トップ
>
容貌
>
きりやう
ふりがな文庫
“
容貌
(
きりやう
)” の例文
蒼白い顏が少し弱々しく見えますが、粗末な
身扮
(
みなり
)
に似合はぬ美しさで、存分に
裝
(
よそほ
)
はせたら、お喜多に
劣
(
おと
)
らぬ
容貌
(
きりやう
)
になるでせう。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さのみは愛想の嬉しがらせを言ふやうにもなく我まゝ至極の身の振舞、少し
容貌
(
きりやう
)
の自慢かと思へば小面が憎くいと蔭口いふ朋輩もありけれど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
先生の妹さんなんぞは年は若し、
容貌
(
きりやう
)
は好し、それで薙刀でも竹刀でも免許皆傳で、大抵の男はかなはないのだからな。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
けれども又、同時に誰が見てもみのるの
容貌
(
きりやう
)
は舞臺の人となるだけの資格がないと云ふことも明らかに思はせた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
僕の友達で新聞社に居た男だが、高等文官試驗に及第して官吏になつた、すると財産まで持つて嫁に來やうと云ふ相當な
容貌
(
きりやう
)
のものが澤山出て來たさうだ。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
渡世としお
三婆々
(
さんばゝ
)
と
呼
(
よば
)
れたり娘も
追々
(
おひ/\
)
成長
(
せいちやう
)
して
容貌
(
きりやう
)
も可なりなるにはや年頃に
成
(
なれ
)
ば手元に
置
(
おく
)
も爲によからじ
何方
(
いづかた
)
へ成とも
奉公
(
ほうこう
)
に
出
(
いだ
)
さんと口入の
榎本屋
(
えのもとや
)
三藏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
婿は綾さんの出てゐる工場の職工で、先方から望むで貧乏な家に入らうといふのであツた。無論綾さんの
容貌
(
きりやう
)
を命にして來る婿だ。綾さんも滿更でもなかツたらしい。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
さすがは多くの女ども、見飽きたまひし旦那の御
鑑識
(
めがね
)
ほどありてと、御
容貌
(
きりやう
)
には誰も点の
打人
(
うちて
)
なきに、旦那様も御満足の、その当座こそ二世も三世も、浮気はせまいと心の錠。
今様夫婦気質
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
女はわしが触れる事が出来るかと思はれる程、近くにゐる——が実際は、わしから可成離れて、内陣のずつと向うの欄干の
辺
(
あたり
)
にゐたのである——年も若く、
容貌
(
きりやう
)
も驚くばかり美しい。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
あなたを
挑
(
いど
)
まうとしながら
表面
(
うはべ
)
では学校のあの二人の才媛の
何方
(
どちら
)
をあなたは未来の妻にしたいと思ふかなどと云ふ話ばかりをして居たと云ふこと、あなたは第一の才媛は
容貌
(
きりやう
)
が悪いから厭だ
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
男でも女でも耳朶が赤く匂つて透いて見える時は、その人の
容貌
(
きりやう
)
よりも、美しく目をひくことがある。むかしの女は、上布の
女
(
ひと
)
でもなるみの浴衣でも、その點におろそかでなかつたやうである。
夏の女
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「——お前もやつれて
容貌
(
きりやう
)
がおちたと思つてよ。」
二人の男
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
あのお
喋舌
(
しやべり
)
で浮氣つぽくて
容貌
(
きりやう
)
自慢で、若旦那とはまるつきり
反
(
そり
)
の合はないお萬と一緒にされるが嫌で、ツイ
自棄
(
やけ
)
なことがあつたかも知れないが
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なるほどお前の
容貌
(
きりやう
)
ならば、廓へ身をしづめて相當の金にもなるだらう。おれも樂が出來るかも知れない。併しそんなことがどうしてさせられるものか。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
怒
(
いか
)
らしコレ小僧
和主
(
てまへ
)
は
何處
(
どこ
)
の者かは知ねど大藤の娘お光さんに癲癇が有るるとは何の
謔言
(
たはごと
)
彼
(
あの
)
お光さんは
容貌
(
きりやう
)
能
(
よ
)
く親孝心で
優
(
やさし
)
くて癲癇所ろか病氣は
微塵
(
みぢん
)
聊
(
いさゝ
)
かない人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此後は東京廣しといへども、山村の下女に成る物はあるまじ、感心なもの、美事の心がけと賞めるもあれば、第一
容貌
(
きりやう
)
が申分なしだと、男は直きにこれを言ひけり。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それにみのるの
容貌
(
きりやう
)
では舞臺へ出ても引つ立つ筈がないと義男は思つてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
そんな事を思合せると、
流石
(
さすが
)
に實利主義な世の中には呆れ返つたと云つて居るです。今時の日本の女には八百屋お七見たやうに男の
容貌
(
きりやう
)
に
恍惚
(
うつとり
)
して身を
過
(
あやま
)
つやうな優しい情愛と云ふものは微塵もない。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あの女は多勢の男へ附合つて、その一人々々を鏡にして、自分の才智や愛嬌や辯舌や
容貌
(
きりやう
)
を映して樂しんでゐたんだね。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此後
(
このご
)
は
東京
(
とうけう
)
廣
(
ひろ
)
しといへども、
山村
(
やまむら
)
の
下女
(
げぢよ
)
に
成
(
な
)
る
物
(
もの
)
はあるまじ、
感心
(
かんしん
)
なもの、
美事
(
みごと
)
の
心
(
こゝろ
)
がけと
賞
(
ほ
)
めるもあれば、
第
(
だい
)
一
容貌
(
きりやう
)
が申
分
(
ぶん
)
なしだと、
男
(
をとこ
)
は
直
(
じ
)
きにこれを
言
(
い
)
ひけり。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
年のころは廿一二、
容貌
(
きりやう
)
はよし、姿は好し、氣前はよし、なにしろ
入山形
(
いりやまがた
)
に二つ星の
仲
(
なか
)
の
町張
(
ちやうば
)
りで……。あなた方は御承知ございますまいが、一體仲の町張りと申しますと……。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
考へ出し妹娘のお富も幸ひ十二
相
(
さう
)
揃
(
そろ
)
ひし
容貌
(
きりやう
)
なれば
欺
(
だま
)
して是をも金にせんと己れが惡事仲間の
早乘
(
はやのり
)
の三次と云ふ者を
語合
(
かたらひ
)
又近所の
後家
(
ごけ
)
にて
惡婆
(
あくば
)
のお定と云ふ女をも手なづけ置き
頓
(
やが
)
て母の御安にはお富を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これはお冬にも
優
(
ま
)
して美しい
容貌
(
きりやう
)
ですが、何處か病身らしく、日蔭の花のやうにたよりない娘です。年の頃は十八九。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
桂次は東京に見てさへ
醜
(
わ
)
るい方では無いに、大藤村の光る君歸郷といふ事にならば、
機場
(
はたば
)
の女が白粉のぬりかた思はれると此處にての取沙汰、
容貌
(
きりやう
)
のわるい妻を持つぐらゐ我慢もなる筈
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
袷の裏まで
剥
(
はが
)
して賣る有樣、妹のお雪は二十一二のすぐれた
容貌
(
きりやう
)
ですが、これも、尾羽打枯して見る影もありません。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上杉のおぬひと言ふ
娘
(
こ
)
、桂次がのぼせるだけ
容貌
(
きりやう
)
も十人なみ少しあがりて、よみ書き
十露盤
(
そろばん
)
それは小學校にて學びし丈のことは出來て、我が名にちなめる針仕事は袴の仕立までわけなきよし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あの通り
容貌
(
きりやう
)
よしだし、人にも可愛がられる
性
(
たち
)
だが、氣味の惡いことがあつて、どうも長くは置けなかつたさうだ。
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
闇
(
やみ
)
を
常
(
つね
)
なる
人
(
ひと
)
の
親
(
おや
)
ごヽろ、
子
(
こ
)
故
(
ゆゑ
)
の
道
(
みち
)
に
迷
(
まよ
)
はぬは
無
(
な
)
きものをと
敏
(
さとし
)
此處
(
こヽ
)
に
眼
(
め
)
を
止
(
と
)
むれば、
香山家
(
かやまけ
)
三人
(
みたり
)
の
女子
(
むすめ
)
の
中
(
うち
)
、
上
(
かみ
)
は
氣
(
き
)
むづかしく
末
(
すゑ
)
は
活溌
(
はね
)
にて、
容貌
(
きりやう
)
大底
(
たいてい
)
なれども
何
(
なん
)
として
彼
(
か
)
の
君
(
きみ
)
に
及
(
およ
)
ぶ
者
(
もの
)
なく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
房五郎の後添、お駒の爲には繼母に相違ありませんが、本當によく出來た人で、四十八九にしては若々しい
容貌
(
きりやう
)
と共に、町内でも褒めものの女房だつたのです。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
含
(
ふく
)
む
姿
(
すがた
)
に
高下
(
かうげ
)
なく
心
(
こゝろ
)
に
隔
(
へだ
)
てなく
墻
(
かき
)
にせめぐ
同胞
(
はらから
)
はづかしきまで
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
はるゝ
水
(
みづ
)
と
魚
(
うを
)
の
君
(
きみ
)
さま
無
(
な
)
くは
我
(
わ
)
れ
何
(
なん
)
とせんイヤ
汝
(
われ
)
こそは
大事
(
だいじ
)
なれと
頼
(
たの
)
みにしつ
頼
(
たの
)
まれつ
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
藤
(
ふぢ
)
の
花房
(
はなぶさ
)
かゝる
主從
(
しゆうじう
)
の
中
(
なか
)
またと
有
(
あ
)
りや
梨本
(
なしもと
)
何某
(
なにがし
)
といふ
富家
(
ふうか
)
の
娘
(
むすめ
)
に
優子
(
いうこ
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ
容貌
(
きりやう
)
よし
色白
(
いろじろ
)
の
細
(
ほそ
)
おもてにして
眉
(
まゆ
)
は
※
(
かすみ
)
の
遠山
(
とほやま
)
がた
花
(
はな
)
といはゞと
比喩
(
たとへ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「へエ、少しは響きますが、でも、お關さんがゐらつしやれば、大したことはないと思ひます。
容貌
(
きりやう
)
はお玉さん程でなくても、あの愛嬌で人氣を呼びますから」
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天道
(
てんたう
)
樣の下で見ると、決して良い
容貌
(
きりやう
)
ではありませんが、陽氣で仇つぽくて、調子がよくて、これで厚化粧でもしたら、隨分ガラツ八を面喰はせたことでせう。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お婆さん、編笠乞食のところへ來る娘さんは、ありや何だらうねえ、大層な
容貌
(
きりやう
)
だつて評判だが——」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なるほどこれは美しい
容貌
(
きりやう
)
です。精々十七八、血色の
鮮
(
あざ
)
やかな瓜實顏に、
愛嬌
(
あいけう
)
がこぼるゝばかり。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうだらうねえ、お前ほどの
容貌
(
きりやう
)
ぢや、へちまの水にも南蠻渡來の白粉にも及ぶめえ」
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女はひどく恐縮して、二人へ
辯解
(
いひわけ
)
をするともなく、顏の袖を取りました。
堤
(
どて
)
の掛行燈は少し遠過ぎますが、丁度田圃の上へ出た月が、その素晴らしい
容貌
(
きりやう
)
を、惜みなく照し出します。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十四にしてはひどく
老
(
ふ
)
けてをりますが、足が少し惡いといふ外には、何んの非の打ちどころもない女で、
容貌
(
きりやう
)
も滿更でなく、働きも充分、家中の褒めものになつてゐるお道でした。
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それほどの
容貌
(
きりやう
)
が、何んだつて鬼の重三郎のところに奉公なんかしてゐるんだ」
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎も一應はこの飯炊女を疑ひましたが、不具で不
容貌
(
きりやう
)
で、その上小柄で、ボロ切れのやうな見る影もない姿を見せ付けられると、つまみ喰ひ以上の惡事などは出來さうにも思はれません。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
乳母
(
うば
)
のお霜は可愛い子のやうに言ひますが、外の奉公人や近所の人は、
容貌
(
きりやう
)
も惡く、身體も弱く、心持まで少し發育が遲れて、七つといつても、精々五つ位にしか見えなかつたと言つて居ります。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相變らず鏡の中の自分の
容貌
(
きりやう
)
に見とれ乍らせつせと
磨
(
みが
)
いてゐましたよ。
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矢取女三人は、おさの、お民、お銀と言つて、十六から十九まで、お千勢ほどではなくとも、かなり
容貌
(
きりやう
)
を揃へてあるのは、さすがにこの土地の矢場で、第一等の繁昌を誇るだけのことはあります。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だがネ親分、あのお絹さんとか言ふ、お孃さんは大した
容貌
(
きりやう
)
だね」
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐臼
(
からうす
)
を踏むやうな
大跛足
(
おほちんば
)
で、澁紙色の顏には、左の頬から
鬢
(
びん
)
へかけて、
大燒痕
(
おほやけど
)
の引つつりがある上、髮は
玉蜀黍
(
たうもろこし
)
の毛のやうな女——、年こそ三十前後ですが、これは又あまりに痛々しい不
容貌
(
きりやう
)
です。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
容貌
(
きりやう
)
のよいのが幸か不幸か、到頭側近くお世話することになつた。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“容貌”の解説
容貌(ようぼう)は、人の顔立ちのことである。ルックス(looks)と呼ばれることもある。
(出典:Wikipedia)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
貌
常用漢字
中学
部首:⾘
14画
“容貌”で始まる語句
容貌魁偉
容貌佳
容貌好
容貌望
容貌美
容貌俊知
容貌瀟洒
容貌肢体
容貌風采