這麽こんな)” の例文
ハッと氣が附いて、怎して這麽こんな氣持がしたらうと怪んで見る。それが日一日と數が多くなつて行く、時間も長く續く樣になつて行く。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
勘次かんじは一整骨醫せいこついもんくゞつてからは、世間せけんには這麽こんな怪我人けがにんかずるものだらうかとえず驚愕おどろき恐怖おそれとのねんあつせられてたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
這麽こんな氣がし出してから、早いもので、二三日つと、モウ私は何を見ても何を聞いても、直ぐフフンと鼻先であしらふ樣な氣持になつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな気がし出してから、早いもので、二三日経つと、モウ私は何を見ても何を聞いても、直ぐフフンと鼻先であしらふ様な気持になつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分には智恵子に思はれる権利でもある様に感じてゐる。『吉野を帰して了ふ工夫はないだらうか!』這麽こんな考へまでも時として信吾を悩ました。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
されば若し此一文を讀む人があつたなら、その人は、『何だ立花、君は這麽こんな事を眞面目腐つて書いたのか。』と頭から自分を嘲笑あざわらふかも知れない。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
されば若し此一文を読む人があつたなら、その人は、『何だ立花、君は這麽こんな事を真面目腐つて書いたのか。』と頭から自分を嘲笑あざわらふかも知れない。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は這麽こんな性質ですから諄々つべこべ言つて見ることも御座いますが、人の前ぢや眼許りパチパチさしてゐて、カラもう現時いま青年わかいものの樣ぢやありませんので。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな事を出任せに口走つて見て、渠はヒヨクリと立上り、杉の根方を彼方此方あちらこちらわざと興奮した様な足調あしどりで歩き出した。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
滝の如くとは這麽こんな時に形容する言葉だらう。抑へても溢れる。抑へようともせぬ。噛りついた布団の裏も、枕も、濡れる、濡れる、濡れる。…………
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は這麽こんな性質たちですから諄々つべこべ言つて見ることも御座いますが、人の前ぢや眼許りパチクリ/\さしてゐて、カラもう現時いま青年わかいものの様ぢやありませんので。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな氣持がする樣になつてから、私は何故といふ理由もなしに「毎日」の日下部君と親しく往來する樣になつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな気持がする様になつてから、私は何故といふ理由もなしに「毎日」の日下部君と親しく往来する様になつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
幸福とは何か? 這麽こんな考へが浮んだ。神の愛にすがるが第一だ、と自分に答へて見た。不※智惠子は、今日一日全く神に背いて暮した樣な氣がして來た。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
幸福とは何か? 這麽こんな考へが浮んだ。神の愛にすがるが第一だ、と自分に答へて見た。不図智恵子は、今日一日全く神に背いて暮した様な気がして来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな社會だから、赤裸々な、堂々たる、小兒の心を持つた、聲の太い人間が出て來ると、鼠賊共、大騷ぎだい。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな社会だから、赤裸々な、堂々たる、小児せうにの心を持ツた、声の太い人間が出て来ると、鼠賊共、大騒ぎだい。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ハ、其邊まで御同伴ごいつしよ。』と馴々しく言ひ乍ら、はにかむ色もなく男と並んで、『マア私の方が這麽こんなに小さい!』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
まつたく古山と合議の結果だ。或は古山の方が當の發頭人であるかも知れない。イヤ然うあるべきだ、この校長一人丈けでは、如何どうして這麽こんな元氣の出る筈が無いのだもの。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
這麽こんな理由とも気が付かず、唯モウ暗い陰影かげに襲はれると自暴やけに誇大なことばを使つて書く、筆が一寸つまづくと、くすんだ顔を上げて周匝あたりを見る。周匝は何時でも平和だ、何事も無い。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
突然いきなり這麽こんな事を口汚く罵つて、お由はドタリと上框あがりかまちの板敷に倒れる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
イヤ然うあるべきだ、この校長一人丈けでは、如何して這麽こんな元気の出る筈が無いのだもの。一体この古山といふのは、此村土着の者であるから、既に十年の余も斯うして此学校に居る事が出来たのだ。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)