トップ
>
矢張
>
やっぱ
ふりがな文庫
“
矢張
(
やっぱ
)” の例文
多「はい、有難うがんすけれども、とうに着ればハア破れやんすから、
矢張
(
やっぱ
)
り此の古襦袢の方が
惜気
(
おしげ
)
がなくって
却
(
かえ
)
って働きようがんす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お八代さんは
前褄
(
まえづま
)
をからげたままサッサと梯子を登って、窓のふちに手をかけながら、
矢張
(
やっぱ
)
り私と同じようにソロッと覗き込みました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いや。文学の天才というのは天才が文学の道へ入ったから文学の天才で、
若
(
も
)
し軍人になっていれば
矢張
(
やっぱ
)
り軍人の天才でございましょう」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
平生思想を性命として、思想に役せられている人に限って、思想が薄弱で
正可
(
まさか
)
の時の用に立たない。私の思想が
矢張
(
やっぱ
)
り其だった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「脅すぜAさん。じゃ
矢張
(
やっぱ
)
りお閻魔さまの前に並んでいる『見る眼』や『嗅ぐ鼻』も、ラジオ的に理屈のあるものなのかい。」
十年後のラジオ界
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
▼ もっと見る
「あちらが暗くなると、ぽかりぽかり光り出すと言って、……
此家
(
ここ
)
の料理方の才覚でしてね。
矢張
(
やっぱ
)
り生烏賊を、沢山にぶら下げましたよ。」
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
事実の
真髄
(
しんずい
)
に余程近づいたことは確かだった。併し、真髄そのものは、
矢張
(
やっぱ
)
り今にも分り相でいて、少しも分らなかった。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ヘッ、
其
(
その
)
辺は
矢張
(
やっぱ
)
り昔の姐御だ、——
尤
(
もっと
)
もお月様の光じゃ、はっきり判らねえが、美しいことも昔の通りらしいネ」
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
狐ではなく、あれも
矢張
(
やっぱ
)
り野良犬であったのかも知れぬと、自然に安堵の色を見せるようになった。もう冬である。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
矢張
(
やっぱ
)
りこれだったのか? マシュースは彼の手袋が濡れているか何うかに
依
(
よ
)
って、彼がウッドワード家の金魚鉢に触れたか否かを調べようとしているのだ。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お前さん
此頃
(
このごろ
)
は何だか
欝
(
ふさ
)
いでばかり居るね。
平生
(
ふだん
)
から陽気な人でも、
矢張
(
やっぱ
)
り苦労があると見えるんだね。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「これまで
煩
(
わず
)
らったことが
有
(
あっ
)
ても今度のように元気のないことは
無
(
ね
)
えが、
矢張
(
やっぱ
)
り長くない
証
(
しるし
)
であるらしい」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
矢張
(
やっぱ
)
り天罰ね。先生のご研究というのは何でも戦争に役に立つ事なんですって。これは無事に陸軍だか海軍だか知らないが、ちゃんとその方へ納まったんですって。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「えい。」と為吉は熱心になって、「その時も
矢張
(
やっぱ
)
り白山が見えていただろうね?」
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
如何
(
どう
)
したかと云うと、
淀川
(
よどがわ
)
の一番粗末な船を借りて、船頭を
一人
(
ひとり
)
雇うて、その船に例の
瓶
(
かめ
)
の
七輪
(
しちりん
)
を
積込
(
つみこ
)
んで、船中で今の通りの臭い仕事を
遣
(
や
)
るは
宜
(
い
)
いが、
矢張
(
やっぱ
)
り煙が
立
(
たっ
)
て風が吹くと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もう話の着いているのに、あなたが、そう何時までも、のんべんぐらりと、ずる/\にしていては、
皆
(
みんな
)
に、私が
矢張
(
やっぱ
)
しあなたに未練があって、一緒にずる/\になっているように思われるのが辛い。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
『
兄哥
(
あにき
)
。……何もそう俺は
尖
(
とが
)
っているんじゃねえ。おめえの枕元で、あんな話をしたというのも、これや
矢張
(
やっぱ
)
り、おめえにも運があったと云うもんだ、どうだ。この仕事は、
乗
(
のり
)
で行こうじゃねえか』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
矢張
(
やっぱ
)
り、——母さんッ」
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
洗ッて何うかするとコンガラかすのも
矢張
(
やっぱ
)
り逆毛が交ッて居るからの事です逆毛と順の毛と鱗が掛り合うからコンガラかッて
解
(
とけ
)
ぬのです頭の毛ならば順毛ばかりですから
好
(
よし
)
んばコンガラかッても終には
解
(
とけ
)
ます
夫
(
それ
)
や
最
(
も
)
う女髪結に
聞
(
きい
)
ても分る事(荻)夫が何の証拠に成る(大)サア此三本の中に逆毛が有て見れば是は必ず入毛です此罪人は
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ねえお母さま、あなた私の身をお
厭
(
いと
)
いなすって、あなたに
万一
(
もしも
)
の事でも有りますと、
矢張
(
やっぱ
)
り私が仕様がないじゃア有りませんか
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれども青眼は
矢張
(
やっぱ
)
りその眼を
睜
(
みは
)
ったまま返事をしませぬ。じっとその顔を見ていた王は、やがて
莞爾
(
にっこり
)
と笑って申しました——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
では、
矢張
(
やっぱ
)
り女の児か知ら。それにしては麦藁帽子……
尤
(
もっと
)
もおさげに
結
(
ゆ
)
つてれば……だけど、
其処
(
そこ
)
までは気が付かない。……
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「姉さん達は如何ですか。此頃は店の方が忙しいもんで、大変御無沙汰しちまった。歌子さんは
矢張
(
やっぱ
)
りピアノですか」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
悠々として天命を楽むのは実に
豪
(
えら
)
い。例えば「死」なる問題は、今の所到底理論の解決以外だ。が、解決が出来たとした所で、死は
矢張
(
やっぱ
)
り
可厭
(
いや
)
だろう。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あれからの出来事を手っ取り早く言えば、主人の小栗桂三郎は、
矢張
(
やっぱ
)
り
離屋
(
はなれ
)
の書斎の中で死んで居たのです。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
矢張
(
やっぱ
)
りあんたはウッドワードの所へ行ったのね」彼女は自信あり気に云った「そして妾にその事が云えなかった訳は——あんたはスラッグを殺したのでしょう」
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
赤外線男に金が
要
(
い
)
るとは
可笑
(
おか
)
しい。しかし靴を
履
(
は
)
いていたり、黒い洋服のようなものを着ているというからには、
矢張
(
やっぱ
)
り金が要るのかしら。しかし、その金をどうして使うのだ。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分がそもそも最初に深川の方面へ出掛けて見たのも、
矢張
(
やっぱ
)
りこの汐留の石橋の下から出発する
小
(
ちいさ
)
な石油の蒸気船に乗ったのであるが、それすら今では既に既に消滅してしまった時代の逸話となった。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
矢張
(
やっぱ
)
り
南東風
(
くだり
)
だったね?」
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「うむ!
矢張
(
やっぱ
)
り……」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
矢張
(
やっぱ
)
り本当なんだね。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
矢張
(
やっぱ
)
り
平地
(
ひらち
)
を歩いているつもりで片足を石垣の外に踏み出すや否や、アッと云う間もなく
水煙
(
みずけむり
)
を立てて落ち込んでドンドン川下へ流れて行った。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しの「それに就いて、勇助どんは
汝
(
われ
)
と一緒に若旦那へ
従
(
つ
)
いて出たが、勇助どんは
帰
(
けえ
)
らねえが、なにか
矢張
(
やっぱ
)
り汝がと一緒か」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それじゃ
矢張
(
やっぱ
)
りノアの
方船
(
はこぶね
)
から出たのかと聞いたら、善ちゃんにはノアの方船が分らなかった。大内さんは失恋で、少しヒステリーの気味だそうだ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
貴下
(
あなた
)
には、
矢張
(
やっぱ
)
り
唐突
(
だしぬけ
)
に聞えましょうが、私には度々の事で。……何かと申すと——例の怪しい二人の
婦
(
おんな
)
の姿です。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
矢張
(
やっぱ
)
りそうだ、私達が心の底で疑って居た通りだ。——幽香子は、あの悪党の夫に殺されたのだ、幽香子名儀の富、数百万円あるだろうと言われて居た財産を
死の舞踏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
じゃ、何うすりゃ
好
(
い
)
いかと云うに、
矢張
(
やっぱ
)
りそりゃ解らんよ。ただ手探りでやって見るんだ。要するに人間生きてる以上は思想を使うけれども、それは便宜の為に使うばかり。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
矢張
(
やっぱ
)
り
白山
(
はくさん
)
が見える!」
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
又
躄
(
びっこ
)
だと思った
乞食
(
こじき
)
が雨が降って来ると下駄を持って
駈出
(
かけだ
)
しやす、世間にはいくらもある手だから、これも
矢張
(
やっぱ
)
り其の伝でしょう、お止しなせえ/\
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云いながら、
籠
(
かご
)
の傍に近寄った。けれども鸚鵡は籠の真中の撞木に止まりながら、
矢張
(
やっぱ
)
り姫の名を呼び続けた——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
櫛巻
(
くしまき
)
の髪に柔かな
艶
(
つや
)
を見せて、
背
(
せな
)
に、ごつ/\した
矢張
(
やっぱ
)
り
鬱金
(
うこん
)
の裏のついた、古い
胴服
(
ちゃんちゃんこ
)
を着て、身に
染
(
し
)
む
夜寒
(
よさむ
)
を
凌
(
しの
)
いで居たが、其の美人の身に
着
(
つ
)
いたれば
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其頃の事を
誰
(
たれ
)
に聞いても、皆
阿母
(
おっか
)
さんは能く辛抱なすったとばかりで、
其他
(
そのた
)
に何も言わぬから、私の記憶に残る其時分の母は、
何時迄
(
いつまで
)
経
(
た
)
っても
矢張
(
やっぱ
)
り手拭を
姉様冠
(
あねさまかぶ
)
りにして
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あ、
矢張
(
やっぱ
)
りあなただったのか。私も春の独唱会で初めてあなたを見た時から、そんな気がしてならなかったのです。——今晩あんなことを言ったのも、そのためでしたよ。私は矢張り孝行娘を
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お母さんは
矢張
(
やっぱ
)
りハンケチを振っている。お父さんは見えなくなった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
なに
矢張
(
やっぱ
)
り
洋物屋
(
とうぶつや
)
の旦那様でも、元が士族
様
(
さん
)
の
果
(
はて
)
で、何かで行詰った事が有って、義理堅い方だから義が
立
(
たゝ
)
ないとか
何
(
なん
)
とか云う所からプイと遣ったか
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、そのおぶってる子が、
矢張
(
やっぱ
)
り……と云って、二度めの子だか、三度目だか、顔も年も覚えていません。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これも
矢張
(
やっぱ
)
り天意と申せば申されましょうが、……しかしいずれに致しましても
斯様
(
かよう
)
に偉大な正木先生を、当大学に迎えて、思う存分に仕事をさせられたのは
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
寧
(
いつ
)
そのくされ、思う存分書いて見よか、と思ったのは
先達
(
せんだっ
)
ての事だったが、
其後
(
そのご
)
——
矢張
(
やっぱ
)
り書く時節が到来したのだ——内職の賃訳が
弗
(
ふっ
)
と途切れた。
此暇
(
このひま
)
を
遊
(
あす
)
んで暮すは勿体ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「じゃ、
矢張
(
やっぱ
)
り」
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
作「これこれ長助、手暴くせんが
宜
(
よ
)
い、腹立紛れに
汝
(
てまえ
)
が毀すといかんから、
矢張
(
やっぱ
)
り千代お前検めるが
宜
(
い
)
い」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
矢
常用漢字
小2
部首:⽮
5画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“矢張”で始まる語句
矢張大根卸