づか)” の例文
それと気が付いたときにはあッとくず折れそうであったにかかわらず、それでもふみ耐えて、手近かな垂木たるきをわしづかみにすることが出来たのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
婆奴等ばゝめらかまあななんてつけが、えゝから汝等わツらだまつててろ、なんてそれからおれぐうつとあたまふんづかめえて、背中せなかこすつたな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼らは、蒙古人のするとおりの真似をする。胡坐あぐらをかく、手づかみで食い、片手で馬をさばく。しかし、智能の程度は小学生をでぬ。とマア、こういったもんです。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
父は、じっと、それに目を通してから、右の手に、鷲づかみにしていた札束を、相手の面前に、突き付けた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
屈辱くつじょくの思いにひかれ、ベッドの上から、紅いセエム革の手帳を、わしづかみにし、一気に、階段をとんであがり、誰もいない、Cデッキのかげに行ってから、思いッきり手帳をとおくに投げつけました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
卓上の書類をわしづかみにして彼は立ちあがり、「しばらく」と云った。阿賀妻はうなずいてその後姿を見送り、急に空腹を覚えた。彼は使丁に云った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
そういう相手を高倉は引きるのだ。雲斎織りの上ッぱりはかぱかぱに凍っていた。その前襟をわしづかみにしてずるずると穴にはいって行った。さかく風が粉雪をあびせかけた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)