“ひや”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒヤ
語句割合
69.7%
冷酒4.9%
火箭4.3%
冷水4.0%
3.4%
陽焦2.1%
日焦2.1%
冷笑1.5%
火矢1.2%
素見0.9%
陽焼0.9%
冷評0.6%
日焼0.6%
火屋0.6%
氷屋0.3%
0.3%
冷嘲0.3%
日灼0.3%
檜屋0.3%
比屋0.3%
0.3%
鄙野0.3%
陽灼0.3%
陽炎0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お豊はそう云いながら、角樽つのだるを取って、その口からひやのまま飲もうとした。深喜は近よってその手をとらえ、角樽を奪って脇へ置いた。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「私も生玉子か、冷酒ひやで一杯ひっかけようと思っていた所で、御同様に酒の気がないと意気地がありませんからな。」
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浜城をつつんだ高山右近長房たかやまうこんながふさや、中川藤兵衛の軍も、火箭ひや、鉄砲の豊富な新兵器の威力をつくし、忽ち、そこを焦土とした。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忠「ねえさん、お気の毒でございますが水が飲みとうございますから、冷たいお冷水ひやを一杯戴きたいもので」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひやを一口という息切いきぎれのするむすめが、とても不可いけません、すまないこッてすがせめてお一人だけならばと、はりも意気地もなく母親の帯につかまって、別際わかれぎわ忍泣しのびなきに泣いたのを
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一学は舌打ちをして肩越かたごしに眼を向けた。三十四五の旅商人たびあきんどにしては陽焦ひやけの浅い男である。ひとみがぶつかると、急に世辞笑いをして
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小初は、み台のやぐらの上板に立ち上った。うでを額にかざして、空の雲気を見廻みまわした。軽く矩形くけいもたげた右の上側はココア色に日焦ひやけしている。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
実は先刻さっきから云おうかそうかと思って、考えていたんですけれども、そんな風に兄さんから冷笑ひやかされて見ると、私だって黙って帰るのがいやになります。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
火矢ひやの材木をき切つた天満北木幡町てんまきたこばたまちの大工作兵衛さくべゑなどがそれである。かう云ふ製造は昨晩まで続けられてゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
二三軒雑誌を素見ひやかして、中央會堂の少しさきから本郷座の方に曲ツた。何んといふことはなかツたがウソ/\と本郷座の廣ツ場に入ツて見た。閉場中だ。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
すこしはなれている、ぼくにさえ聞えるほどのはげしい動悸どうき粒々つぶつぶの汗が、小麦色に陽焼ひやけした、豊かなほおしたたり、黒いリボンで結んだ、髪の乱れが、くびすじに、汗にれ、まつわりついているのを
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
もし私が持って生れたこの単純な性情に自己を託してかえりみないとすると、時々飛んでもない人からだまされる事があるだろう。その結果かげで馬鹿にされたり、冷評ひやかされたりする。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とそつはないが、日焼ひやけのしただらけのむねへ、ドンと打撞ぶつかりさうにれらるる、保勝会ほしようくわい小笠原氏をがさはらしの——八ぐわつ午後ごご古間木こまきうてより、自動車じどうしやられ、ふねまれ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
春ともいはぬ火屋ひや白幕しろまく 桃鯉とうり
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この人たちは氷屋ひやへ殖林を見にいらつしやいました役人さんに助けられて來たのですが、役人さんが初めここへ一人でいらつしやいましたときに、夕飯を一人前用意しといてくれと云つて
榛名 (旧字旧仮名) / 横光利一(著)
この方は死にきれずに、苦しまぎれに山番のところへいつて、水をくれと云つたので、山番に助けられてここへ歸つて來ましたが、もう一つは心中で、あの向ふの氷屋ひやのところでありました。
榛名 (旧字旧仮名) / 横光利一(著)
それをんな混て一旦いったん沸立にたたせて布巾ふきんこしてレモン油を小匙に軽く一杯加えて大きなブリキ鉢かあるいはゼリー型へ入て氷でひやし固めます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それからまた今のゼリーをその上へんで氷でひやし固めるのです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「もっと若い綺麗きれいな人が、どんどん見舞に来てくれると病気も早くなおるんだがな」と云って看護婦を笑わせた彼は、すぐ彼女から冷嘲ひやかし返された。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と栖方は低く笑いながら、額に日灼ひやけのすじの入った頭をいた。狂人の寝言のように無雑作むぞうさにそう云うのも、よく聞きわけて見ると、恐るべき光線の秘密を呟いているのだった。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
能美のみ江沼えぬま檜屋ひや大聖寺だいしょうじの諸郡に、それぞれ守備をおき、まず将来への基点としておいて、自身はきたしょうへ陣を移した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時沖縄に革命が起って尚巴志の王朝が亡ぶとさっそく首里城の京の中で国王選挙の大会が開かれたとのことでありますが、群衆の中から白髪の老人安里あさと比屋ひやが声を放って
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
晴代はたまらないと思つたので、急いで円タクを飛ばした。皆んなにおひやらかされて、札びら切つてゐる木山の顔が目に見えるやうだつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
西洋諸国たえて鄙野ひやの教門なし。ここをもって人の好むところにまかするもまた可ならん。かつ人々しき高く、学ひろし。あに木石虫獣を拝する者あらんや。わが邦はすなわちしからず。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
仕事にかかる瞬間から終るまでの間、去ることのない愁眉しゅうびが一時に開いて行くような、静かな表情の変化が陽灼ひやけた顔に窺えるだけなのである。
男はガルールの頭のてっぺんから、真黒に陽炎ひやけのした頑丈な頸筋や、広い肩や、逞ましい腕のあたりをじろじろと見た。