此処このへん)” の例文
旧字:此處
「茶の湯の師匠、おおそうか、実はな拙者無骨者で、これまで茶の湯を学んだことがない。……此処このへんへ来たのも何かの因縁、入門をして学びたいが……」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「へえ」と思わず返辞をして、彼は四辺あたりを見廻わした。すでに此処このへんは千日前で、時刻は夜の八時前、人の出盛る真最中、せ返えるような人いきれで、楽には呼吸いきさえ出来ない程であった。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)