トップ
>
閉
>
しま
ふりがな文庫
“
閉
(
しま
)” の例文
私は門のところに
躊
(
ため
)
らひ、
芝生
(
しばふ
)
の上に
躊
(
ため
)
らつた。鋪石道を往き
復
(
かへ
)
りした。
硝子戸
(
ガラスど
)
の
鎧戸
(
よろひど
)
は
閉
(
しま
)
つてゐて内部を見ることは出來なかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さらでだに虫の音も絶え果てた冬近い夜の
寥
(
さび
)
しさに、まだ宵ながら家々の戸がピタリと
閉
(
しま
)
つて、
通行
(
とほ
)
る人もなく、話声さへ洩れぬ。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お縫は自らおのが身を待たして、蓋を引いたままじっとして
勝手許
(
かってもと
)
に
閉
(
しま
)
っている一枚の障子を、その情の深い目で
瞶
(
みつ
)
めたのである。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
堅く
閉
(
しま
)
つた大きな門を背にして、二人は手をつないで彼れの近づくのを見守つてゐた。彼れは遠くからその二人を睨まへて歩いて行つた。
幻想
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
これにはお角もおどろきましたが、窓の扉が堅く
閉
(
しま
)
っていて、どうして明けるのか判らない。入口の扉にもいつの間にか錠がおろしてある。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
雨戸の
閉
(
しま
)
つてゐる六畳の前の、色取り/\の草花に目がさめるやうな気がする。おくみは座敷の方の片隅から掃いて行つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
扉の
閉
(
しま
)
った音で眼を醒ました正木博士は、その名刺を受取ってチョット見ますと如何にも不機嫌らしく両眼を
凹
(
へこ
)
ませました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれど、それもいずれへか散って、その日の
暮方
(
くれがた
)
からは、全くこの家は淋しくなって戸が
閉
(
しま
)
っていた。中を覗いて見ると、何もなかったらしい。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこで
彼
(
かれ
)
は
小屋
(
こや
)
の
前
(
まえ
)
に
坐
(
すわ
)
りましたが、
見
(
み
)
ると、
戸
(
と
)
の
蝶番
(
ちょうつがい
)
が
一
(
ひと
)
つなくなっていて、そのために
戸
(
と
)
がきっちり
閉
(
しま
)
っていません。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
滝野はさう云つて閉めにかゝつたが、具合が悪くてうまく
閉
(
しま
)
らなかつた。彼は、性急に舌を鳴して、断念してまた元の座に返つて煙草を喫してゐた。
蝉
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
むゝ、あの
貧人
(
ひんじん
)
から
是非
(
ぜひ
)
毒
(
どく
)
を
買
(
もと
)
めうわい。……
何
(
なん
)
でも
此
(
こ
)
の
邊
(
へん
)
であった。
祭日
(
さいじつ
)
ゆゑ
貧乏店
(
びんばふみせ
)
が
閉
(
しま
)
ってある。……いや、なう/\!
藥種屋
(
やくしゅや
)
はおりゃるか?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その中央に古代の城門に似た鉄の黒い
扉
(
とびら
)
がいつもぴったりと
閉
(
しま
)
っているのを梶はしばしば通って見たことがあった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
哲郎は戸の
閉
(
しま
)
った
蕎麦屋
(
そばや
)
の前へ来ていた。
微
(
かすか
)
に優しい声で笑うのが聞えた。彼はその方へ顔をやった。
壮
(
わか
)
い女が電柱に身を隠すようにして笑っていた。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夜が更けて、店を
閉
(
しま
)
ふ頃になると、意地悪く眼が冴えて来たが、宵の口の一二時間は我慢が出来ないほど眠かつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
夢中で鮨屋を駈出し、トットと大門町の伯父の処へ来て見ると、ぴったり
閉
(
しま
)
って居るからトン/\/\/\
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鉄のボートで出来た門は
閉
(
しま
)
っていた。それは然し押せばすぐ開いた。私は階段を昇った。扉へ手をかけた。そして引いた。が開かなかった。畜生!
慌
(
あわ
)
てちゃった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
例の通り
紅葉
(
もみじ
)
を
引手
(
ひきて
)
に張り込んだ
障子
(
しょうじ
)
が、閑静に
閉
(
しま
)
っているだけなのを、敬太郎は少し案外にかつ物足らず
眺
(
なが
)
めていたが、やがて
沓脱
(
くつぬぎ
)
の上に脱ぎ捨てた
下駄
(
げた
)
に気をつけた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし
悲
(
かな
)
しいことには、
小
(
ちひ
)
さな
戸
(
と
)
は
又
(
また
)
閉
(
しま
)
つてゐて、
小
(
ちひ
)
さな
黄金
(
こがね
)
の
鍵
(
かぎ
)
が
以前
(
もと
)
のやうに
硝子
(
ガラス
)
洋卓
(
テーブル
)
の
上
(
うへ
)
に
載
(
の
)
つてゐました、『
前
(
まへ
)
より
餘程
(
よつぽど
)
不可
(
いけな
)
いわ』と
此
(
この
)
憐
(
あは
)
れな
愛
(
あい
)
ちやんが
思
(
おも
)
ひました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「いや、何もない。分ったことは、あの社長室の
直下
(
すぐした
)
の四階は、
石垣
(
いしがき
)
という建築師の事務所、その下の三階は空き部屋だ。両方とももう戸が
閉
(
しま
)
っていて、調べようにも方法がない」
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「だが、そんなに
閉
(
しま
)
りの厳重な部屋へ、人殺し野郎は
入
(
はい
)
れるわけはないだろう」
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
餘
(
あまり
)
の事と學生は振返ツた……其の
鼻
(
はな
)
ツ
頭
(
つら
)
へ、風を
煽
(
あふ
)
ツて、
扉
(
ドアー
)
がパタンと
閉
(
しま
)
る……響は高く其處らへ響渡ツた。學生は唇を噛み
拳
(
こぶし
)
を握ツて口惜しがツたが
爲方
(
しかた
)
が無い。
悄々
(
しを/\
)
と仲間の後を追ツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
春秋に展覧会の開かれるグラン・パレーの入口は真黒く
閉
(
しま
)
っていて、プチ・パレーの方に
波蘭
(
ポーランド
)
の工芸品展覧会の雪の山を描いたポスターが白い窓のように
几帳面
(
きちょうめん
)
な間隔を置いて貼られてある。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今は
建
(
た
)
てつけの悪い障子がびっしゃりと
閉
(
しま
)
って、あたりがしんとしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
店の戸の
閉
(
しま
)
る音が聞えた。燈火のさしていたガラス戸がまたたいて見えなくなっていった。まだ一つ二つ残っていたが、それもすぐに暗くなった。しいんとした。……彼らは二人きりだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あとは
閉
(
しま
)
った店がすこし目立つぐらいで、街はやっぱり
華美
(
かび
)
であった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
浴客はまだ何処にも
輻湊
(
ふくそう
)
していなかったし、
途々
(
みちみち
)
見える貸別荘の門なども大方は
閉
(
しま
)
っていて、松が六月の
陽炎
(
ようえん
)
に
蒼々
(
あおあお
)
と繁り、道ぞいの流れの向うに裾をひいている山には濃い
青嵐
(
せいらん
)
が
煙
(
けぶ
)
ってみえた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
子羔
(
しこう
)
だ。孔門の後輩で、子路の
推薦
(
すいせん
)
によってこの国の大夫となった・正直な・気の小さい男である。子羔が言う。内門はもう
閉
(
しま
)
ってしまいましたよ。子路。いや、とにかく行くだけは行ってみよう。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
寝台の上へ起直ると、続いて
何処
(
どこ
)
かでばたんと
扉
(
ドア
)
の
閉
(
しま
)
る音がした。
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
富岡の門まで行ってみると門は
閉
(
しま
)
って、内は
寂然
(
ひっそり
)
としていた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
硝子
(
ガラス
)
戸もその向うの戸もきちんと
閉
(
しま
)
つて居るのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その一つのドアが今ばたんと
閉
(
しま
)
ってその向うに
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
硝子の
閉
(
しま
)
つた青い
街
(
まち
)
を
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
其癖
(
そのくせ
)
、ガラ/\と
又
(
また
)
……
今度
(
こんど
)
は
大戸
(
おほど
)
の
閉
(
しま
)
つた
時
(
とき
)
は、これで、
最
(
も
)
う、
家内
(
かない
)
と
私
(
わたし
)
は、
幽明
(
いうめい
)
処
(
ところ
)
を
隔
(
へだ
)
てたと
思
(
おも
)
つて、
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
涙
(
なみだ
)
が
落
(
お
)
ちた。…
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼が出ていつて、
背後
(
うしろ
)
に
扉
(
ドア
)
が
閉
(
しま
)
ると、部屋中が暗くなつて、ふたゝび、氣が沈み、名状し難い悲しさが、のしかゝつて來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
窓は硝子が
閉
(
しま
)
つて内から黒いカーテンが懸つてゐるのだから、並べた花は向うの黒い中にもあるやうに硝子に寫つた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
で、彼が家へ歸つてくると、玄關の戸がもう
閉
(
しま
)
つてゐた。信吾は何がなしにわが家ながら
閾
(
しきい
)
が高い樣な氣がして、成るべく音を立てぬ樣にして入つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
三十分の後、女は暗い下の
室
(
へや
)
の隅に
竦
(
すく
)
んでいた。破れた
煤
(
すす
)
けた障子が西向に、
閉
(
しま
)
っていて、床は汚れた三畳敷の室であった。敷物も別になくてただ女は片隅に竦んだまま身動きをしなかった。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大廣間
(
おほびろま
)
の
周圍
(
しうゐ
)
には
何枚
(
なんまい
)
となく
戸
(
と
)
がありましたが、
何
(
いづ
)
れも
皆
(
みな
)
閉
(
しま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と、
障子
(
しょうじ
)
が
閉
(
しま
)
って続いてぱっと傘を
拡
(
ひろ
)
げる音がした。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
近所ではもうパタパタ戸が
閉
(
しま
)
るころである。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「此雨戸は今朝
閉
(
しま
)
つては居たのだな」
銭形平次捕物控:169 櫛の文字
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
快活な聲が
縺
(
もつ
)
れ
合
(
あ
)
つてゐるのを聞きとることが出來るか出來ぬ中に(その間にアデェルの聲を聞きわけたやうに思ふ)、
扉
(
ドア
)
は
閉
(
しま
)
つてしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
どこからか、細目に
灯
(
あかり
)
が透くのかしら?……その端の、ふわりと
薄匾
(
うすひら
)
ったい処へ、指が立って、白く
刎
(
は
)
ねて、動いたと思うと、すッと
扉
(
と
)
が
閉
(
しま
)
った。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行つた時は、
平生
(
いつも
)
のやうに入口の戸が
閉
(
しま
)
つて居ました。初めての人などは不在かと思ふんですが。戸を閉めて置かないと自分の家に居る氣がしないとアノ人が云つてました。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
閉
(
しま
)
りは無い」
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どうしまして、邪魔も何もござりましねえ。はい、お
前様
(
まえさま
)
、何か
尋
(
たず
)
ねごとさっしゃるかね。
彼処
(
あすこ
)
の
家
(
うち
)
は
表門
(
おもてもん
)
さ
閉
(
しま
)
っておりませども、
貸家
(
かしや
)
ではねえが……」
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雜
(
ざつ
)
と
私
(
わし
)
が
住居
(
すまひ
)
と
思
(
おも
)
へば
可
(
い
)
いの。ぢやが、
恁
(
か
)
う
門
(
もん
)
が
閉
(
しま
)
つて
居
(
を
)
つては、
一向
(
いつかう
)
出入
(
ではひ
)
りも
成
(
な
)
るまいが。
第一
(
だいいち
)
私
(
わし
)
が
許
(
ゆる
)
さいではお
主
(
ぬし
)
も
此處
(
こゝ
)
へは
通
(
とほ
)
れぬと
云
(
い
)
つた
理合
(
りあひ
)
ぢや。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蔵屋の
門
(
かど
)
の戸が
閉
(
しま
)
つて、山が月ばかり、
真蒼
(
まっさお
)
に成つた時、此の鍵屋の
母娘
(
おやこ
)
が帰つた。例の
小女
(
こおんな
)
は其の娘で。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
白井
(
しらゐ
)
さんの
姿
(
すがた
)
は、
火
(
ひ
)
よりも
月
(
つき
)
に
照
(
て
)
らされて、
正面
(
しやうめん
)
の
縁
(
えん
)
に
立
(
た
)
つて、
雨戸
(
あまど
)
は
一枚
(
いちまい
)
づゝがら/\と
閉
(
しま
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
背後
(
うしろ
)
に残って、砂地に独り峡の婆、
件
(
くだん
)
の手を腰に
極
(
き
)
めて、
傾
(
かた
)
がりながら、片手を前へ、斜めに
一煽
(
ひとあお
)
り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて
閉
(
しま
)
った。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“閉”の意味
《名詞》
(とず) 暦注の十二直の一つ。堤を築くことなどに吉、柱立て、婚姻、鍼灸などに凶という日。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
“閉”を含む語句
閉塞
閉籠
幽閉
閉口
開閉
閉場
閉切
戸閉
閉込
閉鎖
開閉器
密閉
閉出
閉伊川
閉店
上閉伊郡
密閉室
大閉口
閉扉
本開閉器
...