冷水ひや)” の例文
「お宅へ着いて、ホッとひと安心いたしましたが、まだこのように胸が波を打っておりまする。誰か、お冷水ひやを一杯下さいませんか」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忠「ねえさん、お気の毒でございますが水が飲みとうございますから、冷たいお冷水ひやを一杯戴きたいもので」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いゝえ、お冗舌をすればするほど家庭のボロが出るばかりです。それに何だか気がむしゃくしゃして来て……恐れ入りますが、お冷水ひやを一杯戴かせて下さいませ」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
エヂソンが風船の材料として選んだのは、八歳やつゝになる自分のお友達だつた。この小発明家はお友達に沸騰散をしこたま飲ませておいてあとからお冷水ひやをぐつと一杯煽飲あふらせた。
「夢でもごらんになったのですか、お冷水ひやでもあがって、気をお鎮めなさいまし」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
宴席えんせきどなりの空部屋あきべやころむと、ぐたりとたが、したゝか反吐へどをついて、お冷水ひや五杯ごはいんだとやらで、ウイーと受持うけもちの、一番いちばんさんへとこりにて、おや、旦那だんなつてころげてるね
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうなすったの。お冷水ひやでもあげましょうか」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
女「あの少しお冷水ひやを頂きいもんでございます、此処こゝに有るのを頂いても宜しゅうございましょうか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「後生ですから、これへ汲みたてのお冷水ひやをいっぱい頂戴」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「お気の毒だがお冷水ひやを一つ下さい。」
「水でよくきずを洗ってやりましょう、あなた、お冷水ひやを」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お君はそのお冷水ひやを口に当てながら
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「お冷水ひやを持って来て」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それでは、お冷水ひやを」