容貌かほかたち)” の例文
新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎の方へ申こみ目見めみえを致させけるに容貌かほかたちも十人なみすぐれしかば大いに氣にいりだん/\懸合かけあひすゑねん一ぱい金五十兩と相談を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は白晝でも眼さへつぶれば、梅川うめがはや、忠兵衞や、おこよや、源三郎や、ロメオや、ジュリヱツトや、パウロや、フランチェスカや、其れ等の若い人々の美しい容貌かほかたち、亂れた髮
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
母と叔父とは、齢もとを以上違つて居たし、青い面長とひらた赤良顔あからがほ、鼻の恰好がややてゐた位のものである。背の婷乎すらりとした、髪は少し赤かつたが、若い時は十人並には見えたらうと思はれる容貌かほかたち
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ういふ風に、過去つたことを思ひ浮べて居ると、お妻からお志保、お志保からお妻と、二人のおもかげつたり来たりする。別にあの二人は似て居るでも無い。年齢としも違ふ、性質も違ふ、容貌かほかたちも違ふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
下げ萬事一人の計ひなればやしき内の者此平左衞門を恐れ誰一人ことばを返す者もなきゆゑ平左衞門は我儘わがまゝ増長ぞうちやうし其上ならず年に似げなく大の好色者にてお島の容貌かほかたちうつくしきに心をかけがなすきがなお島を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
したうやまひける然るに夫婦の中に二人の子供こどもありて長男ちやうなんは平吉とて二十一歳いもとをおなみと呼て十八歳なるが此お浪は容貌かほかたちしうすぐれて美麗うつくしき上氣象こゝろだて優美やさしければ兩親ふたおや愛情いつくしみも一方ならず所々しよ/″\方々はう/″\より縁談えんだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)