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ふりがな文庫
“
矢張
(
やっぱり
)” の例文
「
井戸辺
(
いどばた
)
に出ていたのを、女中が
屋後
(
うら
)
に干物に
往
(
い
)
ったぽっちりの
間
(
ま
)
に
盗
(
や
)
られたのだとサ。
矢張
(
やっぱり
)
木戸が少しばかし
開
(
あ
)
いていたのだとサ」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おや。」と思って又大きな声を出して見たが
矢張
(
やっぱり
)
聞えない。いよいよ不思議に思って、月野博士に追付いて、その袖を引きながら
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そうすると、今の啼声は
矢張
(
やっぱり
)
ポチだったかも知れぬと、うろうろとする目の前を、
土耳其帽
(
トルコぼう
)
を
冠
(
かぶ
)
った十徳姿の何処かのお
祖父
(
じい
)
さんが通る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
父親は、お島から養家の色々の事情を聞いて、七分通り
諦
(
あきら
)
めているようであったが、
矢張
(
やっぱり
)
このまま引取って
了
(
しま
)
う気にはなっていなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『行っても、行っても、青い壁だ。行っても、行っても、青い壁だ。
何処
(
どこ
)
まで行っても青い壁だ。君、何処まで行ったって
矢張
(
やっぱり
)
青い壁だよ』
火星の芝居
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
「
白山
(
はくさん
)
に芸者家が出来たって云う
咄
(
はな
)
しだがあの辺はどうだ。
矢張
(
やっぱり
)
芸者家のある土地の方が
仕出屋
(
しだしや
)
や何かの便利がきくからね。」
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
母は薄暗い
行燈
(
あんどう
)
のかげでつづれをさしたり、網の
繕
(
つくろい
)
をしたりすると、お光は学校
已
(
や
)
めて後も
矢張
(
やっぱり
)
手習読書をせっせと勉強する。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
島か、
光
(
みつ
)
か、
払
(
はたき
)
を掛けて——お待ちよ、
否
(
いいえ
)
、
然
(
そ
)
う/\……
矢張
(
やっぱり
)
これは、此の話の中で、
鰐
(
わに
)
に片足
食切
(
くいき
)
られたと云ふ土人か。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
杉戸
(
すぎど
)
を
閉
(
た
)
てゝ店へ往って寝てしまいましたが翌日になって見ると、まさか死ぬにも死なれず、
矢張
(
やっぱり
)
顔を見合せて居ります。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは
屹度
(
きっと
)
お前も
矢張
(
やっぱり
)
昨夜死神につかれたのだが、その倒された途端に、
幸
(
さいわい
)
と離れたものだろう、この
河岸
(
かし
)
というのは
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
全く
敗亡
(
まいっ
)
て、ホウとなって、殆ど人心地なく
臥
(
ね
)
て
居
(
おっ
)
た。ふッと……いや心の迷の空耳かしら? どうもおれには……おお、
矢張
(
やっぱり
)
人声だ。
蹄
(
ひづめ
)
の音に話声。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
敬愛する吉村さん——
樹
(
しげる
)
さん——私は今、序にかえて君に
宛
(
あ
)
てた一文をこの書のはじめに
記
(
しる
)
すにつけても、
矢張
(
やっぱり
)
呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
薄暗いから何となく物凄いのだ、その
傍
(
そば
)
の細い
椽側
(
えんがわ
)
を行くと、茶席になるのだが、その
間
(
ま
)
の
矢張
(
やっぱり
)
薄暗い
椽側
(
えんがわ
)
の横に、奇妙にも、仏壇が一つある、その左手のところは、
南向
(
みなみむき
)
に庭を眺めて
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
「真人間にするッて……。𤢖は
矢張
(
やっぱり
)
人間でしょうか。」と、冬子は眉を
顰
(
ひそ
)
めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その夜その男が
談
(
はな
)
したが、これ
等
(
ら
)
も
矢張
(
やっぱり
)
、テレパシーとでもいうのであろう。
感応
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
再度
(
にど
)
吃驚
(
びっくり
)
したというのは、仰向きに寝ていた私の胸先に、着物も帯も
昨夜
(
ゆうべ
)
見たと変らない女が、ムッと
馬乗
(
うまのり
)
に
跨
(
また
)
がっているのだ、私はその時にも、
矢張
(
やっぱり
)
その女を払い
除
(
の
)
ける勇気が出ないので
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
その人が 或る
闇夜
(
あんや
)
に道を歩いていて、突然知らずに、高い土手の上から
辷
(
すべ
)
り落ちたそうだが、その際土手を
辷
(
すべ
)
り落ちて行く瞬間に、
矢張
(
やっぱり
)
その人自身の過去の光景が、眼に映ったといっていた。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
前置
(
まえおき
)
づきだが、
要
(
よう
)
するに
箏
(
こと
)
というものは何だか一種凄みのあるものだということに
過
(
すぎ
)
ぬ、これから
談
(
はな
)
すことも
矢張
(
やっぱり
)
箏
(
こと
)
に関係したことなので、その
後
(
のち
)
益々
(
ますます
)
自分は
箏
(
こと
)
を見ると凄い
感
(
かんじ
)
が
起
(
おこ
)
るのである。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
その時ばかりは、そんな気が少しも出ない、何というてよいか、
益々
(
ますます
)
薄気味が
悪
(
わ
)
るいので、
此度
(
こんど
)
は手で強く払って歩き出してみた、が
矢張
(
やっぱり
)
蝶は前になり後になりして始終私の身辺に附いて来る
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
身代
(
しんだい
)
の
釣合
(
つりあい
)
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
にする男も世に多いわ、おまえの、イヤ、あなたの
迷
(
まよい
)
も
矢張
(
やっぱり
)
人情、そこであなたの
合点
(
がてん
)
の
行様
(
ゆくよう
)
、年の功という
眼鏡
(
めがね
)
をかけてよく/\
曲者
(
くせもの
)
の恋の正体を見届た所を話しまして
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
屹度そうだと思いますと、妾は
最早
(
もはや
)
すっかり疑いが晴れました。妾は
矢張
(
やっぱり
)
美留藻であった。行く末は、この国の女王になる美留藻であった。こう思って妾は
最早
(
もはや
)
女王になったように喜び勇みました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ふと
或
(
ある
)
朝——五時前後と思う——寝室の
闥
(
ドア
)
がガチリと
開
(
あ
)
いた様な音がしたので自分は思わず目が覚めてみると、扉のところに隣の主人が、毎日見る、
矢張
(
やっぱり
)
巡査の様な服装を着けて、茫然と立っている
闥の響
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
両親も其は同じ事で、散々私に悩まされながら、
矢張
(
やっぱり
)
何とも思っていない。唯影でお
祖母
(
ばあ
)
さんにも困ると、お
祖母
(
ばあ
)
さんの愚痴を
零
(
こぼ
)
すばかり。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「ウン梶原君が!? あれが
矢張
(
やっぱり
)
馬鈴薯だったのか、今じゃア豚のように
肥
(
ふと
)
ってるじゃアないか」と竹内も驚いたようである。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
おとら夫婦は、金ができるにつれて、それ等の人達との間に段々隔てができて、
往来
(
ゆきき
)
も絶えがちになっていた。
生家
(
さと
)
とも
矢張
(
やっぱり
)
そうであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
八町畷
(
はっちょうなわて
)
を
砂
(
すな
)
ッ
塵
(
ぽこり
)
でお
徒歩
(
ひろい
)
になりますより、
矢張
(
やっぱり
)
船を待たして置いてお乗りになれば、この風ですから、帆も利きます、訳無く行って
了
(
しま
)
いますよ
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
三「坂を
上
(
あが
)
ったり下りたりするので己も余程
草臥
(
くたび
)
れたが、馬へ乗って少し息を
吐
(
つ
)
いたが、馬へ乗ると又
矢張
(
やっぱり
)
腰が痛いのう」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仕方なしに今度は梯子段の
下口
(
おりくち
)
の方へ廻って見たが、
矢張
(
やっぱり
)
同じこと家中はまるで人のいないも同様である。慶三は
無暗
(
むやみ
)
に
咽喉
(
のど
)
が渇いて堪らなくなった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その親の子だからしてに、源さも
矢張
(
やっぱり
)
あの通りだ、と人に後指をさされるのが、私は
何程
(
どのくれえ
)
まあ
口惜
(
くやし
)
いか知んねえ
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「むゝ、雨は
歇
(
や
)
んだ、けれどもお
媼
(
ばあ
)
さんの姿は
未
(
ま
)
だ
矢張
(
やっぱり
)
人間だよ。」と
物狂
(
ものくる
)
はしく
固唾
(
かたず
)
を飲んだ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
床
(
とこ
)
の上に
起直
(
おきなお
)
って見ていると、またポッと出て、
矢張
(
やっぱり
)
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
の方へフーと行く、すると間もなくして、また出て来て消えるのだが、そのぼんやりとした
楕円形
(
だえんけい
)
のものを見つめると
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
矢張
(
やっぱり
)
、
俳優
(
やくしゃ
)
だが、
数年
(
すねん
)
以前のこと、今の
沢村宗十郎
(
さわむらそうじゅうろう
)
氏の門弟で
某
(
なにがし
)
という男が、
或
(
ある
)
夏の晩
他所
(
よそ
)
からの帰りが大分遅くなったので、折詰を片手にしながら、てくてく
馬道
(
うまみち
)
の通りを急いでやって来て
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
先刻
(
さっき
)
、八時頃先方の
家
(
うち
)
を出て、
矢張
(
やっぱり
)
この隣の裏門から入ったが、何しろこんな月夜でもあるし、また
平常
(
ふだん
)
皆が
目表
(
めじるし
)
に竹の枝へ
結付
(
むすびつ
)
けた白い
紙片
(
かみきれ
)
を
辿
(
たど
)
って、茶席の方へ来ようとすると、
如何
(
どう
)
したのか
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
これも、
矢張
(
やっぱり
)
メリケン幽霊だ。
大叫喚
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
矢張
(
やっぱり
)
一種のテレパシーなのだ。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
矢張
(
やっぱり
)
私共でなければ出来ぬ高尚な事のように思って、
切
(
しきり
)
に若い女に
撞着
(
ぶつか
)
りたがっている
中
(
うち
)
に、望む所の若い女が遂に向うから来て
撞着
(
ぶつか
)
った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
矢張
(
やっぱり
)
こんなような町?」お島は汽車が
可也
(
かなり
)
大きなある停車場へ乗込んだとき、窓から顔を出して、壮太郎にささやいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
武「是は御家内か、
私
(
わし
)
も酒が嗜きでな、此処を通る度に御亭主が飲んで居る、今
一寸
(
ちょっと
)
買物をして見ると
矢張
(
やっぱり
)
飲んで居て羨しく
遂
(
つい
)
やる気になりました」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それに何だか我が折れて愚に
還
(
かえ
)
ったような風も見えるだ。それを見ると私も気の毒でならん、
喧
(
やか
)
まし人は
矢張
(
やっぱり
)
喧しゅうしていてくれる方が
可
(
え
)
えと思いなされ」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「牧野は
矢張
(
やっぱり
)
牧野だ。もっと弱ってでも来るかと思ったら、君の元気なのには感心した」と岡が言った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
初めに話した静岡の
家
(
うち
)
にも、
矢張
(
やっぱり
)
十三四の子守娘が居たと云う、房州にも
矢張
(
やっぱり
)
居る、今のにも、娘がついて居る、十三四の女の子とは何だかその間に関係があるらしくなる。
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
苦しみながらに眼を無理に
睜
(
みは
)
って、女の顔を見てやろうとしたが、
矢張
(
やっぱり
)
お
召縮緬
(
めしちりめん
)
の
痩躯
(
やせぎす
)
な
膝
(
ひざ
)
と、紫の帯とが見ゆるばかりで、
如何
(
どう
)
しても頭が枕から上らないから、それから上は何にも解らない
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
それに
私
(
わし
)
ゃア馬が誠に
嫌
(
きれ
)
えだ、
稀
(
たま
)
には随分
小荷駄
(
こにだ
)
に
乗
(
のっ
)
かって、
草臥
(
くたびれ
)
休めに一里や二里乗る事もあるが、それでせえ嫌えだ、
矢張
(
やっぱり
)
自分で歩く方が
宜
(
い
)
いだ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
矢張
(
やっぱり
)
馬鹿サ、初から君なんかの柄にないんだ、北海道で馬鈴薯ばかり
食
(
くお
)
うなんていう柄じゃアないんだ、それを知らないで三月も辛棒するなア馬鹿としか言えない!」
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「惜しいことをした。
矢張
(
やっぱり
)
君には髭が有った方が好い。国へ帰るまでには是非
生
(
はや
)
して行き給え」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
下蔭
(
したかげ
)
は
矢張
(
やっぱり
)
こんなに暗かったか、
蒼空
(
あおぞら
)
に日の照る時も、と
然
(
そ
)
う思って、
根際
(
ねぎわ
)
に居た黒い
半被
(
はっぴ
)
を
被
(
き
)
た、
可愛
(
かわい
)
い顔の、小さな
蟻
(
あり
)
のようなものが、偉大なる材木を仰いだ時は
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
多「久八さんはもう来そうなものだなア、来た/\、久八さん今日は負けたんべいと思ったが、
矢張
(
やっぱり
)
己が早かった」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
矢張
(
やっぱり
)
内端
(
うちわ
)
ぢや、お前様立つて取らつしやれ、
何
(
なに
)
なう、
私
(
わし
)
がなう、ありやうは此の糸の手を放すと事ぢや、
一寸
(
ちょっと
)
でも此の糸を切るが最後、お前様の身が
危
(
あぶな
)
いで、いゝや、いゝや
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「最早お前さんも子供では無いから、三度々々
御茶受
(
おちゃうけ
)
は出しませんよ」なぞと言いながらも、
矢張
(
やっぱり
)
子供の時分と同じように水天宮の
御供
(
おそなえ
)
の
御下
(
おさが
)
りだの
塩煎餅
(
しおせんべい
)
だのを分けてくれた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尤
(
もっと
)
も僕と最初から理想を一にしている友人、今は
矢張
(
やっぱり
)
僕と同じ会社へ出ているがね、それと二人で開墾事業に取掛ったのだ、そら、竹内君知っておるだろう
梶原
(
かじわら
)
信太郎のことサ……
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
矢
常用漢字
小2
部首:⽮
5画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“矢張”で始まる語句
矢張大根卸