冷笑ひや)” の例文
先にはこの男を、半端な悪玉と冷笑ひやかした伊兵衛も、冷静な思慮になると、やはり幾つでも年の上な馬春堂に、一ちゅうさないわけにまいりますまい。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実は先刻さっきから云おうかそうかと思って、考えていたんですけれども、そんな風に兄さんから冷笑ひやかされて見ると、私だって黙って帰るのがいやになります。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「話してもらおうかね、今の、おっそろしい広告の物品しなものは何だね」と岩本は冷笑ひやかすように云った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
庄太郎は、露骨に、冷笑ひやかすような口調を帯びて
しまいに「本郷台町の三階から遠眼鏡とおめがねで世の中をのぞいていて、浪漫的ロマンてき探険なんて気の利いた真似まねができるものか」と須永から冷笑ひやかされたような心持がし出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この調子で押して行くと彼はただお秀から冷笑ひやかされるようなものであった。彼はすぐ口を閉じた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)