やお)” の例文
やおら、雪のような白足袋しろたびで、脱ぎ棄てた雪駄せった引寄ひきよせた時、友染ゆうぜんは一層はらはらと、模様の花がおもかげに立って、ぱッと留南奇とめきかおりがする。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕は父のわき火鉢ひばちそばに座って、しばらく黙って居ましたが、この時降りかけて居た空が愈々いよいよ時雨しぐれて来たと見え、ひさしを打つみぞれの音がパラ/\聞えました。父は筆をいてやお此方こちらに向き
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
書房ふみやすかさずこの船人の脇艪わきろを押す事を許されたりとて、自己おのれをして水先見よと乞うて止まねば、久しく採らぬ水茎みずぐき禿ちびたるさおやおら採り、ソラ当りますとの一言いちげん新版発兌しんぞおろしの船唄に換えて序とす。