その一年そのいちねん
遠く近く形をかえてつづいて行く両側の丘や森に、残照はもはや跡もなかった。風も冷えてきていた。低い山の裾をまわり、保土ヶ谷をすぎるころから、黄昏れが深くなった。米軍の軍用トラックはいちだんとスピードを増しはじめた。 並行して土手の向うを走って …