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微笑
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びしょう
ふりがな文庫
“
微笑
(
びしょう
)” の例文
わたしはふたたびあの見おぼえのある顔を、化粧した
頬
(
ほお
)
とちぢれたひげとを見ました。この男はまたわたしを見上げて
微笑
(
びしょう
)
しました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ちょっと
皮肉
(
ひにく
)
なところがありますが、
優
(
やさ
)
しい
微笑
(
びしょう
)
をたたえた皮肉で、世の中の不正や
醜
(
みにく
)
さに、それとなく
鋭
(
するど
)
い
鋒先
(
ほこさき
)
を向けています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
折々
(
おりおり
)
庭
(
にわ
)
で
遇
(
あ
)
う
会計係
(
かいけいがかり
)
の
小娘
(
こむすめ
)
の、
彼
(
かれ
)
が
愛
(
あい
)
していた
所
(
ところ
)
のマアシャは、この
節
(
せつ
)
は
彼
(
かれ
)
が
微笑
(
びしょう
)
して
頭
(
あたま
)
でも
撫
(
な
)
でようとすると、
急
(
いそ
)
いで
遁出
(
にげだ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
もう子どもたちもくちびるをゆがめて
微笑
(
びしょう
)
するくらいではすまなくなった。みんなはいっぱい口を開けて
笑
(
わら
)
いだしてしまった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
田中中尉は
不相変
(
あいかわらず
)
晴ればれした
微笑
(
びしょう
)
を浮かべている。こう云う
自足
(
じそく
)
した微笑くらい、
苛立
(
いらだ
)
たしい気もちを
煽
(
あお
)
るものはない。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
ちょっと
侮蔑
(
あなどり
)
の
微笑
(
びしょう
)
を
唇
(
くちびる
)
の上に
漂
(
ただよ
)
わせて自分を見たが、それなり元の通り柱に背を
倚
(
よ
)
せて、黙って読みかけた書物をまた
膝
(
ひざ
)
の上にひろげ始めた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの
眼差
(
まなざ
)
しもあの
微笑
(
びしょう
)
も、てんで見当らなかったけれど、それでいてこの新しい姿になっても、わたしにはやはり
素晴
(
すば
)
らしいお嬢さんと思われた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
瑠璃子夫人は、三宅の思い切った断定を
嘉納
(
かのう
)
するように、ニッと
微笑
(
びしょう
)
を
洩
(
もら
)
した。信一郎は初めて、口を入れて、直ぐ
横面
(
よこっつら
)
を
叩
(
たた
)
かれたように思った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼等を見るとその男の子はにっこりと
微笑
(
びしょう
)
した。が、私にも気がつくと、人見知りでもするかのように、橋の下の
渓流
(
けいりゅう
)
の方へその小さな顔をそむけた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
仁太や正は海軍に
配置
(
はいち
)
されていた。
平時
(
へいじ
)
ならば
微笑
(
びしょう
)
でしか思いだせない仁太の水兵も、いったまま
便
(
たよ
)
りがなかった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この
知
(
し
)
らぬ
少年
(
しょうねん
)
は、その
往来
(
おうらい
)
を
過
(
す
)
ぎるときに、ちょっと
太郎
(
たろう
)
の
方
(
ほう
)
を
向
(
む
)
いて
微笑
(
びしょう
)
しました。ちょうど
知
(
し
)
った
友
(
とも
)
だちに
向
(
む
)
かってするように、
懐
(
なつ
)
かしげに
見
(
み
)
えました。
金の輪
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大ぜいの中で、明智だけは、少しもとりみだしたところもなく、口もとに
微笑
(
びしょう
)
さえうかべているのでした。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かれはつめたく
微笑
(
びしょう
)
しながらペンをおいた。しかし、それと同時にかれの眼をひいたものがあった。それは机の上に開いたままになっていた「歎異抄」だった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そして戸が少しあいて、
行儀
(
ぎょうぎ
)
よく
帽子
(
ぼうし
)
をとった小さな
禿頭
(
はげあたま
)
が、人のいい目つきとおずおずした
微笑
(
びしょう
)
と共にあらわれるのだった。「皆さん、今晩は。」と
彼
(
かれ
)
はいった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
風は一週間もつづいたが、それがやむと天地にわかになごやかになり、春の光はききとしてかがやき、
碧瑠璃
(
へきるり
)
の空はすみわたって、万物新たに歓喜の光に
微笑
(
びしょう
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
滝
(
たき
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
さんはいつものように
老人
(
ろうじん
)
の
姿
(
すがた
)
でお
現
(
あら
)
われになり、
微笑
(
びしょう
)
を
浮
(
うか
)
べて
斯
(
こ
)
う
言
(
い
)
われるのでした。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
微笑
(
びしょう
)
をもってながめていた伊那丸は、愛らしいやつ、——たのもしいやつ——そう思ってうなずいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雪子は
被皮
(
ひふ
)
を着て、物に驚いたような
頓狂
(
とんきょう
)
な顔をしていた。それに引きかえて、美穂子は明るい眼と眉とをはっきりと見せて、
愛嬌
(
あいきょう
)
のある
微笑
(
びしょう
)
を
口元
(
くちもと
)
にたたえていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
往
(
い
)
きのときに会った、だぼはぜ嬢さんや、テエプを投げてやった
可憐
(
かれん
)
な
娘
(
むすめ
)
も、みんな集まっていて、会えばお
互
(
たが
)
いに忘れず、なによりも
微笑
(
びしょう
)
が先に立つ
懐
(
なつか
)
しさでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
彼女は蒼白な顔をし、恐怖に満ちた目をしていながら、唇の上には
微笑
(
びしょう
)
を浮べておりました。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
自由を得た喜びの
微笑
(
びしょう
)
を唇の上に
湛
(
たた
)
えて、
梯子段
(
はしごだん
)
を
駈
(
か
)
け降りて、どこか病気や、胸の悪い事や、ゆるゆると死んで行く有様の見えていないところへ、どこか、ある不明なもの
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「ほほう、君もどうやら事件のあったことを信用して来たようだネ」と警部は
微笑
(
びしょう
)
しながら「だが
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、当面の相手は何とも説明のつけられない変な
生物
(
いきもの
)
が居るらしいことだ。 ...
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ドッカと
坐
(
ざ
)
して飛散りし花を
捻
(
ひね
)
りつ
微笑
(
びしょう
)
せるを、
寸善尺魔
(
すんぜんしゃくま
)
の
三界
(
さんがい
)
は
猶如
(
ゆうにょ
)
火宅
(
かたく
)
や。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おまえはいつでも
二十
(
はたち
)
の青年のむす子で、私はいつでも
稚純
(
ちじゅん
)
な母。「だらしがないな、
羽織
(
はおり
)
の
襟
(
えり
)
が
曲
(
まが
)
ってるよ、おかあさん、」「生意気いうよ、こどもの
癖
(
くせ
)
に、」二人は
微笑
(
びしょう
)
して眺め合う。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
がやがて
微笑
(
びしょう
)
の影のようなものが彼女の顔にうかんだ、そして彼女は椅子に腰を下ろした。「ねえ、君はこう考えないかね」アンガスは女のなんにも気にとめないような風をしてこう云った。
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
運命よ願わくば私の方針に
微笑
(
びしょう
)
をもって好意を示せと言うの外はない。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
キーシュは目をあげて
微笑
(
びしょう
)
しました。
負けない少年
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
喬之助がニッコリ
微笑
(
びしょう
)
したのである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
質問を受けてお登和嬢
微笑
(
びしょう
)
を含み
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
わたしは
課業
(
かぎょう
)
を
続
(
つづ
)
けてやるようにかれに目くばせした。かれは注意を
感謝
(
かんしゃ
)
するように
微笑
(
びしょう
)
した。そしてまた本を読み始めた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それじゃ
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きましょう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びしょう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
ったり、
憂
(
うれい
)
に
沈
(
しず
)
んだりして、
現実
(
げんじつ
)
に
対
(
たい
)
して
反応
(
はんのう
)
していたのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
辰子は姉の予想したよりも
遥
(
はる
)
かに
真面目
(
まじめ
)
に返事をした。と思うとたちまち
微笑
(
びしょう
)
と一しょにもう一度
話頭
(
わとう
)
を引き戻した。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
従順な、しかも
頑
(
かたく
)
なな
微笑
(
びしょう
)
である。この微笑を見ただけでもわたしは、ああ、もとのジナイーダだなと思った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
この知らぬ少年は、その往来をすぎるときに、ちょっと太郎の方をむいて
微笑
(
びしょう
)
しました。ちょうど知った友だちにむかってするように、なつかしげに見えました。
金の輪
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
このふたりも、口もとに
微笑
(
びしょう
)
をうかべながら、
苔
(
こけ
)
のむした
丘
(
おか
)
と
薄
(
うす
)
暗い
茂
(
しげ
)
みのほうをながめました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし、どの顔よりもかれの注意をひいたのは、相変わらず木像のように無表情な荒田老の顔と、たえず皮肉な
微笑
(
びしょう
)
をもらして塾生たちを見わしている鈴田の顔であった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「じゃ、一人でお帰りなさい」と私はいまはもう
微笑
(
びしょう
)
らしいものさえ
浮
(
うか
)
べながら返事をした。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
と、彼女は、
微笑
(
びしょう
)
をもって、それへはるかな
注意
(
ちゅうい
)
をおくっている。——すると、その灯は
消
(
き
)
えて、つぎにはやや
青味
(
あおみ
)
をもった灯が、ななめに、雨のような
筋
(
すじ
)
を三たびかいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとお
爺
(
じい
)
さんは
満足
(
まんぞく
)
らしい
微笑
(
びしょう
)
を
老顔
(
ろうがん
)
に
湛
(
たた
)
へて、
徐
(
おもむ
)
ろに
言
(
い
)
われました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と富士男は
微笑
(
びしょう
)
した。そうしてはるかの棒を見やった。かれはもとより
勝敗
(
しょうはい
)
に興味をもたなかった、負けたところでさまでの恥でもないし、勝ったところでほこるにたらず、こう思っている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
探偵はそういって、みょうな
微笑
(
びしょう
)
をうかべましたが、小林君には、先生の考えていらっしゃることが、少しもわからぬものですから、その微笑が、なんとなくうすきみ悪くさえ感じられました。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こうした幸福の持続が、あんまり
恐
(
おそろ
)
しく、身体を
翻
(
ひるが
)
えし、バック台の方へ
逃
(
に
)
げて行き、こっとん、こっとん、
微笑
(
びしょう
)
のうちに、二三回ひいてから、また、手摺まで走って行ってはあなたに手をあげ
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
父の妻としての母からきくのとはちがった父の姿、
涙
(
なみだ
)
どころか
微笑
(
びしょう
)
さえ浮かんで想像される若い日の父の姿、語る人の親愛感からであろうか、父ははつらつとした好もしい青年であったと知った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それから顔に
微笑
(
びしょう
)
を見せて、縫物を取り出して、
卓
(
つくえ
)
の
側
(
そば
)
へ寄った。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
マルモ隊長はカンノ博士を見で、
微笑
(
びしょう
)
した。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
顔丈には、強いて
微笑
(
びしょう
)
を浮べながら。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『これは
奇妙
(
きみょう
)
な
妄想
(
もうぞう
)
をしたものだ。』と、
院長
(
いんちょう
)
は
思
(
おも
)
わず
微笑
(
びしょう
)
する。『では
貴方
(
あなた
)
は
私
(
わたくし
)
を
探偵
(
たんてい
)
だと
想像
(
そうぞう
)
されたのですな。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
阿媽港甚内
(
あまかわじんない
)
のほかに、誰が
内裏
(
だいり
)
なぞへ忍びこみましょう? わたしはこの言葉を聞くと、必死にもがいている
間
(
あいだ
)
でも、思わず
微笑
(
びしょう
)
を洩らしたものです。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ジェイムズ・ミリガン
氏
(
し
)
は
例
(
れい
)
の白いとんがった歯をむき出して、にこにこしながらはいって来た。ところがわたしの顔を見ると、
微笑
(
びしょう
)
がものすごい
渋面
(
じゅうめん
)
になった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
二人は
並
(
なら
)
んで馬を歩ませていた。父は何やらしきりに彼女に話しかけながら、
胴体
(
どうたい
)
をすっかり彼女の方へ
傾
(
かたむ
)
け、片手を馬の首についていた。父は
微笑
(
びしょう
)
を
浮
(
うか
)
べていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
“微笑”の意味
《名詞》
微 笑(びしょう、みしょう)
ほほえむこと。ほほえみ。
(出典:Wiktionary)
“微笑(微笑み)”の解説
ほほえみ(漢字表記では「微笑み」あるいは「頬笑み」、it: sorriso、fr: sourire、en: smile)とは、ほほえむことで、ほほえむとは声をたてずに、にこりと笑うこと。「微笑(びしょう)」とも。また、ほほえんでいる顔は笑顔(えがお)とも呼ばれる。近代では、"微笑の笑み"という言葉も存在している。
(出典:Wikipedia)
微
常用漢字
中学
部首:⼻
13画
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
“微笑”で始まる語句
微笑光
微笑合
微笑顔
微笑みの谷