水口みなくち)” の例文
三人が言い合わせたようにそちらをみやると、水門の水口みなくちのところに、腰打ちかけてこちらを向いている一人の白い姿があるのです。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
中村栗園先生の門を素通りその時の道中であったか、江州ごうしゅう水口みなくち中村栗園なかむらりつえん先生の門前を素通すどおりしましたが、れははなはだ気に済まぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
丹三郎の不仕鱈ふしだらには限りが無かった。草津、水口みなくち土山つちやまを過ぎ、鈴鹿峠すずかとうげにさしかかった時には、もう歩けぬとわめき出した。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
山村のここの水之尾、のへりにみそ萩さきて、みそ萩に水だまはねて、水ぐるまやまずめぐれり、その水口みなくちに。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
脊割羽織せわりばおり無反むぞりの大小を差し、水口みなくち或は八丈の深い饅頭笠まんじゅうがさかぶって顔を隠したる四五人の侍がまいりました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「馬だよ。はやく馬を出しておくれよ。水口みなくちまでいくらだい。安ければ、草津まで乗ってやってもいいぞ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此てうちんをもあらそうばふにかならずやぶる、そのほね一本たりとも田の水口みなくちへさしおけば、この水のかゝる田は熟実みのりよく虫のつく事なし。神灵しんれいのあらたかなる事あまねく人の知る所なり。
苗代なわしろの真中であったのが、後々水口みなくちから田のくろの一部に移り、さらに家の中でうすを伏せをあおのけ、または床の間や神棚の上でも、祭をするようになったものと私は見ている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
馬が歩けば、馬上の荷物も自然と歩くとみえて、京を落ちてから四日目の夕方、水口みなくちから関ヶ原を廻ってかくれ街道を忍んで来た落人たち三人は、ようやく名古屋の旧お城下へ辿たどりついた。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「そんならなんだっておれのほうへ水こないように水口みなくちとめないんだ。」
グスコーブドリの伝記 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
山村はここの水之尾、樋のへりにみそ萩さきて、みそ萩に水だまはねて、水ぐるまやまずめぐれり、その水口みなくちに。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たとえば、野洲やせ郡と甲賀郡の嘆願組が合流して水口みなくちに廻ろうとすると、栗田郡の庄屋が戸田村へ出揃って来る。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
常陸、下総を両岸にして、武蔵へ流れる他の諸川しょせんと、上総の海へ吐かれてゆく利根川とに、この毛野川の末は、水口みなくち(今の水海道の辺)のあたりで結びあっている。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども私の父はその人物を愛して、身分の相違をわず大層たいそう丁寧に取扱うて、大阪の倉屋敷の家に寄寓きぐうさせて種々しゅじゅに周旋して、とう/\水口みなくちの儒者になるように取持ち
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此てうちんをもあらそうばふにかならずやぶる、そのほね一本たりとも田の水口みなくちへさしおけば、この水のかゝる田は熟実みのりよく虫のつく事なし。神灵しんれいのあらたかなる事あまねく人の知る所なり。
馬は水口みなくちからこっちへ帰る旅人か馬子に託してもよいからと頼むと、おやじはお通の物腰に信用を改めて、それなら水口の宿場まででも、草津まででもかまわないから、馬は
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両岸の村民が水口みなくちを争って、あわや血の雨を降らそうという時に、水門の上へ悠々と身を現わして、仲裁を試みた上に、双方の代表を引具ひきぐして引上げた編笠の浪人が一人あったのだ。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
例えば江州ごうしゅう水口みなくち碩学せきがく中村栗園なかむらりつえんは父の実弟のように親しくして居ましたが、元来がんらい栗園の身分は豊前ぶぜん中津なかつ染物屋そめものやの息子で、所謂素町人の子だから、藩中士族は誰も相手になるものがない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
水口みなくちのえごのひと木の群花むらばなは田を植ゑそめていよよすがしさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
水口みなくちのえごのひと木の群花むらばなは田を植ゑそめていよよすがしさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
樂しみとかはづ聽く夜の水口みなくちは水も遊ぶか音ちよろろゆく
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
楽しみとかはづ聴く夜の水口みなくちは水も遊ぶか音ちよろろゆく
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)