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矢張
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やつぱり
ふりがな文庫
“
矢張
(
やつぱり
)” の例文
『先刻田圃で吹いた口笛は、あら何ぢや? 俗歌ぢやらう。後を
尾
(
つ
)
けて来て見ると、
矢張
(
やつぱり
)
口笛で
密淫売
(
ぢごく
)
と合図をしてけつかる。……』
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
実は君の叔父さんからも
種々
(
いろ/\
)
御話が有ましたがね、叔父さんも
矢張
(
やつぱり
)
左様
(
さう
)
いふ意見なんです。何とか君、
巧
(
うま
)
い工夫はあるまいかねえ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
承まはり何にも知ぬ私しさへ
悔
(
くや
)
しく
存
(
ぞん
)
ずる程なれば
嘸
(
さぞ
)
御無念
(
ごむねん
)
にも思し召んが他所から出來た事ではなし
矢張
(
やつぱり
)
お身から
求
(
もと
)
めた事故人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
話
(
はな
)
さないでもお
前
(
まへ
)
は
大抵
(
たいてい
)
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらうけれど
今
(
いま
)
の
傘屋
(
かさや
)
に
奉公
(
ほうこう
)
する
前
(
まへ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
己
(
お
)
れは
角兵衞
(
かくべゑ
)
の
獅子
(
しゝ
)
を
冠
(
かぶ
)
つて
歩
(
ある
)
いたのだからと
打
(
うち
)
しをれて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
へえ
天麩羅
(
てんぷら
)
かい。長「
解
(
わか
)
らんのう、
長
(
なが
)
い
刀
(
み
)
を
揚
(
あ
)
げて短くしたのを
揚身
(
あげみ
)
といふ。弥「
矢張
(
やつぱり
)
あなごなぞは長いのを二つに切りますよ。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
娘も
矢張
(
やつぱり
)
東京風に作るんだね……近くに大阪があるのに、それを飛び越して、遠い東京の
眞似
(
まね
)
をするのは
隨分
(
ずゐぶん
)
骨が折れるだらう。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
あゝお
糸
(
いと
)
が芸者になつたら一緒に手を引いて歩く人は
矢張
(
やつぱり
)
あゝ
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
紳士
(
しんし
)
であらう。自分は何年たつたらあんな
紳士
(
しんし
)
になれるのか知ら。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そしてそんな有難い「心」といふものを持つてゐる自分達の
幸福
(
しあはせ
)
を思つた。——だが、さう思つても
矢張
(
やつぱり
)
熊本の夏は暑かつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
翌日
(
あくるひ
)
手伝の娘を一人附けて呉れた。
矢張
(
やつぱり
)
ミハイロ同様な貧乏人で、古ぼけた
頭巾
(
づきん
)
に穴の
開
(
あ
)
いた腰巻に、
襯衣
(
しやつ
)
と、それで
身上
(
しんしやう
)
有りツ
丈
(
たけ
)
だといふ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
島
(
しま
)
か、
光
(
みつ
)
か、
拂
(
はたき
)
を
掛
(
か
)
けて——お
待
(
ま
)
ちよ、
否
(
いゝえ
)
、
然
(
さ
)
う/\……
矢張
(
やつぱり
)
これは、
此
(
こ
)
の
話
(
はなし
)
の
中
(
なか
)
で、
鰐
(
わに
)
に
片足
(
かたあし
)
食切
(
くひき
)
られたと
云
(
い
)
ふ
土人
(
どじん
)
か。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が
今
(
いま
)
の
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
の
小
(
ちひ
)
さいことに
氣
(
き
)
がつくと
共
(
とも
)
に、それが
矢張
(
やつぱり
)
自分
(
じぶん
)
のやうに
滑
(
すべ
)
り
落
(
お
)
ちた一
疋
(
ぴき
)
の
鼠
(
ねずみ
)
に
過
(
す
)
ぎないことを
知
(
し
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それだから故郷を出る時は
矢張
(
やつぱり
)
人並に学若し成らずんば死すとも帰らずと力んだが、さア東京へ来て見ると
迚
(
とて
)
も満足な学費が無くては碌な学問は出来ない。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
又
(
また
)
どう
云
(
い
)
ふ
筋
(
すぢ
)
を
通
(
とほ
)
れば、
馬鹿
(
ばか
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
はないで
濟
(
す
)
むといふ
手續
(
てつゞき
)
を
教
(
をし
)
へて
呉
(
く
)
れるものもなかつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
横町
(
よこちやう
)
の
道具屋
(
だうぐや
)
に
屏風
(
びやうぶ
)
を
賣
(
う
)
るより
外
(
ほか
)
に
仕方
(
しかた
)
がなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『貢さんは
矢張
(
やつぱり
)
嘘
(
うそ
)
を
御吐
(
おつ
)
き為さるのね。晃兄さんが入らつしやるのに、留守番だなんて。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
『おー。
矢張
(
やつぱり
)
左樣
(
さう
)
だつた! あの
巡洋艦
(
じゆんやうかん
)
のガーフの
旗
(
はた
)
は、
我
(
わ
)
が
帝國
(
ていこく
)
の
軍艦旗
(
ぐんかんき
)
であつた※。』と、
彼
(
かれ
)
は、
今
(
いま
)
しも、
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
から
墮落
(
ついらく
)
の
瞬間
(
しゆんかん
)
に、ちらりと
認
(
みと
)
めた
同
(
おな
)
じ
模樣
(
もやう
)
の
海軍旗
(
かいぐんき
)
を
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「いつしよに學校を出やはつたのやさうやが、
矢張
(
やつぱり
)
出世する人は何處か違ふたるなあ。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「あら、梅子さん、いやですことねエ、——結婚すると御友達と疎遠になるなんて皆様仰しやるんですけれど、貴嬢まで
矢張
(
やつぱり
)
其様事
(
そんなこと
)
を仰つしやらうとは思ひも寄りませんでしたよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これなり
遇
(
あ
)
はずに行くなんて、それはお前
却
(
かへ
)
つて善くないから、
矢張
(
やつぱり
)
逢つて、
丁
(
ちやん
)
と話をして、さうして清く別れるのさ。この後とも末長く兄弟で
往来
(
ゆきかよひ
)
をしなければならないのだもの。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
うつかり忘れてゐたところなどは、落着いて居るやうでも
矢張
(
やつぱり
)
あわてて居たんだね
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
矢張
(
やつぱり
)
惡いのか。そりや
可
(
い
)
かんね。何ういふ
風
(
ふう
)
に?……矢張
何時
(
いつ
)
ものやうに。」
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
今日
(
けふ
)
のやうな
天候
(
てんこう
)
は、
別
(
べつ
)
しても
頭
(
あたま
)
に
差響
(
さしひゞ
)
く。
私
(
わたし
)
は
画
(
ゑ
)
を
描
(
か
)
くのも
可厭
(
いや
)
、
人
(
ひと
)
に
来
(
こ
)
られるのも、
人
(
ひと
)
を
訪問
(
はうもん
)
するのも
臆劫
(
おつくう
)
と
云
(
い
)
つた
形
(
かたち
)
で——
其
(
それ
)
なら
寝
(
ね
)
てゞもゐるかと
思
(
おも
)
ふと、
矢張
(
やつぱり
)
起
(
お
)
きて、
机
(
つくゑ
)
に
坐
(
すわ
)
つてゐる。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さア
今度
(
こんど
)
は
本統
(
ほんとう
)
だ。いよ/\
掘當
(
ほりあ
)
てた。けれども
矢張
(
やつぱり
)
横穴
(
よこあな
)
であらう。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「淋しいんだな、
矢張
(
やつぱり
)
……」
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
誰の隣に誰を据ゑて、誰の向ふを誰の席にして——
左様
(
さう
)
なつて来ると、これでナカ/\面倒だ。それよりは
矢張
(
やつぱり
)
日本料理に願ひたいトサ。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
えらいもんですね、
鬼
(
おに
)
なんぞは
矢張
(
やつぱり
)
角
(
つの
)
が
有
(
あ
)
りませう。婆「いゝえ、
鬼
(
おに
)
の
角
(
つの
)
は
皆
(
みん
)
な
佐藤
(
さとう
)
の
老先生
(
らうせんせい
)
が
入
(
い
)
らしつて切つてお
仕舞
(
しま
)
ひなさいました。岩 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夫では
和郎
(
あなた
)
はあの所と
違
(
ちが
)
つて上野か向島「イヤ
矢張
(
やつぱり
)
行先は王子にて
然
(
しか
)
も音羽へ出て行く
積
(
つも
)
り「ヲヤ/\夫では
昨日
(
きのふ
)
と
同
(
おな
)
じだと
鬱
(
ふさ
)
ぐ
丁稚
(
でつち
)
に錢を ...
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私
(
わたし
)
は
一人子
(
ひとりご
)
で
同胞
(
きやうだい
)
なしだから
弟
(
おとゝ
)
にも
妹
(
いもと
)
にも
持
(
も
)
つた
事
(
こと
)
は
一度
(
いちど
)
も
無
(
な
)
いと
言
(
い
)
ふ、
左樣
(
さう
)
かなあ、それでは
矢張
(
やつぱり
)
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
いのだらう
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ニヤゴと
又
(
また
)
鳴
(
な
)
く。
耳
(
みゝ
)
についてうるさいから、シツ/\などと
遣
(
や
)
つて、
寢
(
ね
)
ながら
兩手
(
りやうて
)
でばた/\と
追
(
お
)
つたが、
矢張
(
やつぱり
)
聞
(
きこ
)
える。ニヤゴ、ニヤゴと
續樣
(
つゞけざま
)
。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『然し、靴なんかよりは下駄の方が余程歩きいいんですよ。——それあ草鞋は一番ですがね。貴方は
矢張
(
やつぱり
)
草鞋ですか?』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ジヨオヂ・ムアに従ふと、英吉利の男も
矢張
(
やつぱり
)
神様のやうに、自分達に肖せて女を
拵
(
こしら
)
へるが、それに要る土だけは亜米利加から取寄せてゐるといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
併し頭の禿げた連中は仕方が無いとして若い者は
奈何
(
どう
)
かと云ふと、
矢張
(
やつぱり
)
駄目だ。血気盛んな奴が
懐中手
(
ふところで
)
をして濡手で粟の
工風
(
くふう
)
ばかりする老人連の真似をしたがる。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
『そんな
大
(
おほ
)
きな
體
(
なり
)
をしてさ!』(
愛
(
あい
)
ちやんはよく
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひます)『
泣
(
な
)
くなんテ!お
默
(
だま
)
んなさい、よ!』
云
(
い
)
つても
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じやうに
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
て!
涙
(
なみだ
)
の一
斗
(
と
)
も
流
(
なが
)
した
揚句
(
あげく
)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
矢張
(
やつぱり
)
鎌倉邊
(
かまくらへん
)
が
好
(
よ
)
からうと
思
(
おも
)
つてる」と
宗助
(
そうすけ
)
は
落
(
お
)
ち
付
(
つ
)
いて
答
(
こた
)
へた。
地味
(
ぢみ
)
な
宗助
(
そうすけ
)
とハイカラな
鎌倉
(
かまくら
)
とは
殆
(
ほと
)
んど
縁
(
えん
)
の
遠
(
とほ
)
いものであつた。
突然
(
とつぜん
)
二
(
ふた
)
つのものを
結
(
むす
)
び
付
(
つ
)
けるのは
滑稽
(
こつけい
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あらやだ。すつかり直つたつもりでゐたけんど、
矢張
(
やつぱり
)
いけないかねえ。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
固
(
もと
)
より
星光
(
ほしあかり
)
だから
能
(
よ
)
くは
解
(
わか
)
らぬが、
後
(
うしろ
)
の方へ振向いて見ても、
矢張
(
やつぱり
)
黒い山影が見える。自分は
愈々
(
いよ/\
)
弱ツて
了
(
しま
)
ツた、先へ進むで
可
(
い
)
いのか、
後
(
あと
)
へ引返して
可
(
い
)
いのか、それすら
解
(
わか
)
らなくなツて了ツた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
兄の
蘿月
(
らげつ
)
に依頼しては見たものゝ
矢張
(
やつぱり
)
安心が
出来
(
でき
)
ない。なにも昔の
道楽者
(
だうらくもの
)
だからと
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
ではない。
長吉
(
ちやうきち
)
に
志
(
こゝろざし
)
を立てさせるのは
到底
(
たうてい
)
人間業
(
にんげんわざ
)
では
及
(
およば
)
ぬ事、
神仏
(
かみほとけ
)
の力に頼らねばならぬと思ひ出した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それは
此方
(
こつち
)
が
矢張
(
やつぱり
)
惡
(
わる
)
い。
逃
(
に
)
げろ/\と
初掘
(
はつぼ
)
りの
大失敗
(
だいしつぱい
)
。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「
矢張
(
やつぱり
)
、不思議ですな。」
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『吉野が?』と妹の顔を見て、『
彼奴
(
あいつ
)
の詩は道楽よ。時々雑誌に匿名で出したのだけさ。本職は
矢張
(
やつぱり
)
洋画の方だ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夢か
現
(
うつゝ
)
かや是も
矢張
(
やつぱり
)
小西屋が破談に成た故で有うあゝ悦ばし嬉しとて手の
舞
(
まひ
)
足の
踏
(
ふむ
)
所も知ざるまでに
打喜
(
うちよろこ
)
び夫では
晩
(
ばん
)
に待てゐるから
急度
(
きつと
)
で有るよと念を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
是
(
こ
)
れと
言
(
い
)
ふも
矢張
(
やつぱり
)
原田
(
はらだ
)
さんの
縁引
(
ゑん
)
が
有
(
あ
)
るからだとて
宅
(
うち
)
では
毎日
(
まいにち
)
いひ
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
ます、お
前
(
まへ
)
に
如才
(
ぢよさい
)
は
有
(
あ
)
るまいけれど
此後
(
このご
)
とも
原田
(
はらだ
)
さんの
御機嫌
(
ごきげん
)
の
好
(
い
)
いやうに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「兄さんは
矢張
(
やつぱり
)
叔母さんの
生家
(
さと
)
へ知らずに買物に行つたのよ。三度も。なんでもハイカラな娘が居たなんて——
必
(
きつ
)
とお
君
(
きみ
)
さん(叔母さんの
姪
(
めひ
)
)のことよ。」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「是非見て貰ひ度い、
富豪
(
かねもち
)
が雪舟を見せ度がる格で、禿山でも自分の者になると、
矢張
(
やつぱり
)
見て貰ひたくてなあ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(あゝん、
此
(
こ
)
のさきの
下駄
(
げた
)
屋
(
や
)
の
方
(
はう
)
が
可
(
えゝ
)
か、お
前
(
まへ
)
好
(
すき
)
な
處
(
ところ
)
で
買
(
か
)
へ、あゝん。)と
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
たが、
矢張
(
やつぱり
)
默
(
だま
)
つて、
爾時
(
そのとき
)
は、おなじ
横顏
(
よこがほ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
背
(
そむ
)
けて、あらぬ
處
(
ところ
)
を
見
(
み
)
た。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
矢張
(
やつぱり
)
濡
(
ぬ
)
れてるは、
些
(
ちツ
)
とも
乾
(
かわ
)
かなくッてよ』と
愛
(
あい
)
ちやんが
悲
(
かな
)
しさうに
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
矢張
(
やつぱり
)
何
(
なに
)
をしたつて、さう
旨
(
うま
)
く
行
(
ゆ
)
くもんぢやあるまいよ」と
云
(
い
)
つた
宗助
(
そうすけ
)
の
言葉
(
ことば
)
と
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
矢張
(
やつぱり
)
あなたは
急病
(
きふびやう
)
かなんかで
此処
(
こゝ
)
へお
出
(
い
)
でなすツたかえ。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もしか大隈伯が身投でもする場合には、
矢張
(
やつぱり
)
履物を脱いで、義足を
露出
(
むきだ
)
しに死ぬるだらうかと疑つた者がある。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
信吾は五六歩歩いて、
思切悪気
(
おもひきりわるげ
)
に立留つた。そして
矢張
(
やつぱり
)
振返つた。目は、淡く
月光
(
つきかげ
)
を浴びた智恵子の横顔を見てゐる。コツ/\と
杖
(
ステツキ
)
の
尖
(
さき
)
で下駄の鼻を叩いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けなくおために
成
(
な
)
つて……
一寸
(
ちよつと
)
、
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
よ
私
(
わたし
)
は。……
矢張
(
やつぱり
)
何事
(
なにごと
)
も
心
(
こゝろ
)
は
通
(
つう
)
じますのですわね。」と
撫子
(
なでしこ
)
を
又
(
また
)
路傍
(
みちばた
)
へ。
忘
(
わす
)
れて
咲
(
さ
)
いたか、と
小草
(
をぐさ
)
にこぼれる。……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
矢
常用漢字
小2
部首:⽮
5画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“矢張”で始まる語句
矢張大根卸