“梔子”の読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
くちなし100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とっくの昔に高圧八百五十ヴォルトの電流を通されて、黒焦げになった屍体は梔子くちなしの花散るウベニア丘の墓地に、妻と並んで墓標の下に眠っていることであろう。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
楓、桜、梅、檜葉、梔子くちなし無花果いちぢく、沈丁花、椿など、雑多な樹木で、熊笹の数株まで添えてありました。
……私はそれから裏口の梔子くちなしの蔭にむしろを敷きまして、煙管きせるくわえながら先刻さいぜん蒸籠せいろつくろい残りをつづくっておりましたが
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
小糠こぬかのような雨が生暖かいむんむんするような春の気を部屋一杯に垂れ込めて、甘酸っぱい梔子くちなしの匂いが雨に打たれて、むせぶように家の中じゅうに拡がっていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
やしきの植込を徜徉ふらついてゐる時、青白い梔子くちなしの花蔭に、女郎蜘蛛が居睡りをしてゐるのを見つけでもすると、真つ青になつて、抜脚ぬきあしして逃げ出したものだ。
地図はいいかげん古ぼけ、隅が枯れた梔子くちなしの花びらのような色になり捲くれている。
演技の果て (新字新仮名) / 山川方夫(著)
わたしはしばしば家を移したが、その度ごとに梔子くちなし一株を携え運んで庭に植える。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
国つぶり節句せくちまき梔子くちなしの実に染めてから葦の葉に巻く
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして亭主と三人梔子くちなしの花なぞの咲いた静かな庭を眺めながら、
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
夏の日はなつかしきかなこころよく梔子くちなしの花の汗もちてちる
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)