“えんぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
嫣然54.9%
宛然26.8%
婉然7.3%
艶然7.3%
奄然1.2%
婉嬋1.2%
焉然1.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、車内の薄暗うすやみうちでもハッキリとわかるほど、瑠璃子は勝平の方を向いて、嫣然えんぜんと笑って見せた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「あいつ、嫣然えんぜんとして笑ったな。」と言った。それ以来彼は僕等のあいだに「嫣然」と言う名を得ていたのだった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その顔面の皮膚の下から見る見る現われて来た兇猛な青筋……残忍な感情を引き釣らせる筋肉……それは宛然えんぜんたる悪魔の相好であった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ふねよりふねわたりて、其祝意そのしゆくいをうけらるゝは、当時そのかみ源廷尉げんていゐ宛然えんぜんなり
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
それはかれには、婉然えんぜんとして円みのある胴体ばかりでない、美しいある咄嗟の幻想にいざない込んだのであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
婉然えんぜんと一笑また二笑、何やら甘い、幅のある早口で、口上を述べたてる。
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
お春は楚々そそとして艶然えんぜんたる立姿を紅燈に照させながら、静かに唄いつ舞うのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
艶然えんぜんとして微笑みながら、舞衣姿まいすがたのまま酌をしようとするお春を後目しりめにかけて、呉羽之介は不機嫌に、震える声で言うのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
いわく、丁晋公臨終前半月、すでくらはず、ただ香をいて危坐きざし、黙して仏経をじゆす、沈香の煎湯せんたうを以て時々じゞ少許せうきよあふる、神識乱れず、衣冠を正し、奄然えんぜんとして化し去ると。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たいした貴族の娘ではないらしかったが婉嬋えんぜんとした美貌びぼうの人であったと、好色な方であったから、それきり消えるようにいなくなってしまったことを残念でたまらぬように思召おぼしめしては、夫人に対しても、
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
色の黒いやつが笑ったんだから、まるで炭団たどんが転んで崩れたよう——喬之助の焉然えんぜんに対して、壁辰のは——さア、何というのか。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)