“水口”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みなくち36.4%
みずぐち31.8%
みずくち15.9%
みづぐち6.8%
みづくち4.5%
いり2.3%
みなぐち2.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三人が言い合わせたようにそちらをみやると、水門の水口みなくちのところに、腰打ちかけてこちらを向いている一人の白い姿があるのです。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この秋よ、雲は白うて、事もなき世にしあるかな。山村はここの水之尾、樋のへりにみそ萩さきて、みそ萩に水だまはねて、水ぐるまやまずめぐれり、その水口みなくちに。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
女中は居睡りでもしていたらしく、二、三度呼ばせて漸く出て来た。彼女は水口みずぐちの障子をあけて、不審そうに半七らをながめていた。
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
干潮の刻限である為か、河の水はまだ意外に低かった。水口みずぐちからは水が随分盛んに落ちている。ここで雨さえやむなら、心配は無いがなアと、思わず嘆息せざるを得なかった。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それが耳について思わず立ちどまる途端に、水口みずくちの戸を押し倒すような物音がして、ひとりの女が露路の中から転がるように駈け出して来た。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半七は手拭を取って頬かむりをして、草履の足音を忍ばせながら、河内屋の水口みずくちに身をよせていると、ひとりの若い女が手桶をさげて来た。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どちらがあたまかわからないが、一方に洗面場の水口みづぐちの螺旋の把手のやうな、そして其よりも大きなものがついてゐて、その下部の脇の方に、真鍮製の小さい口がついてゐた。
フアイヤ・ガン (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
猫はいよいよ不安さうに、戸の明いた水口みづぐちにらみながら、のそりと大きい体を起した。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かたかたく、あしがふるへて、その左側ひだりがはうち水口みづくちへ。……
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
私はふと水口みづくちの土間に泥の附いた長靴があるのを見るのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
印旛沼水口いりの細江にる鳥の青頸鴨のこゑはひびけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鈴鹿を越えて水口みなぐちから江州草津へ——この道筋は、京都に上るには当然な順路であるので、武蔵はつい先頃、通ったばかりのところであるが、年暮くれいっぱいに目的地へ着き、初春はるはそこで屠蘇とそみたし——という気持もあって、真っ直に来たのであった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)