“かげろう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カゲロウ
語句割合
陽炎92.6%
蜉蝣4.7%
蜻蛉1.6%
遊糸0.5%
陽遊0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
真鉄まがねたて黒鉄くろがねかぶとが野をおおう秋の陽炎かげろうのごとく見えて敵遠くより寄すると知れば塔上の鐘を鳴らす。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紺青こんじょうたたえたような海には、穏かな小さな波があって、白い沙浜すなはまには、陽炎かげろうが処どころに立ち昇っておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
陽炎かげろうのような陽影ひかげが、黒い格子こうし天井にうごいている。それを仰いでいる荒木十左衛門の足もとへ、内蔵助はふたたび平伏して、
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
み込んだ春の日が、深く草の根にこもって、どっかと尻をおろすと、眼に入らぬ陽炎かげろうつぶしたような心持ちがする。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
野には陽炎かげろうが立っていた。夏草が塵埃を冠っていた。小虫がパチパチと飛び翔けた。気持のよい微風が吹き過ぎた。ひどく気持のよい日であった。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『……ああいう人気者は蜉蝣かげろうだね、だからわずかな青春のうちに、巨大な羽ばたきをしようと焦慮あせるんだ——ね』
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
細かい宝石のように輝かせ、その木洩こもかよの空間に、蟆子ぶよ蜉蝣かげろうや蜂が飛んでいたが、それらの昆虫の翅や脚などをも輝かせて
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蜉蝣かげろう生涯しょうがい永劫えいごうであり国民の歴史も刹那せつなの現象であるとすれば、どうして私はこの活動映画からこんなに強い衝動を感じたのだろう。
春六題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼女は本当に都会の泡沫あわの中から現われた美しい蜉蝣かげろうですよ、ネネは、そのわずかな青春のうちに、最も多くの人から注目されたい、という、どの女にもあるその気持を、特に多分に、露骨に持っただけなんですね。
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
宇宙の存在の悠久にくらべたら蜉蝣かげろうの如きものである。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
すもものいらいらした肌にぴいんと立ち、蜻蛉かげろうのように震え、やがて停った。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
こんなついででもないとその記録ものこし得られぬから、退屈しのぎにその例を並べて見ると、古い所では『蜻蛉かげろう日記』にクツクツボウシ、『散木奇謌集さんぼくきかしゅう』にはウツクシヨシと鳴くとある。
康頼 まるで蜻蛉かげろうのようにやせている。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
汚く湿った土壌は、遊糸かげろうのような日光をむさぼり吸うていた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)