トップ
>
揣摩
>
しま
ふりがな文庫
“
揣摩
(
しま
)” の例文
お政にも
昇
(
のぼる
)
にもモデルがあるといって、誰それであろうと
揣摩
(
しま
)
する人もあるが、作者自身の口からは絶えてソンナ咄を聞かなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
宇内
(
うだい
)
の大勢を
揣摩
(
しま
)
し、欧洲の活局を洞観するの
烱眼
(
けいがん
)
に到りては、その同時の諸家、彼に及ぶもの
鮮
(
すく
)
なし、いわんや松陰においてをや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
こういったお秀は急に
赧
(
あか
)
くなった。それが何の
羞恥
(
しゅうち
)
のために起ったのかは、いくら緊張したお延の神経でも
揣摩
(
しま
)
できなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天
如何
(
いか
)
にして詩人を生ぜし乎、是れ固より知るべからざる者なり。世如何にして詩人を起す乎、是れ或は
揣摩
(
しま
)
すべき者なり。
詩人論
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
即
(
すなわ
)
ち人は愛の作用を見て直ちにその本質を
揣摩
(
しま
)
し、これに対して本質にのみ名づくべき名称を与えているのではないか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
総て知りたがっていることがわからないのだから、それでさまざまの
揣摩
(
しま
)
と臆測とが、まことのように伝えられて来るのはもっとものことであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こればかりは
如何
(
いか
)
に論議を重ねても人間の
揣摩
(
しま
)
の及ぶところでない。精神力、
然
(
しか
)
り。叡智、然り。大愛、然り。熱情、然り。純無垢、然り。技能、然り。
永遠の感覚
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
事件に関するあらゆる点に於て、さまざまな
揣摩
(
しま
)
・臆測が横行したが、事件の元兇についても同断であった。始め人々は兇蕃の首領は花岡一郎であるにちがいない、と考えた。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
どうしてこんな事件が勃發したか? 世間では大分
揣摩
(
しま
)
臆説した向もあつたやうでした。
浪
(旧字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
併
(
しか
)
しながら其の数多いものがどの程度まで氏を知るよすがとなる事が出来たかと云ふに、それは、多くがその表はれた一面の事実によつたり、或はいゝ加減な
揣摩
(
しま
)
臆測によるもの
平塚明子論
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
ここにおいて
飛耳長目
(
ひじちょうもく
)
の徒は忽ちわが身辺を
揣摩
(
しま
)
して
艶事
(
つやごと
)
あるものとなした。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
当時雑説紛々の折柄、伯耆守と共に子思ひの作左が心底も動かずやと、家中の噂にも上りしことあるべく、
疚
(
やま
)
しからぬ腹を
揣摩
(
しま
)
せられて、潔白を傷けんも口惜しと、さてこそ思へば待てぬ作左衛門
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また
濫
(
みだ
)
りに予の動くことは、
巷間
(
こうかん
)
徒
(
いたず
)
らに噂と新聞紙上を
賑
(
にぎわ
)
せて、そなたのためにあらぬ
揣摩
(
しま
)
臆測を増させるのみであろう。よってすべてを、この書信に託する。この書信を、予と語るものと思われよ。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
瑠美子の恩師へのせめてもの償いとしても、葉子と清川とがそれだけの物資を提供したであろうことも、庸三の感じに映ったあの時の事象の
辻褄
(
つじつま
)
を合わせるのに、まるきり不必要な
揣摩
(
しま
)
でもなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
前の「松坂屋寿平治寓宿の於久」と同じ人なることは明である。
揣摩
(
しま
)
して言へば、画師
村片相覧
(
むらかたあうみ
)
は古島と号した。其妻を久と云つた。久が病んで函嶺に来り浴してゐた。木賀の松坂屋は其旅寓である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
などと
揣摩
(
しま
)
憶測を逞しゅうしたものである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ドストエフスキーの如き偉大な作家を産んだ露国の文学に造詣する二葉亭は如何なる人であろうと
揣摩
(
しま
)
せずにはいられなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その主客の
何
(
いずれ
)
の辺にあるか、今日においてこれを
揣摩
(
しま
)
する
能
(
あた
)
わざれども、彼は確かに将軍家定の知遇に感激し、一死を以てこれに酬いんと欲したり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この上君の内部生活を
忖度
(
そんたく
)
したり
揣摩
(
しま
)
したりするのは僕のなしうるところではない。それは不可能であるばかりでなく、君を
涜
(
けが
)
すと同時に僕自身を涜す事だ。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けれども父の本意が
何処
(
どこ
)
にあるかは、
固
(
もと
)
より明かに知る機会を与えられていなかった。彼は子として、父の心意を
斯様
(
かよう
)
に
揣摩
(
しま
)
する事を、不徳義とは考えなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
市中の上下は、その
惨虐
(
さんぎゃく
)
なる殺人者の何者であるかを
揣摩
(
しま
)
して、盛んに
役向
(
やくむき
)
を罵りました。役向を罵るばかりでなく、おのおの進んで辻斬退治のために私設の警察を作ろうとしました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外に種々の説があつても、大抵
揣摩
(
しま
)
である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「美妙斎とはドンナ人だろう?」と、当時美妙斎の作を読んだものは作者の人物を
揣摩
(
しま
)
せずにはおられなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
吾人ははたしてしかるや否やを知らず。しかれども目今の現状よりこれを見ればあえてことごとく
揣摩
(
しま
)
の
見
(
けん
)
というべからざるがごとしといわざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それを
好加減
(
いゝかげん
)
に
揣摩
(
しま
)
する
癖
(
くせ
)
がつくと、それが
坐
(
すわ
)
る
時
(
とき
)
の
妨
(
さまたげ
)
になつて、
自分
(
じぶん
)
以上
(
いじやう
)
の
境界
(
きやうがい
)
を
豫期
(
よき
)
して
見
(
み
)
たり、
悟
(
さとり
)
を
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けて
見
(
み
)
たり、
充分
(
じゆうぶん
)
突込
(
つつこ
)
んで
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
に
頓挫
(
とんざ
)
が
出來
(
でき
)
ます。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
苟
(
いやし
)
くも事勢を
揣摩
(
しま
)
するものは、天子親政の禁ずべからざる、藤田東湖を
俟
(
ま
)
ちて、
而
(
しこう
)
して後これを知らざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この中坂を冠する思案外史は中坂の
何辺
(
どこ
)
らあたりに住んでる人だろうと
揣摩
(
しま
)
し、この思案外史の巻頭の辞を載せた『我楽多文庫』をもやはり中坂に縁があるように思っていた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それを
好加減
(
いいかげん
)
に
揣摩
(
しま
)
する癖がつくと、それが坐る時の妨になって、自分以上の
境界
(
きょうがい
)
を予期して見たり、悟を待ち受けて見たり、充分突込んで行くべきところに
頓挫
(
とんざ
)
ができます。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
揣
漢検1級
部首:⼿
12画
摩
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
“揣摩”で始まる語句
揣摩臆測
揣摩憶測