“につこり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
莞爾77.2%
嫣然17.5%
嫣乎1.8%
嘕然1.8%
微笑1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此うなるとお房の方でも剛情がうじやうで、恰で眼底めのそこ粘付ねばりついたやうになつて、何うかすると、莞爾につこりわらつて見せる。いや、ひつこいことだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然につこりと笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
『ハ。』と言つて智恵子は嫣乎につこり笑つた。そして、矢張跣足はだしになり裾を遠慮深く捲つて、真白き脛の半ばまで冷かな波に沈めた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
皆様みなさんお上手よ。私なんか今迄余り加留多も取つた事がないもんですから、敗けてばつかり。』と嫣乎につこりする。ほつれた髪が頬に乱れてる所為せゐか、其顔が常よりも艶に見えた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
捨三が入つて行くと、栄子はまだ寝てゐたが、机の前の羽二重友禅の蒲団へ来て坐る彼を見て、嘕然につこりして白い手を差伸べた。
質物 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「溝の中を歩く人。」と口の中で云つて、私は思はず微笑につこりした。それに違ひない、アノ洋服の色は、えた、腐つた、溝の中の汚水の臭気で那麽あんなに変色したのだ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)