這麼こんな)” の例文
なんだ、またこれをつてかへるほどなら、たれいのちがけにつて、這麼こんなものをこしらへやう。……たぶらかしやあがつたな! 山猫やまねこめ、きつねめ、野狸のだぬきめ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すこしも乘客じようきやくわづらはさんやうにつとめてゐるおれか、れとも這麼こんな一人ひとり大騷おほさわぎをしてゐた、たれにも休息きうそくせぬ利己主義男りこしゆぎをとこか?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うすると私達も、いつかは茸のやうな這麼こんなほのかな風味に舌鼓したづゝみを打つ興味に感じなくなつてしまふかも知れぬ。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
這麼こんなふう中坂なかさかしやまうけてからは、石橋いしばしわたしとが一切いつさい処理しよりして、山田やまだ毎号まいごう一篇いつぺんの小説を書くばかりで、前のやうに社にたいしてみつなる関係くわんけいを持たなかつた、とふのが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
従ってこれに関して読者諸君を益するような斬新ざんしんな勉強法もなければ、面白い材料も持たぬが、自身の教訓の為め、つまり這麼こんな不勉強者は、ういう結果になるといういましめ
私の経過した学生時代 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
這麼こんな物を食つて一人前にんまへ五フラン以上払はされたのを見ると菜食料理は倹約になる訳で無い。この家の入口いりくちの右手は本屋に成つて居て諸国の菜食主義ヹジタリズムの出版物ばかりを並べて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
くまでも昨日きのふしき懊惱なやみ自分じぶんからはなれぬとしてれば、なにわけがあるのである、さなくていまはしいかんがへ這麼こんな執念しふね自分じぶん着纒つきまとふてゐるわけいと。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
壁に掛けて置いたキユビストの絵を見附けて「あなたは這麼こんな物を好くか」と云ふから
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
だ/\有るがちよつと胸にうかばない、這麼こんなふう業躰げふていが違つてるのです、さうして、後〻のち/\硯友社員けんいうしやいんとして文壇ぶんだんに立つた川上眉山かはかみびさん巌谷小波いはやせうは江見水蔭えみすゐいん中村花痩なかむらくわさう広津柳浪ひろつりうらう渡部乙羽わたなべおとは
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
山田やまだが四きふに入つて来たのです、実に這麼こんな意外なおもひをした事が無い、第二中学にた時はわたしより二きふうへ山田やまだが、予備門よびもんでは二きふしたくみに入つて来たのでせう、わたし何為どうした事かと思ひました、しか
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『だがなんため貴下あなたわたし這麼こんなところにれてくのです?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)