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締
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しま
ふりがな文庫
“
締
(
しま
)” の例文
紫玉は我知らず
衣紋
(
えもん
)
が
締
(
しま
)
った。……
称
(
とな
)
えかたは
相応
(
そぐ
)
わぬにもせよ、
拙
(
へた
)
な山水画の
裡
(
なか
)
の隠者めいた老人までが、確か自分を知っている。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、右の方から黒い大きな戸が音を立てて
締
(
しま
)
って来た。彼はしかたなしに足を
止
(
と
)
めたが、その戸はみるみる左の方へ往ってしまった。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
横の方へ廻ると
栂
(
つが
)
の
面取格子
(
めんとりごうし
)
が
締
(
しま
)
って居りますから、
怖々
(
こわ/″\
)
格子を開けると、車が付いて居りますから、がら/\/\と音がします。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その通りだよ、手遲れになると、證據が逃げる、いや、こいつはいひ過ぎだ、ところで、出かける前に、俵屋の家中の
締
(
しま
)
りの具合を
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
云ったかと思うと、ガタガタと走り去る足音、バタンと
締
(
しま
)
る
鉄扉
(
てっぴ
)
の音、そして、その外から聞えて来る、ゾッとする様な悪魔の笑い声。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
中古の
鼠色
(
ねず
)
縮緬
(
ちりめん
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
が、腰でだらしなくもなく、きりっとでもなく
穏健
(
おんけん
)
に
締
(
しま
)
っている。古いセルの
単衣
(
ひとえ
)
、少し
丈
(
たけ
)
が長過ぎる。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
竹の皮へ包みますが包むばかりではよく
締
(
しま
)
りませんからその上を竹の皮の細いので三か所ほど縛って固く締めるほど良いのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
樺は一見神経質らしい、それでいやに
沈着
(
おちつ
)
きすました若い男で、馬も
敏捷
(
びんしょう
)
な
相好
(
そうごう
)
の、足腰の
締
(
しま
)
った、雑種らしい灰色なんです。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
借
(
かり
)
て
働
(
はたら
)
かせしが其の夜は
遲
(
おそ
)
く
成
(
なり
)
しかば翌朝
歸
(
かへ
)
しけるに
早
(
はや
)
辰刻頃
(
いつゝごろ
)
なるに隱居所の
裏口
(
うらぐち
)
締
(
しま
)
り居て未だ起ざる樣子なれば大いに
怪
(
あやし
)
み
何時
(
いつ
)
も早く目を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
寒くなると、がたがた
顫
(
ふる
)
えてる貧乏人がどれだけあるか知れないんだよ。お前さんは一体、
締
(
しま
)
るところは締る
女
(
ひと
)
なんだのにね
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ナルシサスもかくやと思われる美しい顔立ちに十九歳の若々しい肉体は、アポロのように見事に発育して引き
締
(
しま
)
っています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
敬太郎は
真面目
(
まじめ
)
になって松本恒三様の五字を
眺
(
なが
)
めたが、
肥
(
ふと
)
った
締
(
しま
)
りのない書体で、この人がこんな字を書くかと思うほど
拙
(
せつ
)
らしくできていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは脚だけの生きものでしかなかった。脚だけの生きものが、きゅっと
締
(
しま
)
った白い足袋をはき、
赤鼻緒
(
あかはなお
)
のすがった軽い
桐
(
きり
)
の
日和下駄
(
ひよりげた
)
をつっかけている。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大川内
(
おおかわち
)
四十軒の、
捻土方
(
ねりつちかた
)
、
窯焚
(
かまた
)
き、下働きなどの
締
(
しま
)
りをしている
鍋島家御用工人
(
なべしまけごようこうにん
)
、
土塀囲
(
どべいがこ
)
いだが邸はかなり広い。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの顔は、一様に、彼らの美しき不弥の女を守り得る力を、彼女に示さんとする努力のために
緊
(
ひ
)
き
締
(
しま
)
っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
いつしか坐りなおしていた自分の用意には、高座におけると同様の引き
締
(
しま
)
った精神が現われてまだやらぬうちから自分の
物真似声
(
ものまねごえ
)
が自分には聴こえていた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
チャンと軍令と云うものがあって
締
(
しま
)
りが
付
(
つい
)
て居るから安心しなさいと
頻
(
しき
)
りに
和
(
なだ
)
めて
一寸
(
ちょい
)
とも手を触れないと云う一例でも、官軍の存外優しかったことが分る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
石之助
(
いしのすけ
)
其夜
(
そのよ
)
はをとなしく、
新年
(
はる
)
は
明日
(
あす
)
よりの三ヶ
日
(
にち
)
なりとも、
我
(
わ
)
が
家
(
いへ
)
にて
祝
(
いは
)
ふべき
筈
(
はづ
)
ながら
御存
(
ごぞん
)
じの
締
(
しま
)
りなし、
堅
(
かた
)
くるしき
袴
(
はかま
)
づれに
挨拶
(
あいさつ
)
も
面倒
(
めんどう
)
、
意見
(
いけん
)
も
實
(
じつ
)
は
聞
(
きゝ
)
あきたり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
母もやはりそういう種類の女ではないかと思われます。
一目
(
ひとめ
)
見ても決してわるい人でない事がわかります。若く見えてきれいですが、どこか
締
(
しま
)
りのないところがあります。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
前度に
懲
(
こ
)
りて、鶏舎の
締
(
しま
)
りを厳重にしたが、外にしめ出しては
詮方
(
しかた
)
が無い。
梨
(
なし
)
の木の下に埋葬。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ボートルレは伯爵の持ってこさせた
鶴嘴
(
つるはし
)
で階段のところを壊し初めた。ボートルレの顔色は気が引き
締
(
しま
)
っているためにまっ蒼であった。突然、鶴嘴は何かに
当
(
あた
)
ってはね返った。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
一体
苦
(
にが
)
み
走
(
ばし
)
りて
眼尻
(
めじり
)
にたるみ無く、一の字口の少し
大
(
おおき
)
なるもきっと
締
(
しま
)
りたるにかえって男らしく、娘にはいかがなれど
浮世
(
うきよ
)
の
鹹味
(
からみ
)
を
嘗
(
な
)
めて来た女には
好
(
す
)
かるべきところある
肌合
(
はだあい
)
なリ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼の
顏立
(
かほたち
)
は整つてはゐるけれど
締
(
しま
)
りがなく、眼は大きくて美しく出來てはゐるが、そこからは、
意氣地
(
いくぢ
)
のないぼんやりした人となりが覗いてゐる——少くとも私にはさう思へたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それに南さんは色の
飽
(
あく
)
まで白い、毛の濃い人でしたから、どんなものでも似合つて見えたのであらうと思はれます。目の細い、鼻の高い、そしてよく
締
(
しま
)
つた口元で、唇の
紅
(
あか
)
い人でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
幕が
締
(
しま
)
ると、それに気づいた母親は、延宝を連れて河内家の部屋へ謝りに往つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その引き
締
(
しま
)
つた頬を見ると、道助は急いで眼を
背向
(
そむ
)
けて少し速足に歩きだした。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
近所
(
きんじょ
)
でもよく
知
(
し
)
つていることですが、
老人
(
ろうじん
)
はかなりへんくつな
人物
(
じんぶつ
)
です。ひどく
用心
(
ようじん
)
ぶかくて、
昼日中
(
ひるひなか
)
でも、
門
(
もん
)
の
内側
(
うちがわ
)
に
締
(
しま
)
りがしてあり、
門柱
(
もんちゅう
)
の
呼鈴
(
よびりん
)
を
押
(
お
)
さないと、
門
(
もん
)
をあけてくれません。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
今
(
いま
)
は
少
(
すこ
)
しく
色
(
いろ
)
淺黒
(
あさぐろ
)
くなつて、それに
口元
(
くちもと
)
キリ、と
締
(
しま
)
り、
眼
(
め
)
のパツチリとした
樣子
(
やうす
)
は、
何
(
なに
)
とも
云
(
い
)
へず
勇
(
いさ
)
ましい
姿
(
すがた
)
、
此後
(
このゝち
)
機會
(
きくわい
)
が
來
(
き
)
て、
彼
(
かれ
)
が
父君
(
ちゝぎみ
)
なる
濱島武文
(
はまじまたけぶみ
)
に
再會
(
さいくわい
)
した
時
(
とき
)
、
父
(
ちゝ
)
は
如何
(
いか
)
に
驚
(
おどろ
)
くだらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
姿にしても
其通
(
そのとほり
)
だ、
奈何
(
いか
)
にもキチンと
締
(
しま
)
ツて、
福袢
(
じゆはん
)
の
襟
(
えり
)
でも
帯
(
おび
)
でも、または
着物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
でもひツたり體にくツついてゐるけれども、
些
(
ちつ
)
とだツて
氣品
(
きひん
)
がない。別の
言
(
ことば
)
でいふと、
奥床
(
おくゆか
)
しい點が無いのだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
紫玉は
我知
(
われし
)
らず
衣紋
(
えもん
)
が
締
(
しま
)
つた。……
称
(
とな
)
へかたは
相応
(
そぐ
)
はぬにもせよ、
拙
(
へた
)
な山水画の
裡
(
なか
)
の隠者めいた老人までが、確か自分を知つて居る。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘お妙が、床の上で
羽子
(
はね
)
をついたというのは、あの白々とした窓でしょう。今日は障子が
締
(
しま
)
って、なんにも見せてはくれません。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平岡の
家
(
うち
)
の
前
(
まへ
)
へ
来
(
き
)
た時は、
曇
(
くも
)
つた
頭
(
あたま
)
を
厚
(
あつ
)
く掩ふ
髪
(
かみ
)
の
根元
(
ねもと
)
が
息切
(
いき
)
れてゐた。代助は
家
(
いへ
)
に入る
前
(
まへ
)
に
先
(
ま
)
づ帽子を
脱
(
ぬ
)
いだ。格子には
締
(
しま
)
りがしてあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、気が
注
(
つ
)
いて恐る恐る眼をやった時、
南縁
(
なんえん
)
の雨戸の
締
(
しま
)
る音がして、
曲者
(
くせもの
)
の姿はもう見えないで、被衣のみが
沙
(
すな
)
の上にふわりと落ちていた。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
川手氏は長椅子の上に横になったまま黙りこんでしまったので、博士は預って置いた鍵を取出して、ドアに
締
(
しま
)
りをした。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
額
(
ひたい
)
が秀でてゐて唇が
締
(
しま
)
てゐる隅から、犬歯の先がちよつと
覗
(
のぞ
)
いてゐる。いまに事業家肌の医者になりさうな意志の強い、そして学者風に
捌
(
さば
)
けてゐる青年だつた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
母
(
はゝ
)
さんと
言
(
い
)
ふは
目
(
め
)
の
惡
(
わ
)
るい
人
(
ひと
)
だから
心配
(
しんぱい
)
をさせないやうに
早
(
はや
)
く
締
(
しま
)
つてくれゝば
宜
(
い
)
いが、
私
(
わたし
)
はこれでも
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
の
半纒
(
はんてん
)
をば
洗濯
(
せんたく
)
して、
股引
(
もゝひき
)
のほころびでも
縫
(
ぬ
)
つて
見
(
み
)
たいと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
被害者
(
ひがいしゃ
)
刈谷音吉老人
(
かりやおときちろうじん
)
は、もと
高利貸
(
こうりか
)
しでへんくつで、
昼日中
(
ひるひなか
)
でも
門
(
もん
)
に
締
(
しま
)
りをしていて、
呼
(
よび
)
りんを
押
(
お
)
さないと、
人
(
ひと
)
を
門内
(
もんない
)
へ
通
(
とお
)
さなかつたというほどに
用心
(
ようじん
)
ぶかく、それに
妻子
(
さいし
)
はなく
女中
(
じょちゅう
)
もおかず
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
入営除隊の送迎は勿論、何角の
寄合事
(
よりあいごと
)
があれば、天候季節の許す限りは此処の
拝殿
(
はいでん
)
でしたものだ。乞食が寝泊りして火の用心が悪い処から、つい昨年になって拝殿に
格子戸
(
こうしど
)
を立て、
締
(
しま
)
りをつけた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
明け
釜元
(
かまもと
)
を
焚付
(
たきつ
)
け扨々
昨夜
(
ゆうべ
)
は危き事かなと一人
云
(
いひ
)
つゝ吉之助初瀬留をも
起
(
おこ
)
さんとしける
折
(
をり
)
昨夜
(
さくや
)
喜八を
捕
(
とら
)
へたる山田軍平は
朝湯
(
あさゆ
)
の歸り掛け
煙草
(
たばこ
)
を
買
(
かは
)
んと喜八の
店
(
みせ
)
に
立寄
(
たちより
)
しが未だ
表
(
おもて
)
は
締
(
しま
)
り居る故
煙草
(
たばこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
禮「
怪
(
け
)
しからん奴だ、何処から這入りやアがった、
締
(
しま
)
りある場所を這入りやアがって、門でも乗越えて這入ったか、他に這入れる訳はねえが、
此奴
(
こいつ
)
、
手前
(
てめえ
)
賊だな、いや賊だ、
手前
(
てめえ
)
盗賊に違いあるめえ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だから、する事が、ちつとも
締
(
しま
)
りがない。縁日へひやかしになど行くと、急に思ひ出した様に、先生松を
一鉢
(
ひとはち
)
御買ひなさいなんて妙な事を云ふ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
面啖
(
めんくら
)
つて、へどもどしながら、そんな
中
(
なか
)
でも
其
(
それ
)
でも、
何
(
なん
)
の
拍子
(
ひやうし
)
だか、
髮
(
かみ
)
の
長
(
なが
)
い
工合
(
ぐあひ
)
と
云
(
い
)
ひ、
股
(
また
)
の
締
(
しま
)
らないだらけた
風
(
ふう
)
が、
朝鮮
(
てうせん
)
か
支那
(
しな
)
の
留學生
(
りうがくせい
)
か
知
(
し
)
ら。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、目的の病院へ
著
(
つ
)
いたが、玄関の扉が
締
(
しま
)
っているので、しかたなく死体を出入する非常口から入った。
天井裏の妖婆
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
闇の中を手探りで、二階への階段まで近づき、そっと上を覗いて見ますと、暗いのも道理、
梯子段
(
はしごだん
)
を
上
(
のぼ
)
った所の落し戸が、ピッタリ
締
(
しま
)
っているのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あれだけ嚴重な、
締
(
しま
)
りの家だから、外から押入つたとすれば、
何處
(
どこ
)
かに變なところがあるわけだ」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
健かな肉付きは、胸、背中から下腹部、腰、胴へと
締
(
しま
)
つて行き、こどもの
豹
(
ひょう
)
を見るやうだつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
のお
力
(
りき
)
は
行
(
ゆき
)
ぬけの
締
(
しま
)
りなしだ、
苦勞
(
くろう
)
といふ
事
(
こと
)
はしるまいと
言
(
い
)
ふお
客樣
(
きやくさま
)
もござります、ほんに
因果
(
ゐんぐわ
)
とでもいふものか
私
(
わたし
)
が
身
(
み
)
位
(
くらい
)
かなしい
者
(
もの
)
はあるまいと
思
(
おも
)
ひますとて
潜然
(
さめ/″\
)
とするに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
偖
(
さて
)
も生駒家の
用人
(
ようにん
)
留守居等は
玄關脇
(
げんくわんわき
)
の座敷に
控
(
ひか
)
へ居けるに
暫時
(
しばらく
)
有て御徒目付青山三右衞門再び出立迎の
乘物
(
のりもの
)
に
締
(
しま
)
りの儀御心得有べきやと云へば
金子
(
かねこ
)
忠右衞門加川新右衞門の兩人
御念
(
ごねん
)
の入たる御尋ね
締
(
しま
)
りの儀は
錠前
(
ぢやうまへ
)
に及ばざる旨御書付に
任
(
まか
)
せ錠は付申さず候へども
警固
(
けいご
)
の
儀
(
ぎ
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ただ
微
(
かす
)
かに薄笑の影を
締
(
しま
)
りの好い口元に寄せて見せた。それがいかにも兄に打ち勝った得意の色をほのめかすように見えるのが津田には
癪
(
しゃく
)
だった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甥
(
をひ
)
の音次郎と心中をする約束で、掛り人のお京といふ娘が出た後、
締
(
しま
)
りのない縁側から、流しの
忍込
(
のび
)
が入り込んで、主人の枕許の手文庫から、三百兩の金を掴み出したところを
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
締
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“締”を含む語句
取締
羽掻締
戸締
元締
引締
締切
噛締
音締
羽交締
締括
締直
不取締
胴締
牛蒡締
大元締
喰締
締緒
緒締
締木
下締
...