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火箭
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ひや
ふりがな文庫
“
火箭
(
ひや
)” の例文
美しき目より
火箭
(
ひや
)
を放ちて人の胸を射るは、容易ならぬ事なれば許し難しと論告せしに、喝采の聲と倶に、花の雨は我頭上に降り
灑
(
そゝ
)
ぎぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それは
火箭
(
ひや
)
であった……しかもかつて見たことのない新しいものだ。
拇指
(
おやゆび
)
ほどもある鉄の矢の
尖
(
さき
)
に、火薬筒と油に浸した石綿が着けてある。
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
浜城をつつんだ
高山右近長房
(
たかやまうこんながふさ
)
や、中川藤兵衛の軍も、
火箭
(
ひや
)
、鉄砲の豊富な新兵器の威力をつくし、忽ち、そこを焦土とした。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、応と答えた横蔵が、
撥
(
ばち
)
を取り上げ、太鼓を連打すると、軍船を囲んだ小舟からは異様な喚声があがり、振り注ぐ
火箭
(
ひや
)
が花火のように見えた。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
夜間の花火は昼間程珍しくはなかったが、同様に目覚しかった。港の船舶は赤い提灯で飾られ、時々大きな
火箭
(
ひや
)
が空中に打上げられて、水面に美しく反射した。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
▼ もっと見る
遂にその匣の蓋をひらくと、たちまちにひと筋の
火箭
(
ひや
)
が飛び出して、むこう側の景徳廟の正殿の柱に立った。それから火を発して、殿宇も僧房もほとんど焼け尽くした。
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明軍の大将軍砲、
仏郎機
(
フランク
)
砲、
霹靂
(
へきれき
)
砲、子母砲、
火箭
(
ひや
)
等、城門を射撃する爆発の音は絶間もなく、焔烟は城内に満ちる有様であった。日本軍は壁に拠って
突喊
(
とっかん
)
して来る明軍に鳥銃をあびせる。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紅
(
べに
)
と緑の光弾、
円蓋
(
えんがい
)
、
火箭
(
ひや
)
、ああ、その銀光の
投網
(
とあみ
)
、
傘下
(
からかさおろ
)
し、爆裂し、
奔流
(
ほんりゅう
)
し、
分枝
(
ぶんし
)
し、交錯し、
粉乱
(
ふんらん
)
し、
重畳
(
ちょうじょう
)
し、
傘下
(
からかさおろ
)
し、傘下し、傘下し、八方に
爛々
(
らんらん
)
として一瞬にしてまた
闇々
(
あんあん
)
たる、清秀とも
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
翌日から、寄手はまた、
大呼
(
たいこ
)
して城へ迫った。水を埋め、
火箭
(
ひや
)
鉄砲をうち
浴
(
あび
)
せ、軽兵は
筏
(
いかだ
)
に乗って、城壁へしがみついた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真直な、光の筋を残して、
火箭
(
ひや
)
の如く舷から逃れ去る魚もあり、また混乱して戻って来るものもある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
そうしているうちに、
真
(
ま
)
っ
蒼
(
さお
)
に立ち上がってくる、山のようなうねりが押し寄せたと見る間に、その渓谷から尾を引いて、最初の
火箭
(
ひや
)
が、まっしぐらに軍船をめがけて飛びかかった。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
破れた荒筵のあいだから
黄金
(
こがね
)
の
火箭
(
ひや
)
のような強い光りを幾すじも
射
(
い
)
込んだ。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
城外の寄手は、
火箭
(
ひや
)
を撃ちこみ、
堤
(
どて
)
をくずし濠を埋め、また巨木を
伐
(
き
)
って
筏
(
いかだ
)
となし、どうなることかわからない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず、無名の雪嶺を名づけた、P1峰を越えたのが始め、
火箭
(
ひや
)
のように、細片の降りそそぐ氷河口の危難。峰は三十六、七、氷河は無数。まったく、この三月間の
艱苦
(
かんく
)
は名状し難いものだった。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ドドドドッ……遠くで起った地鳴りと共に、味方の頭上には
火箭
(
ひや
)
、石砲、薬砲の巨弾が、雨となって落ちて来る。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これが何百台となく、城壁の四方から迫ってきたのを見て、郝昭は立ちどころに、
火箭
(
ひや
)
を備えて待っていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
糧食、弾薬は、日を
趁
(
お
)
って、欠乏しはじめ、二の丸の敵の浴びせてくる
火箭
(
ひや
)
はのべつ火災を起し、防戦につくす兵力の大半も、消火に努めねばならなくなった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寄手は、三の丸に、また
望楼
(
ぼうろう
)
を組んだ。そして目の下の二の丸へ、
火箭
(
ひや
)
、鉄砲の雨をそそいだ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寄手は夜になると、間断なく、どこからともなく、
火箭
(
ひや
)
を城内へ射込んでいた。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして頭上を通ッてゆく味方からの
掩護
(
えんご
)
の
火箭
(
ひや
)
や矢叫びも、もう聞えず、あらゆる音震にも皮膚が無知覚になったとき、一つ一つの兵の顔は人間を脱して、眼と爪だけのものに変っていた。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水をふくんだ縄ばたきを持った兵が近くに落ちた
火箭
(
ひや
)
をすぐたたき消している。正成は歩いて、ひがし足場の松尾
季綱
(
すえつな
)
と、西足場の
神宮寺正師
(
じんぐうじまさもろ
)
、そのほかの
塁
(
るい
)
へむかって、初めてこう号令した。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに
宋朝
(
そうちょう
)
末には、
火箭
(
ひや
)
、石砲のほか、火薬による爆雷術なども発達しつつあったのか。ここに召出されて、即刻、征野へいそいで行った
轟天雷
(
ごうてんらい
)
凌振
(
りょうしん
)
の軍隊をみるに、その装備には驚目される。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「すわこそ」と、昼にもまして、弩弓や
火箭
(
ひや
)
を射るかぎり射てきた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突然、峰谷も崩るるばかり石砲や
火箭
(
ひや
)
の轟きがこだました。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“火箭”の意味
《名詞》
火 箭(かせん、ひや)
火を点けて射る矢。
打ち上げて信号として使う艦船の火具。
(出典:Wiktionary)
“火箭(
火矢
)”の解説
火矢(ひや)とは、敵方の建築物に遠距離から火を放つための矢のこと。現代の焼夷弾に相当する投射武器の総称である。火箭(かせん)ともいう。
(出典:Wikipedia)
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
箭
漢検準1級
部首:⽵
15画
“火”で始まる語句
火
火鉢
火傷
火照
火箸
火影
火焔
火桶
火光
火酒