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其程
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それほど
ふりがな文庫
“
其程
(
それほど
)” の例文
其程
(
それほど
)
にしても、まだ其の趣好に適しなかつたものと見へて、父は三度々々必ず食物の小事を云はずに箸を取つた事がない。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
椅子が一つあつて室
毎
(
ごと
)
に化粧室が備はつて居るだけで、
欧羅巴
(
ヨウロツパ
)
で最も
贅沢
(
ぜいたく
)
だと云はれるノオルドの汽車も
其程
(
それほど
)
有難い物とも思はれない。十一時
前
(
ぜん
)
に発車した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
去年——一昨年——一昨々年——
噫
(
あゝ
)
、未だ世の中を
其程
(
それほど
)
深く思ひ知らなかつた頃は、
噴飯
(
ふきだ
)
したくなるやうな、気楽なことばかり考へて、この大祭日を祝つて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
出稼ぎして諸方を
彷徨
(
うろつ
)
いてゐた方が、ひもじい
想
(
おもひ
)
をしない、
寝泊
(
ねどま
)
りする処にも困らない。生れた村には
食物
(
くひもの
)
が
欠乏
(
たりな
)
くて
皆
(
みんな
)
が
難渋
(
なんじふ
)
してゐるけれど、
余処
(
よそ
)
は
其程
(
それほど
)
でもない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
梅子に悪智恵ばかり付けさせて——
其程
(
それほど
)
亡妻が可愛いけりや、骨でも掘つて来て
嘗
(
しやぶ
)
つてるが
可
(
い
)
い
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
何
(
ど
)
の命
何
(
ど
)
の
身体
(
からだ
)
あって侯爵に添うべきや、
然
(
しか
)
も其時、身を我に
投懸
(
なげかけ
)
て、
艶
(
つや
)
やかなる前髪
惜気
(
おしげ
)
もなく
我膝
(
わがひざ
)
に
押付
(
おしつけ
)
、
動気
(
どうき
)
可愛
(
かわゆ
)
らしく泣き
俯
(
ふ
)
しながら、
拙
(
つたな
)
き
妾
(
わたくし
)
めを思い込まれて
其程
(
それほど
)
までになさけ厚き仰せ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
まだ学校へも
行
(
ゆ
)
かぬ子供の時には朝寒ければゆつくりと寝たいだけ寝て
居
(
ゐ
)
られたばかりでなく、
身体
(
からだ
)
の
方
(
はう
)
もまた
其程
(
それほど
)
に寒さを感ずることが
烈
(
はげ
)
しくなかつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
初めに入つたキヤツフエ・ド・※ルは音楽が
秀
(
すぐ
)
れて居ると云ふ事だが僕等には
其程
(
それほど
)
よく
解
(
わか
)
らない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
風俗
(
なりふり
)
なぞには
関
(
かま
)
はない人で、
是
(
これ
)
から汽車に乗るといふのに、
其程
(
それほど
)
身のまはりを
取修
(
とりつくろ
)
ふでも無い。男の見て居る前で、僅かに髪を
撫
(
な
)
で付けて、旅の手荷物もそこ/\に
取収
(
とりまと
)
めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
梅子の
柳眉
(
りうび
)
は
逆立
(
さかだ
)
てり「軍人の思想は
其程
(
それほど
)
に卑劣なものですか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
自分は外国へ来て初めて日本婦人の頭髪の
押並
(
おしな
)
べて美しい事を思ふ者である。あの房やかな長い髪を本国の人は
其程
(
それほど
)
誇りとも思つて居ないのであらう。勿論自分もさう思つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
程
常用漢字
小5
部首:⽲
12画
“其”で始まる語句
其
其処
其方
其處
其様
其許
其奴
其所
其儘
其後