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彷徨
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さまよひ
追駈候中とくに日は暮
方角も
分らず
彷徨居りしうち
※らずも九助に出會段々の物語りに
手間取追々夜も
更行に
隨ひ月も出しかば夫を
さりとて
今更問はんもうしろめたかるべしなんど、
迷ひには
智惠の
鏡も
曇りはてゝや、五
里の
夢中に
彷徨しが、
流石に
定むる
所ありけん、
慈愛二となき
母君に、
一日しか/″\と
打明けられぬ
叫び歩くにぞ
名主の甚兵衞も
持あまし其
隱居所を
追出しけり
然ばお三婆は
住家を失なひ所々方々と
浮れ
彷徨しを
拔より早く切付れば
流石不敵の曲者も二人が太刀先に
恊ひ難く河原の方へ
逃行しが以前の女の
彷徨居たるを其儘に引抱へ又
駈出せば九郎兵衞は遣らじと後より
飛掛れば
忌々敷やと惡漢は女を