此麼こんな)” の例文
「それは丈夫だと言っていました。病気で泣くんじゃないって——そして此麼こんなに神経の立っている子は珍らしいって言いましたよ。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「然し君のやうに此麼こんなにぶく/\ぢやないんだとさ。」そして彼は真白な彼女の腕首をびしりと叩いた。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
私は此夜、此麼こんなのを何十組となく見せつけられて、少からず憤慨してゐたが、殊にも其處が人通の少い街なので、二人の樣子が一層睦じ氣に見えて、私は一層癪に觸つた。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは、暇な時には、随分想像を逞しくして、あんな家、此麼こんな家と、考えを廻します。
書斎を中心にした家 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
きよ子はふと此麼こんなことを言った。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)