遠は、夢に、うなされぬくのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから一概に今を悲観するにはあたらないし、世相の「
悪
(
あく
)
」だけを見て、見えない「
善
(
ぜん
)
」を否定するのは、過去において「善」のみを肯定して一切の「悪」を無視したのと同じ間違いの因になろう。
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
納屋の中から、暗くなるまで、日吉の
喚
(
わめ
)
く
悪
(
あく
)
たいが聞えた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
俺
(
おら
)
んことを、一緒になって、
悪
(
あく
)
ていいうからだい」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いまの
悪
(
あく
)
たれを」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“悪”の解説
悪(あく)は、一般的な意味では、善の反対または欠如である。非常に広い概念であることもあるが、日常的な使い方では、より狭い範囲で深い邪悪さを表現することが多い。それは一般的に、複数の可能な形をとると考えられている。例えば、悪と一般的に関連している個人的な道徳的悪、または非個人的な自然的悪(自然災害または病気の場合のように)の形や、宗教的思想においては悪魔的または超自然的/永遠的な形などである。
(出典:Wikipedia)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
“悪”を含む語句
悪戯
悪魔
悪漢
悪口
憎悪
悪寒
悪気
悪業
悪鬼
悪性
醜悪
好悪
折悪
悪霊
悪感
邪悪
悪戯盛
悪狡
悪徒
悪戯気
...