“其程”の読み方と例文
読み方割合
それほど100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其程それほどにしても、まだ其の趣好に適しなかつたものと見へて、父は三度々々必ず食物の小事を云はずに箸を取つた事がない。
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
椅子が一つあつて室ごとに化粧室が備はつて居るだけで、欧羅巴ヨウロツパで最も贅沢ぜいたくだと云はれるノオルドの汽車も其程それほど有難い物とも思はれない。十一時ぜんに発車した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
去年——一昨年——一昨々年——あゝ、未だ世の中を其程それほど深く思ひ知らなかつた頃は、噴飯ふきだしたくなるやうな、気楽なことばかり考へて、この大祭日を祝つて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)