“背後向”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うしろむき66.7%
うしろむ33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小さなまげ鼈甲べっこうの耳こじりをちょこんとめて、手首に輪数珠わじゅずを掛けた五十格好のばばあ背後向うしろむきに坐ったのが、その総領そうりょうの娘である。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのままには帰らないで、溝伝いにちょうど戸外おもてに向った六畳の出窓の前へ来て、背後向うしろむきりかかって、前後あとさきみまわして、ぼんやりする。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
洋服の男は女の肩のあたりに手をやろうとして、体の向きを変えて背後向うしろむきになった。女は見向みむきもせずにその前をつかつかと通ろうとした。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
階子段はしごだんから声を掛けて、二階の六畳へあがり切らず、欄干てすりに白やかな手をかけて、顔をななめのぞきながら、背後向うしろむきに机に寄った当家の主人あるじに、一枚をもたらした。
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)