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陽炎
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かげろ
ふりがな文庫
“
陽炎
(
かげろ
)” の例文
唯、朱雀の並み木の柳の花がほほけて、霞のように飛んで居る。向うには、低い山と、細長い野が、のどかに
陽炎
(
かげろ
)
うばかりである。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
こういう訳で敬太郎の頭に映る観音の
境内
(
けいだい
)
には、歴史的に
妖嬌陸離
(
ようきょうりくり
)
たる色彩が、十八間の本堂を包んで、小供の時から常に
陽炎
(
かげろ
)
っていたのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上野の山の松杉の遠く
真白
(
まっしろ
)
な中から、柳が青く
綾
(
あや
)
に流れて、
御堂
(
みどう
)
の棟は日の光紫に、あの氷月の背戸あたり、雪の
陽炎
(
かげろ
)
う幻の薄絹かけて、
紅
(
くれない
)
の花が、二つ、三つ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
種俵大口あけて
陽炎
(
かげろ
)
へり
普羅句集
(新字旧仮名)
/
前田普羅
(著)
唯、朱雀の並み木の柳の花がほけて、霞のやうに飛んで居た。向うには、低い山と狭い野が、のどかに
陽炎
(
かげろ
)
ふばかりであつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
けれども涼しい彼女の眼に宿る光りは、ただの怒りばかりではなかった。
口惜
(
くや
)
しいとか無念だとかいう敵意のほかに、まだ認めなければならない或物がそこに
陽炎
(
かげろ
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云うと、僕に始からある
目論見
(
もくろみ
)
があって、わざわざ鎌倉へ出かけたとも取れるが、
嫉妬心
(
しっとしん
)
だけあって競争心を
有
(
も
)
たない僕にも相応の
己惚
(
うぬぼれ
)
は陰気な暗い胸のどこかで時々ちらちら
陽炎
(
かげろ
)
ったのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“陽炎”の意味
《名詞》
陽 炎(ヨウエン、かげろう、かぎろい)
「かげろう(陽炎)」の漢語表現。
(出典:Wiktionary)
陽
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
炎
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
“陽”で始まる語句
陽
陽気
陽光
陽氣
陽溜
陽脚
陽焦
陽火
陽射
陽暦