ひや)” の例文
米「お嬢様え、のお方が、出ていらっしゃったらばおひやを掛けてお上げ遊ばせ、お手拭てぬぐい此処こゝにございます」
ひやを一口という息切いきぎれのするむすめが、とても不可いけません、すまないこッてすがせめてお一人だけならばと、はりも意気地もなく母親の帯につかまって、別際わかれぎわ忍泣しのびなきに泣いたのを
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美紗 (かつに)おひや。(端のほうに掛けて食卓に頬杖をついている)
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「息づかいがお荒うございますのね。おひやでも……」
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「おひやを持ってきてあげましょうか。」
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ひやを持って参りましょうか」
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さて萩原は便所から出て参りますと、嬢様は恥かしいのが一杯で只茫然ぼんやりとしておひやを掛けましょうとも何とも云わず、湯桶ゆおけを両手に支えているを、新三郎は見て取り
「よく、お前、呼吸いきを殺していられてね、苦しいだろう、湯か、おひやでも上げようかい。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美紗 おひやといったら、お水を持ってくれぁいいのよ。
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「放せ、ひ、ひやなど、要るか」
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「おひや。」と光子は云った。
生あらば (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
(おひやを取かえて参りましょうか。)枕頭まくらもとにあるんですから。(いや、熱い湯だ。……時々こんな事がある。飲過ぎたと見えて寒気がする。)……これがふすま越しのやりとりよ。……
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
落人のていである。その饂飩屋うどんやへ入った時は、さすがにお悦が「おひやを、お水を。」と云った。そうして、立続けにあおって、はじめて酔ったように、……ぼっと血の色が顔に上ったのである。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……小いお娘様あねえさまもその御縁で、学校のお帰りなんぞに、(小母さんおひやを一杯。)なんて、お寄りなすって下さいますし、土地第一の貴女方あなたがたに御心安く願いますので、房州出のこんな田舎ものも
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おひやを?」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)