腫物おでき)” の例文
五歳になるその上の女の子は、頭から顔から腫物おできが出来て、夜になるとそれが痛いのかかゆいのか、これも又ヒステリイの様に泣き叫ぶのだ。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
水谷は頭に腫物おできの跡が充満いつぱいある、何時いつも口からよだれの伝はつて居る厭な厭な子でした。そして水谷は子供のくせに千筋縞せんすぢしま双子織ふたこおりの着物を着て居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
腫物おできの子を見れば、そのつむりを撫でて療法を教え、病人のある家をのぞけば度々見舞ってほどこして去る。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右の足に豆粒のような小さい腫物おできが出来たため、是非なくフラシテンの靴をはいて来たほどで、抑〻初めから踊ろうなどとは少しも考えないで出席していたのであるが
「鋏で切つてやつたんです 腫物おできができたから」
閒花集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)