“こんな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
此様22.7%
斯様20.3%
恁麽18.8%
這麽9.4%
此樣5.5%
這麼4.7%
此麼3.9%
如斯2.3%
斯樣2.3%
恁麼1.6%
此麽1.6%
斯麽0.8%
那様0.8%
如是0.8%
如此0.8%
恁様0.8%
恁那0.8%
斯麼0.8%
此処0.8%
此那0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此様こんな女の人は、多勢の中ですもの、幾人もあったでしょうが、其あかさんをいて御居での方が、妙に私の心を動かしたのでした。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
旅人は斯様こんな山中にどうして斯様こんな女がいるかと怪しみながら傍へ行こうとすると蔦葛つたかずらや、いばらに衣のからまって、容易に行くことが出来ず
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私はそれらの讃嘆にかかわらず、ときとしては恁麽こんなにしてこれが何になるとか、いますぐ自分に酬いられるとかいうことを考えなかった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
勘次かんじは一整骨醫せいこついもんくゞつてからは、世間せけんには這麽こんな怪我人けがにんかずるものだらうかとえず驚愕おどろき恐怖おそれとのねんあつせられてたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
必然さう云ふ風になるべき一般の國民性にもとゐしたものに相違ない………つい此樣こんな事を考へて自分は危く五番町の停留場を通過ぎやうとして急いで電車を下りた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
すこしも乘客じようきやくわづらはさんやうにつとめてゐるおれか、れとも這麼こんな一人ひとり大騷おほさわぎをしてゐた、たれにも休息きうそくせぬ利己主義男りこしゆぎをとこか?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「然し君のやうに此麼こんなにぶく/\ぢやないんだとさ。」そして彼は真白な彼女の腕首をびしりと叩いた。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
文学でも武芸でも何でも外に出ることが出来さえすれば難有ありがたいと云うので出掛けたことだから、故郷を去るに少しも未練はない、如斯こんなところに誰が居るものか、一度いちど出たらば鉄砲玉で
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
づ/\橋板を踏むと、足の底がふわりとして、一足毎に橋は左右に前後に上下に搖れる。飛騨山中、四國の祖谷いや山中などの藤蔓の橋の渡り心地がまさに斯樣こんなであらう。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
(それでは恁麼こんなものでこすりましてはやはらかいおはだ擦剥すりむけませう、)といふと綿わたのやうにさはつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことに此麽こんな派手な座敷のいろいろな飾り立や、女のもって来た三味線や、業業しく並べ立てられた果物の皿などが、寺の静かな部屋とくらべて考えると
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
『さう、眞箇ほんとうに!』おそれて尻尾しツぽさきまでもふるへてゐたねずみさけびました。』わたし斯麽こんなことはなしたが最期さいごわたしの一家族かぞくのこらずねこ仇敵かたきおもふ。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
あいちやんはなんともひませんでした、うまれてからいままでに斯麽こんな無愛想ぶあいさうことはれたことがなかつたので、あいちやんははなは面白おもしろからずおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
此方こちら暢気のんきなものだから那様こんなこととはちつとも知らない、山田やまだまた気振けぶりにも見せなかつた、けれどもさきにも言ふごとく、中坂なかさかに社をまうけてからは、山田やまだまつた社務しやむあづからん姿であつたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
予備門よびもんに入学して一年いちねんばかりぎての事であるが、山田やまだの第二中学にる時分から早くすで那様こんな了見りやうけんが有つたらしいのです、一年いちねんぜん其志そのこゝろざしいだいたわたしだ小説のふでつて見なかつたのであるが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いろ蒼白まッさを!……ほかにもたれやら? や、パリスどのまで? あまつさへ血汐ちしほひたって?……あゝ/\、なんといふ無慚むざん時刻じこくぢゃ、如是こんなあさましいことをば一とき爲出來しでかすとは!……や、ひめ身動みうごきやる。
そこで僕は色々と聞きあつめたことを総合して如此こんなふうな想像を描いていたもんだ。……先ず僕が自己の額に汗して森を開き林を倒し、そしてこれに小豆あずきく、……
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お目に懸つたら恁様こんなに申上げようと思つて、十八語ばかりで立派な御挨拶をこしらへて御殿にあがつてみると皇帝は非常に鄭重なお言葉で色々御物語があるぢやないか
僕か僕は目黒の不動さんの方へ行つて居たんだ。君、此春色駘然たる時に古臭い本なんか読むな、僕は君が恁那こんな処でぐずぐずして居るのを
斯麼こんな奴に見込まれてはたまらないと思つて、急足いそぎあし伊太利イタリイ銀行の前へ出て折好く来合せた六号の電車に飛乗つてサンタ・マリア・デレ・グラツチイの方にむかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それより外のものは何一つ見当らない——かれらがどうして此処こんなところに住んでいるかということ、それが何時いつから始められているかということは、ほとんどおぼろげな記憶を過っても
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
此那こんなに打ち明けて頼りにされて居る自分は又他人から世話にならなければならない年で、物質の助力は勿論、精神的にだって
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)